ちょっと寄り道 : 登場人物紹介と技術紹介など
”タキオンの矢”の登場人物、科学技術の説明です。
もちろんこれは読まずとも本編は楽しめると思いますが、
読んでいると、より面白く感じていただけると思います。
”タキオンの矢”を読んでいただき、誠にありがとうございます。
物語が少しずつ進んで来ているので、ここで少し登場人物の紹介と出てくる科学技術の紹介を行いたいと思います。
ちなみに”タキオンの矢”の時代は2299年で、前作”ガロワのソラの下で”の時代が2075年です。
少しだけお付き合いください。
●登場人物紹介
<ソル柊>
コロニー3の貧困層エリアで暮らす青年。電子機器の修理を生業にしている。
見た目は20代前半。(見た目?)
実は半永久機関である”S2機関”を開発した柊レイ、夏目ミライの孫にあたる。
(柊レイ、夏目ミライは前作「ガロワのソラの下で」の主人公4人の中の2人。)
また、RM財団会長であり、”S2機関”を提供する会社RMエナジーの社長であるレミ柊の息子である。
だが、人類を争いの鎖から解き放つ方法について、レミ柊との思想の違いから柊家を飛び出し、貧困層で生活している。
普段は、濃い藍色のつなぎを着ている。ズボン部分だけ履き、つなぎの上着部分の袖を腰に回して縛っている。
上着は白のピタッとした長袖シャツ。ズボンの下にもピタッとした白のレギンスを履いている。長袖のシャツ、レギンスには黒い帯が身体中に描かれている。
この服の黒い帯は強化型人工筋繊維で出来ており、超高速移動、超怪力を発揮することができる。これと同様に繋ぎも赤色に変色させ、白いヘッドギアを着けて、貧困層のマフィアたちを蹴散らす活動も秘密裏に行っている。
<ルナ小林>
コロニー3の富裕層エリアで暮らす女子高生。”私立十二星宮学園”という名門校に通っている。
実は”OneYearWar”というゲームにおいてAIをも打ち負かすスーパーヒューマンプレイヤー、いわゆるAIスレイヤーである。ただ、ゲームをやっていることは周囲には秘密にしている。
また、心の繋がりを何よりも大事に思っている。なぜそう思うのかは本人も良く分かっていない。
前作「ガロワのソラの下で」の主人公4人中の2人、小林秋雄、浜辺小春の孫にあたる。
<りょーたろ>
第3宙域コロニー群の104号機(コロニー3-104)の貧困層エリアF地区で電子機器リサイクル屋、いわゆるジャンク屋を営んでいる店長。
ソルが個人的に修理屋をやり始めた時からの知り合い。
ソルがJAM-Unitを着けたまま部品調達をりょーたろに依頼した際に、りょーたろもJAM-Unitを着けており、ソルと連結した感覚を得た。そこからソルと意気投合した過去を持つ。
少し背が低く、青みがかったボサボサの髪の毛、頭にゴーグルを付けて、黄土色のつなぎを着ている。見た目、20代後半の男。
<レミ柊>
コロニー3上院議員の議長。且つほぼ無尽蔵にエネルギーを取り出せる”S2機関”を開発しているRMエナジーを持つRM財団の会長。
”S2機関”を開発した柊レイ、夏目ミライの子供。年齢150歳くらい。だが、テロメライザーのおかげで30台後半くらいの見た目。
初代会長であった柊レイや柊レイと同じ考えを持つ息子ソルと意見が合わず、ソルが家を飛び出した。そして、今もなおその確執は残っている。
経済の力で争いのない世界を構築しようと考えている。
<レイモンド小林>
耳の裏に着ける電子機器、BrainConnectDevice=BCDや老化防止薬テロメライザーなどを開発、販売しているゾディアックホールディングスの社長。
ゾディアックホールディングスは前作の主人公4人中の2人、小林秋雄、浜辺小春が創業した会社であり、レイモンドはその小林秋雄、浜辺小春の子供。
年齢150歳くらい。テロメライザーのおかげで30代後半くらいにしか見えない。(実質そのくらい。)
そして、ルナの父親でもある。
ルナに対しては放任主義的に振る舞っているが、常々監視はしている。また、ダメなものはダメと頑固に言い聞かせている。
レミ柊同様、経済でこの世界から争いをなくそうと考えている。
実は大学の時にレミ柊と交際した過去もある。
レイモンドという名前は柊レイのレイから来ている(らしい)。
<美月小林>
ルナの母親。
ルナと仲の良い関係を持ちつつも、厳しくルナを教育している。いわゆる教育ママタイプ。
家はもともと富裕層の底辺クラスであった。
いつ貧困層に落ちるかも分からない日々を子供の頃から送っており、その影響からか、ルナが貧困層との関わりを持つことを非常に嫌がっている。
また、親に勉強を猛烈に仕込まれ、ゲームは人をダメにすると教育された影響からか、ゲームに対する印象も良いものを持っていない。
これからもいろいろと出てきますが、ひとまず登場人物はここまで。
次は登場する科学技術等についてです。
<”タキオンの矢” 科学技術背景>
●宇宙コロニー
円筒型宇宙コロニーで内面直径が約6km。筒の長さは約18km。
