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平凡JKと異世界帰りの自称名探偵  作者: アタリ・ツキ
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異世界ペンション連続殺人事件 2人の探偵

「俺は反対だね。」


反対したのは、旅人、紙魔法のピアーだった。ガリガリにやせ細った手で俺たちの方を指さして言った。


「こんなかに殺人犯がいるかもしれないってのにペアを作れだと、そんなん承諾できるわけねえだろ。」


ピアーはパニックを起こしているようだった。

俺は最初、7人全員ロビーで一晩過ごすという方法を思いついたが、それだと確実に殺人犯と過ごすという恐怖が芽生えると思ったので少しでもそれを減らす為に、ペアを作るという方法にした。しかしそれでもピアーのようにペアを拒否する者も現れることはわかっていた。だがそれも犯人を見つける為の一歩になる。ペアを拒否するということは、犯人である可能性が高まる。


「俺は自分の部屋で一人で過ごすからな。」


そう言うと、ピアーは階段を上って2階の自室に戻っていった。


「ふん、ああいうやつが最初に死ぬんだよ。」


ゲルはピアーの背中を眺めながら言った。


「ペアを作るのはいいとして、誰と誰が組むんだ。」


ゲルは俺に聞いた。

確かにそこは重要だ。俺はなるべく犯人と過ごしたかった。勇者候補の俺と同室なら犯人も動けないだろう。


「俺はヒロさんと同室になる。」


突然パレントさんが叫んだ。パレントさん的には勇者候補の俺と同室になれば身の安全が確保されるという理由から俺を選んだのだろう。

パレントさんの主張にゲルが反論した。


「待てパレント、俺の知り合いはお前しかいない。お前が別の人間とペアを組んだら俺は誰と組めばいいんだ。」


「それならゲルさんはクストさんと組めばいいと思います。」


という俺の提案にゲルは「なぜだ、小僧」と返した。どうやらこのおっさんは俺を疑っているようだ。


「理由は簡単です。クストさんには明確なアリバイがあるからです。ヘスリーさんは殺害される直前に悲鳴をあげました。でもその瞬間にクストさんは俺といました。なのでクストさんが犯人というのはあり得ないんです。言ってしまえばこの中で一番安全な人物なんです。」


ゲルは手を顎に置き、考えるポーズをした。その後すぐに「いいだろう。」と言った。


 ペアは決定した。俺とパレントさん、ゲルとクストさん、レンアン夫妻、そしてピアー一人。

話し合いが終わると各々が自室へと戻っていった。レンアン夫妻はお互いを支え合うように2階の自室に歩いて行き、パレントさんは「今夜はヒロさんの部屋で過ごしますね。」と言って2階に行った。クストさんはゲルの部屋に入っていった。

 ロビーには俺とゲルだけになった。そこで俺はゲルと少し話をしようと思った。ゲルという妙に余裕のあるこの男について、少しでも知るためだ。


「突然の質問ですみません。あなたとパレントさんはどういう繋がりのですか?」


ゲルは俺を睨んだ。いや睨んでいるのではない、ただ目つきが悪いだけだろう。品のある顔立ちに目つきの悪さ、こいつが犯人と言われても驚かない。

ゲルは答えた。


「俺とパレントは商人仲間だ。いや、仲間というか俺の部下みたいなもんだ。」


年齢的にはパレントさんの方が上に見えるが仕事上はゲルの方が上なのだろうか。それともゲルが若く見えるだけで実際はゲルも50代くらいなのだろうか、という疑問もあったがそこは聞かなかった。


「このペンションでパレントさんと出会ったのは偶然なんですか?」


「ああそうだ。仕事の都合でこの山を越えなくてはならなかったからここに泊まった。そしたらたまたまパレントもいたんだよ。」


なるほど


「では、パレントさんとは…」


「おい待て、質問タイムは終わりだ。」


ゲルは俺の言葉を遮った。


「今度は俺の番だ。お前は今の段階で誰が犯人だと思う。」


その言い方はまるで俺を試しているようだった。

まだ犯人が誰かなどわかっていなかったが今の段階での俺の推測を話した。


「俺の中での容疑者はゲルさんとパレントさんの2人です。」


「ほう、なぜだ。」


「まずアリバイがないのが俺とクストさん以外の5人です。その5人の中で犯行が可能なのは1階に部屋があるゲルさんとパレントさんだけです。俺とクストさんは1階の奥の部屋から悲鳴が聞こえてきてすぐに事件現場に向かいました。その時に誰ともすれ違いませんでした。抜け道などもないので、ヘスリーさんを殺害してすぐに自室に戻ることが出来るゲルさんとパレントさんが怪しいと思います。」


ゲルは少し笑いながら相槌を打っていた。


「俺の推理とは違うなー」


ゲルはそう言った。


「じゃあゲルさんは誰が犯人だと思うんですか。」


俺の質問にゲルはこう答えた。


「犯人はクストだ。」




 



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