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平凡JKと異世界帰りの自称名探偵  作者: アタリ・ツキ
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ユミの推測1

「と、ここまでが異世界ペンション連続殺人最初の被害者ヘスリーさんが殺害されるまでの流れだ。」


赤羽くんはここで話を止めた。

沈みかけの日の光が教室の窓を通っていく。オレンジの光が赤羽くんの白髪にあたり、とても綺麗な色になっている。


「ここまでの状況でユミはどう推測する?」


と赤羽くんは問いかける。


「まだよくわからないけど、客の一人が言っていたように盗賊がやったという可能性はないの?」


盗賊の犯行ではないことはわかっていたがあえて質問した。私の質問に彼は「さあ?」と言った。まるで、「そんなこともわからないの?」とバカにしているような言い方だったので少し腹が立ったがまあいい。


「あとから調べたことだが確かに部屋からは高価なものが盗まれていた。だけど当時の俺は盗賊による犯行だとは思えなかった。」


「質問があるんだけど外の雪は積もっていたの?」


赤羽くんはニヤリと笑った。この質問を待っていたらしい。


「ああ、かなり積もっていた。」


「じゃあ赤羽くんが事件現場の開いていた窓を見たときに積もっていた雪に足跡はあった?」


「いや、なかった。」


そう言うと赤羽くんは自分の席に座った。「ユミも座ったら」と言われたので私も自分の席に座った。


これで確定した。犯人は外部の人間ではなく内部の人間だ。赤羽くんたちは被害者の声を聞いて、すぐに現場に向かったがそこに犯人の姿はなかった。もし犯人が窓から逃げたのだとすると、雪に犯人の足跡がないとおかしい。事件発生からしばらくしていたら足跡は消えていただろうが、被害者が殺害されてすぐのあの状況ではありえない。


「何か気づいたようだね。」


「うん、犯人はペンションにいる誰かっていうことだけね。」


うんうんと相槌を打つ赤羽くん。


「ここまでの話だけでそれがわかれば上出来だ。」


なぜか上から目線で言われたので私はまた少しイラッとした。どうやら彼は人を馬鹿にする癖があるようだ。


「じゃあ続きを話そうか。」


彼の態度には腹が立つことはあるが、それよりもこの話が面白く続きが気になる自分の方が勝っていた。なんせ、魔法がある世界での実際に起こった事件なのだ。しかも話を聞きながら自分で推理していくなんて、中々味わえることではない。

しかし彼が話始めようとしたところでガラガラと教室の扉が開いた。扉の方を向くとそこには担任の山田先生が立っていた。


「君たち、いつまで教室にいるんだい。鍵閉めちゃうから早く出てね。」


ほんとだ、もう施錠の時間だ、話に夢中になりすぎてすっかり忘れていた。


「ごめんね赤羽くん話はまた明日…」


と私が言ったところで赤羽くんは食い気味に言った。


「何を言っているんだ。今いい所だっただろ。こんな所で終わらせるなんてひどいじゃないか。」


無意識なのか赤羽くんは顔を至近距離まで近づけてきた。


「ち、近い、、」


「ああごめん。」


 赤羽くんはなんとも思っていなさそうだった。動揺したのは私だけだったのか。

私は顔のかっこよさで男性をどうこう考える人間じゃない。なのになぜ今私はこんなにも心がざわついたのだろう。


 とりあえず私と赤羽くんは教室を出た。


「続きはどうするの?」


私は聞いた。


「まあ帰り道を歩きながら話そう。」


「え、でも私たち帰り道逆じゃない。」


「ユミについていくよ。」


え、それは嫌だ。家までついてこられるのも嫌だし、一緒に帰っているところを目撃されて変な噂が立つかもしれない。


「それは嫌なんだけど…」


私はできるだけ申し訳なさそうに言った。しかし彼はそんな私の気も知らないようだった。


「おいおい、遠慮すんなよ。」


「いや、遠慮とかじゃなくて、」


私は自分の家に帰る道を歩いたが、赤羽くんもついてくる。そして勝手に事件の続きを話し始めた。


 








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