属性合わせゲーム 勝利編2
「クリスが仕掛けたイカサマ、それはカードの裏面に隠されている。レニーは魔道具製造で成功を収めた街だ。つまりクリスが用意したカードも魔道具だっんだ。」
「くっ…」
顔をゆがませるクリスティーナ。
「そして俺も予想はこうだ。カード裏にはクリスにしか見えない何らかの仕掛けがあった、その仕掛けとはもちろんカードの属性がわかるようになっているものだ。だからクリスは何回も連続で俺のカードを当てることができた。」
私も赤羽くんと同じ推理だった。
「どうだクリス、当たってるだろ?」
「ええ…正解ですわ。カード裏には特殊なインクで属性が書かれていました。しかしそれは通常見ることができませんわ。それを見えるようにするのがこれ…」
そういうとクリスティーナは人差し指を目に当てた。そして指を離すと、指の腹には小さい透明な物体があった。
「コンタクト…」
思わず声が出た。クリスティーナは不思議そうな顔をした。
そうかこっちの世界にはコンタクトがないからわからないのか。
「なるほどね、そのコンタクト型魔道具で俺のカードを見ていたわけか。」
「そうよ!これを使えばヒロ様のカードが絶対にわかるはずだった。2回戦3ターン目、カード裏には間違いなく<火>と書かれていた。でも実際にヒロ様がオープンしたカードは<地>だった。どうして?」
ゲームをしている最中は赤羽くんが何をやったのか想像もつかなかった。しかし今、それが何か見えてきた。
「簡単なことだよ。今から実践してやるよ。」
そう言うと赤羽くんは私とクリスティーナがゲームをしていたカジノテーブルまで歩いた。そしてテーブルに置いてあるカードを手に取った。そのまま手に取ったカードを裏向きでセットした。
「さあクリス、このカードはなーんだ。」
クリスティーナはコンタクトを目にはめてから答える。
「今度こそ<火>よ!」
赤羽くんは少し笑うとカードをめくる。
「ま、また<地>?!なんで!」
「簡単なことさ、こうやってカードを重ねていたんだ。」
赤羽くんは持っていた一枚のカードを横にスライドさせる、するとそこからもう一枚のカードが出てきた。
「ま、まさか…」
「そう、俺は2回戦3ターン目、<地>の裏面に<火>のカードを重ねて置いたんだ。そうすることによって、裏面には<火>と書かれていたがオープンすると<地>の部分がオープンされる。」
「そんな…そんな単純なトリックで…」
クリスティーナはその場で跪いた。
「カードが薄くて助かったよ。厚いカードだったらこの作戦使えなかったしね。それにこのゲームで勝てた一番の要因はクリス、お前にあるんだ。」
「わたくし?」
クリスティーナ赤羽くんを見つめる。
「そうだよ。クリスが自分の力で戦わずイカサマに頼りっきりになってたおかげでこの作戦が使えた。もしクリスがイカサマを使うことを放棄し、自分の実力だけで戦っていたら最後の3ターン目で同点になってまたやり直しになっていたかもしれない。そうなれば3回戦が始まってしまう。こうなると厄介だ。さすがに3回も英語作戦は使えない、別の方法を考えなければいけなかったからね。」
跪いたまま下を向くクリスティーナ。
これは相当落ち込んでるな、私はそう思った。しかし違った。
「ふふふ…ふふふははっは!わたくしの完敗ですわ!さすがヒロ様、わたくしが見込んだだけありますわ!確かにわたくしは負けましたわ。しかし勝負はまだ終わっていない。」
契約書の内容によれば、もしクリスティーナに勝ったら今度はカゲノと戦わなくてはいけないのだ。
しかし、カゲノはただのクリスティーナの世話係に過ぎない。そんな相手に負けるわけがない、と私も少し前まで思っていた。だが恐らくその考えは甘い。それはこれまでのカゲノの行動を見ていたらわかる。
例えば門から部屋まで案内してくれたタキシードの男とは違ってカゲノはやけにテンションが高く品がない。たまに敬語じゃなくなるし。そんな男がプライドの高いクリスティーナの世話係なんて出来るはずがない。
それにカゲノは主であるはずのクリスティーナをクリス呼びしている、これもおかしい。これらの理由からカゲノには何か秘密がある。
そしてそれは赤羽くんもわかっていた。
「おいカゲノとやら、お前一体何者だ?」
「ははは、気づいていたか元勇者ヒロ、ついに俺の正体を言う時が来たか。俺はな、実は最強ギャンブラーなんだよ。ははは。」
と大げさな身振り手振りでカゲノは言う。まるで中二病みたいだ。
それにしても最強ギャンブラーってどういうこと?
「ギャンブラー?」
「ここからはわたくしが説明するわ。カゲノは各国で行われるギャンブルの大会や遊戯、ゲームの大会で全て優勝しているほどのつわものなのよ。だからわたくしは彼に今日の話を持ち掛けたの、強い人と戦えるわよって。」
「それじゃあクリスティーナさんは最初のゲームは負けるつもりだったってことですか?」
私の質問にクリスティーナは笑う。
「ふふ、最初から負けるつもりだったわけじゃありませんわ。正しく言うなら、別に負けても痛くも痒くもないって感じですわ。だってカゲノが負けるわけないもの。」
「そんな..」
そんな相手に勝てるのだろうか。
私は不安だった。そんな私の肩に赤羽くんが手を置く。
「安心しろユミ、次も問題なく勝つさ。」
正直まだ不安も残っていた。しかし…
「うんそうだね、きっと勝てる。」
自分に言い聞かせるように私はそう言った。
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次回からはまた別のゲームです。そちらも是非見てみてください。




