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平凡JKと異世界帰りの自称名探偵  作者: アタリ・ツキ
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属性合わせゲーム イカサマ

「クリスティーナさん、イカサマしてますね。」


「ふふふ、それはどうかしら。仮にわたくしがイカサマしていたとしても、契約書にはイカサマしてはいけないなんてルールはなかったはずよ。」


クリスティーナに言われて、私は慌てて契約書を読み直した。そこには「属性合わせゲーム」のルールの他に、暴力禁止や中断禁止とは書かれていた。しかしイカサマ禁止とは書かれていなかった。


しまった。よく考えればわかったはずだ。ゲーム開始前から謎の自信があったことも、私の無理な提案を飲めたのも、イカサマをしていて、負けることはないと考えていたからだ。


「それにユミさんだって4ターン連続で正解でしたわよね。ユミさんの方こそイカサマしているじゃなくて?」


「い、いえ。イカサマなんてしてるわけないですよ。」


実際私がしているのはイカサマではないはずだ。あくまでも赤羽くんとの共闘。

それにしても2回戦目はどうやって勝つ?クリスティーナは次も間違いなくイカサマをしてくる。勝つにはせめてイカサマの方法がわかれば…


「話し合いは終わりましたか?2回戦目始めてよろしいですか?」


カゲノはさっきよりもテンション高めに言う。


まずい。何も考えてない。


すると、画面の中の赤羽くんがまた手を上げた。


「はあ、何ですかヒロさん。」


カゲノが手元で操作すると、画面の音声が入った。


「質問があってね。」


「どうぞ。」


「Next time, set it up the other way around.」


「は?なんて?」


敬語だったはずのカゲノの口調は荒くなっていた。


「あ、いいや。質問はなしで。」


その言葉とともに、プツと音声が切れた。


よし!赤羽くんからまた私だけに伝わる暗号が来た。

今回の英文を訳すと、「次はさっきとは逆にセットして。」だ。さっきと逆、つまり2回戦は<水>、

<風>、<地>、<火>の順番だ。

とりあえずこれで私が外すことはなくなった。しかしクリスティーナは何らかのイカサマをしているので私と同じく外さない。このままでは一生勝負が終わらない。どこかでクリスティーナが外してくれないと。


イカサマの方法さえわかれば、それを防ぐすべがあるかもしれないのに。

勝負をしながら考えるしかない。


「じゃあ今度こそ色々終わったみたいなので、『属性合わせゲーム』2回戦始めますよ。それじゃあヒロさん、カードをセットしてください。」


赤羽くんは迷うことなく一枚のカードをセットした。


「続いてお二人、ヒロさんのカードを予想して、決まったらセットしてください。」


私も迷いなく決めた。決めたというより決まっていた。赤羽くんの暗号により、1ターン目は<水>だとしっていたからだ。

私がカードセットすると同時にクリスティーナもセットした。

イカサマしていることがバレたから、もう悩んでいるふりをする必要がなくなったのだ。


「それでは、お二人からカードオープンしてください。」


同時にめくる私とクリスティーナ。

その結果は2人とも<水>。


やっぱりまたイカサマをしている。このままじゃ2回戦も同点で終わる。一体どんな手を使っているんだ。

考えろ私。


「続いてヒロさんオープン。おーお二人とも正解なので、それぞれに1ポイントが入ります。」


私は頭をフル回転させて考えた。事件を解決するときよりも頭を使っているかもしれない。

そして一つの考えが頭によぎった。


もしかして……違うか…いやでもこれしかない!

これ以外の方法はあるかもしれない。例えば赤羽くんがいる部屋にカメラのようなものがつけられていて、そこから選んだカードの中身が見られていたとか。でもその程度なら赤羽くんが気づかないわけがない。


クリスティーナが使っているイカサマの方法がわかった。しかし問題点はある。これをどうやって赤羽くんに伝えればいいのか、ということ。二つ目は方法がわかったとしてどうやってそれを活かすのか、ということ。


「2ターン目を始めます。ヒロさんはカードをセットしてください。」


色々考えているうちに2ターン目が始まってしまった。


「続いて、、お二人はカードをセットしてください。」


このターンに赤羽くんに伝えるのは無理だ。ここはとりあえず順番通り<風>をセットだ。


「それではオープン。おや、またもお二人とも同じ属性ですね。」


万に一つの確率でクリスティーナが外すことを願ったがやはり外さないか。

クリスティーナは薄ら笑いを浮かべながら、黙って私の方を見ている。


「続いてヒロさんオープン。」


結果は<風>。また同点だ。


「テンポよくいきましょう!3ターン目を始めます。」


ヤバい。何もできていない。とりあえずここからでも映像の赤羽くんに何か伝えないと。というかそもそも赤羽くんから私たちは見えているのだろうか。


私は映像の中の赤羽くんの目を見た。しかし一向に目は合わない。よく考えたら、赤羽くんがカゲノに質問をするとき、赤羽くんはカゲノとは少しずれた場所を見ていた。


ダメだ、こっちからじゃ何も伝えられない。イカサマの正体に気づいてくれ、赤羽くん!


「ヒロさんはカードをセットしてください。続いてユミさん、クリスさん、カードをセットしてください。」


私は<地>をセット。


くそっ!多分2回戦も同点で終わりだ。こうなったら、2回戦が終わったらトイレに行くとでも言って赤羽くんを探しに行くしかない。


「お二人はカードをオープンしてください。」


私は2回戦が終わったあとのことを考えながらカードをめくった。


「あははは!」


突然、対面に座っているクリスティーナから笑い声が聞えた。


なんだ?


私は、どうせ3ターン目もクリスティーナと同じ属性だろう、とクリスティーナがオープンしたカードを見ていなかった。そしてどうやらクリスティーナは私のカードを見て笑ったようだった。

私は何があったのかとクリスティーナのカードを見た。そして驚いた。


クリスティーナが出していたのは<火>だったのだ。


「どういうこと?」


「あはははは、どういうことも何も、あなたがミスったってことでしょう。」


クリスティーナは甲高い声で笑っている。


いや、私はミスってない。赤羽くんの指示通り<地>を出した。つまり…


「お、ここで初めてお二人の属性が割れましたね。それではヒロさん、正解のカードはどちらでしょうか。オープン!」


赤羽くんがカードをめくる。その表情は微かに笑っていた。


「はああああああああああ<地>ですってええええええ!」


どうやったのかわからない。でも「属性合わせゲーム」、赤羽くんが勝たせてくれたのだ。




















読んでいただきありがとうございます!

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次回はイカサマの方法と勝ち方が明かされます。

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