円筒の真ん中に太いシャフトが通っており、そこから光照射や消毒を兼ねた雨の散布が為される。
内部は円周回方向にA~J地区まで10区画に分かれており、筒側方向にも10区画に分かれている。筒側方向第5、6区画が中央区と呼ばれる地区である。
A~J地区の区分け部には高さ10m、幅20mの壁が作られており、筒側方向10個に分かれた区画毎に幅50mの柱が円筒中心のシャフトに延びて繋がっている。
一般的な居住用宇宙コロニーではA、B、J地区が富裕層地区、C~I地区が貧困層地区となっている。
貧困層地区は治安があまり良くない。警察も上層部が人間であるため、アンドロイドが警官であっても、あまり機能していない地区がある。
清掃もアンドロイドが行っており、さらに週1回夜中に雨が降り、消毒がなされる。
ほぼ全てが人工物であるため、コロニーで育った人間は免疫系が弱まっており、地球など自然物が多いところに行く場合は予防接種などが必要とされている。
コロニーは居住用が500基、工場用が200基、農畜水産用が300基の合計1000基が1つのコロニー群集であり、それが第1~第7まで出来ている。
現在、第8コロニー群の建造が進んでいる。
コロニーは月面工場で建造され、出来次第、順次打ち上げられている。
居住用1基につき、約100万人が住んでいる。
●エネルギーについて
エネルギーは半無尽蔵にエネルギーを取り出せる”S2機関”という機関で作られている。
S2機関は人類が住んでいる正質量物質世界と、正質量物質世界の次元の間に隠れている負質量物質世界を繋ぐゲートを開くことで負質量の物質流入を促し、正質量物質と負質量物質の対消滅からエネルギー生成を行っている。
(私が書いた小説”ガロワのソラの下で”の内容を参照してください。)
この技術は当たり前のように爆弾にも使用可能であるが、この機関が開発された時から国際条約で武器としての使用は禁止されており、幸い未だに使われてはいない。
●人の寿命について
この世界にはテロメライザーという寿命制御薬が開発されており、開発者の社会貢献的思想から無料で全人類に1日1錠が提供されている。
テロメライザーは人の細胞分裂を制御しているテロメアに作用する薬で、通常細胞分裂を行うとテロメアが短くなり、ある程度短くなると細胞分裂がされなり死に至る。
この薬にはテロメアが短くなる現象を抑える効果があり、結果、人の寿命を伸ばせるというものである。
これにより、人の寿命は200年とも500年とも言われている。
(この技術が出来て200年程度であるため、正確にはまだ分かっていない。)
この技術のために人類は増加の一途を辿っている。
ただし、寿命が長くなったため、人々は生殖活動をあまり行わなくなっており、爆発的増加とはなっていない。
●ベーシックインカムについて
半無尽蔵エネルギー、AI、ロボットの3種の神器が揃ったことで、多くの人は働く必要がなくなり、その代わり、ベーシックインカムが実施されている。
毎月15万サークル(サークルは世界共通貨幣)が振り込まれる。
”S2機関”、”テロメライザー”、そして、”ベーシックインカム”も合間って、人類史上最も人が怠惰になった時代と言っても過言ではない。
●BrainConnectedDevice(BCD)について
前作”ガロワのソラの下で”の時代2075年からある技術。
両耳の後ろに張り付けたデバイスが脳に信号を送り込むことで空中に映像を映す機器。
この時代では五感全てに対しての信号を送り込むことが可能となっている。
ただし、Matrixの世界のように記憶や能力を植え付けることはできない。
(それを行うには脳内の神経シナプスを作り、繋げる必要があり、外からの刺激では不可能であった。)
視覚、触覚、聴覚などの信号を送り、まるで自分が体験しているかのように情報を与えることは可能。
●宇宙戦争モチーフのゲーム
この時代ではゲーム内で全ての物理現象が計算され、存在するほぼ全ての電子機器が使用でき、宇宙戦闘機やメタリックステラと呼ばれる大型ロボットを作れてしまうようなゲームが登場している。
もちろんメーカーが提供する機体を使っても良いし、それを改良しても良い。
それらの宇宙戦闘機やメタリックステラを使うユーザー、さらには課金しまくりで戦艦を作るようなユーザーも現れている。
もちろんそれらの設計は、AIのサポートがあるため、ユーザーはそれら部品の性能を詳しく知る必要はない。
また、3次元の操縦、照準合わせは人間にはかなり難易度が高く、一般的にはAIに照準は任せて操縦だけしたり、操縦すらもAIに任せるユーザーも多い。
ゲームは数年前まで”Drop of the Colony”というタイトルのものであったが、最近”OneYearWar”というタイトルのものが流行っている。
そして、”Drop of the Colony”というゲームにおいては”SummerEye”というユーザーが、人間の操縦でありながらAIを打ち負かすという驚異的なパフォーマンスを発揮し、このゲームに火が着いた。
