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平凡JKと異世界帰りの自称名探偵  作者: アタリ・ツキ
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異世界ペンション連続殺人事件 第一の殺人

「いやーまさか護衛を依頼した相手が今後魔王を倒すかもしれない勇者候補の一人だったとは。」


光魔法使いの商人、パレントさんは関心していた。

 そう、俺は魔王討伐の為に召喚された人間だが、俺以外にも何人か召喚されていた。そしてそれぞれが大精霊と契約をして別々で魔王討伐に動いていた。

 一番早く魔王を倒した者は願いが一つ叶うらしい。そして魔王が倒されると召喚された者全員が自分がいた世界に帰ることが出来るそうだ。


「勇者候補に護衛されてるなんて怖いのもなしですな。」


と、でかい声で笑った。

 

暗い山道をパレントさんの光を頼りに歩いていた。その光は眩しいとまではいかないけれど、山道を歩くには十分な明るさだった。


「お、見えましたよヒロさん。」


パレントさんは光る手で指さした。指の先には、俺が異世界に召喚された街にあるような西洋風の立派な建物があった。

 俺たちはその建物に向かって歩いた。入口は今いる場所から反対にあるようなので反対側に周った。さっきは暗くて見えなかったが近くで見ると細かい装飾があり歓迎されている気分になってわくわくした。建物は2階建てでペンションにしては大きく感じたが部屋が多くありそうだ。

 入口のドアを開いて俺たちは建物に入った。中は最初の街でよく行っていたギルドに似ていた。木材が多く使われた建物なので少し木の匂いがした。1階のロビーは20畳くらいはありそうだ。受付用カウンターが部屋の奥にあり、すみっこには大きなテーブルとそれを囲むように6つの椅子が置いてあった。

 受付の方から男が出てきた。男は50代くらいでパレントさんと違いかなりガタイがよくスキンヘッドだった。その男は俺たちを見ると顔に笑みを浮かべて歩いてきた。


「おーパレントじゃないか、久しぶり、わざわざ泊まりに来てくれたのか?」


どうやらこの男がパレントさんの元パーティーメンバーのようだ。


「クスト、久しぶり、相変わらずでかいな」


スキンヘッドの男の名はクストというらしい。


「こちらは俺の護衛をしてくれているヒロさんだ。実はこの人、勇者候補の一人なんだ。だから丁寧な対応を頼むよ。」


パレントさんは大げさに紹介した。


「どうもヒロって言います。今日はお世話になります。」


この世界には苗字という概念がないからファーストネームで名乗ることにしている。


「おお、それはすごい人が泊まりに来てくれたもんだ。ヘスリー来てくれ。」


クストさんは受付の方にそういうと奥から一人の女が出てきた。女はクストさんと同じくらいの年齢で、少し太っているが品があり、お嬢様なのだろうという印象を持った。


「紹介するよ、妻のヘスリーだ。」


「初めましてヘスリーさん、一生独身だと思っていたクストが選んだ相手なんだから素晴らしい女性に違いない。」


ここにくる道中でパレントさんから聞いた話によると、クストさんとヘスリーさんは最近結婚したようで、結婚を機にこのペンションを始めたそうだ。


「パレントもヒロさんもゆっくりしていってくれ。」



 俺が案内されたのは階段を上がってすぐの部屋だった。俺の部屋以外にも3つの部屋があった。1階にも部屋はいくつかあるようだった。いくつかの部屋からは物音が聞こえてくるので俺とパレントさん以外にも誰かが泊まっているのだろうと思った。

 部屋は6畳くらいの広さで、部屋には鍵が付いており、ベット、机、タンスがあった。窓がついていたのでそこから外を見てみると雪が降っていた。

 ご飯はクストさんが作るそうで、出来上がったご飯は部屋に運んできてもらって一人で食べることもできるし1階のロビーで食べることも出来るそうだ。俺は部屋で一人で食べたあとすぐに寝た。

 少し寝ていると、部屋をノックしている音が聞えた。眠い目をこすりながら扉を開けると、そこにはクストさんが立っていた。


「今から一杯どうです?つまみも用意してますよ。もちろんサービスです。」


俺は今14歳だが、この世界では何歳からでも酒が飲むことが出来る。


「召喚される前の話とか魔王討伐についてとか大精霊についてとか色々と聞きたいんですよ。元冒険者として。」


断りずらかったので俺は承諾した。クストさんについていくと1階のロビーにある大きな机に酒とつまみが置いてあった。俺たちはそこに座って少し話した。


「俺が元居た世界には魔法なんて存在してなかったんですよ。その代わり文明はこの世界とは比べ物にならないくらい進歩してました。」


「へーそううなんだ、じゃあ人間は何をして稼いでいたんですか?」


「その文明を支える為に自分にできることをそれぞれがやっていたんですよ、まあ俺は働いたことがないからよくわかんないんですけど。」


そんな他愛もない話をしているときにそれは突然起きた。


「キャーーーーーーーー」


1階のどこかから女の悲鳴が聞こえてきた。


「妻の声だ。」


クストさんがそう言った。

俺たちは急いで悲鳴が聞こえてきた方に走った。悲鳴が聞こえてきたのは1階の奥の部屋だった。

クストさんがドアノブに手をかけるとドアが開いた。

鍵をかけていなかったのか。

部屋の中には凄惨な光景が広がっていた。床一面に血が飛び散っていた。そして首から血を流して倒れているヘスリーさん。

 俺は急いでヘスリーさんに駆け寄って脈を確認したが脈は動いてなかった。恐らく即死だ。窓が開いていたので窓から外を見たが誰もいなかった。

 騒ぎを聞きつけたのか他の宿泊客も集まってきた。


「ひ、人が死んでる、盗賊が来たのか、、」


男の客が言った。


「そんなヘスリー」


クストさんはヘスリーさんの亡骸を抱きかかえている。


だがこれはこれから始まる悲劇の幕開けに過ぎなかった。

 

 









 



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