さらに本物語の1年前に発売された”OneYearWar”では”LittleForest”というユーザーがAIを打ち負かす、いわゆるAIテイマーとして彗星のごとく現れた。
彼女の機体は赤くカラーリングされており、人はそのユーザーのことを”RedDevil”と呼んでいる。
●JAM-Unit
宇宙戦争ゲーム内のAIやアンドロイドを欺くための機器。一般的にはカチューシャのような形をしている。
機器から電磁波を発することで、電波による通信を行う機器(AI、アンドロイド含む)にノイズを与え、決定を遅らせたり、誤差を発生させるなどが可能。
また、AIやアンドロイドの通信情報傍受、内部計算結果の強制発信を促すことでAIやアンドロイドの決定内容を知ることもできる。
JAM-Unitの起源は前作”ガロワのソラの下で”の主人公であるソル柊の祖父、祖母、ルナ小林の祖父、祖母4人が作った通信デバイスであった。これはNTデバイスと呼ばれていた。
このNTデバイスは人同士の記憶や想いを繋げるデバイスであったが、悪用されてしまう事例が多発したため、4人は全てのNTデバイスを使えないよう処置を施し、技術を封印したのであった。
その後、他の技術者がこれに似たデバイスを作った。それがこのJAM-Unitである。
似せて作ったが、技術力の問題からそれほど強力なデバイスにはなっていない。
ただ、極少数であるが、この機器を自分で改造して強力なものにしているものがいるという噂もある。
さらに、極稀に人間同士に対してもこの作用を発動させる人間がいるという噂もある。それは上記の背景ゆえ原理的には可能である。
●RedDevilの宇宙戦闘機(お前、書きたかっただけだろと言われそう。(笑))
機体は宇宙特有の上下左右の区別がない空間、つまりどの方向から攻撃されても対応できるように設計されている。
機体自体はアサルトユニットとブースターユニットとコックピット部に分かれている。
アサルトユニットの仕様は以下の通り。
→ 重量約12トン
→ 40GJ級ガトリングレールガン 1門(レールガン8門回転式)
→ 500PeV(100GW)級イオンビーム砲 1門
→ ミサイル発射ベイ 10門 × 2
→ 24GN級メインブースター 1個
→ 4.8GN級側面小型ブースター 10個
書いたように、大量の武器を搭載しつつも大出力のメインブースター、側面に小型ブースターが何個も備え付けられている。
メインブースターは1km/s2の加速度が得られるほどの出力である。
そして、小型ブースターより、アサルトユニット単体の回転や機体本体の回転、水平方向へのシフト移動も可能である。
この出力はもちろんS2機関で賄っている。
さらにmアサルトユニットにはビットと呼ばれる小型移動ユニットが付属している。
ビットの仕様は以下の通り。
→ 重量約5トン
→ 10GJ級ガトリングレールガン 1門(レールガン8門回転式)
→ 250PeV(50GW)級イオンビーム砲 1門
→ 10GN級メインブースター 1個
→ 1.4GN級側面小型ブースター 4個
これがアサルトユニット各々に2つずつ備え付けられている。
自由に分離させ、飛ばすことができるが、そこまで長時間動けるほどの動力を備えていないため、しばらく分離動作をさせると再び本体に戻り、推進剤を補充する必要がある。
このアサルトユニットとビットが連結した状態が以下の通り。
この連結状態のユニットが4体、機体の前方にある。
さらに機体の後方にはブースターユニット。
ブースターユニットの仕様は以下の通り。
→ 重量約18トン
→ 40GJ級ガトリングレールガン 1門(レールガン8門回転式)
→ 500PeV(100GW)級イオンビーム砲 1門
→ 36GN級メインブースター 1個
→ 10GN級側面小型ブースター 6個
こちらにもメインブースター、小型ブースターが搭載。
ブースターユニット単体の回転や機体全体の回転、シフト移動が可能。
搭載量はそこまで大きくはないが、攻撃設備も備わっている。
一応、大気圏内でも航行可能とするため、翼も付いている。
そのユニットが4体、機体の後方にある。
これらのユニットが中央のコックピットボールに連結されている。
ブースターユニットの側面とコックピットボールは以下の図の通り。
これらが全てが連結された状態の図が以下の通り。
この8体のユニットを同時に縦横無尽に操作し、弾幕をまるですり抜けるように接近してくる悪魔、死神。
本体の赤いカラーリングも合間ってRedDevilと呼ばれているのである。
以上が”タキオンの矢”に関する科学技術についてである。
ちょっと長い寄り道になってしまいました。すみません。
それでは引き続き、本編をお楽しみください。
お付き合いいただき、誠にありがとうございました。
それでは本編をお楽しみください。