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平凡JKと異世界帰りの自称名探偵  作者: アタリ・ツキ
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勇者見習い殺人事件 人間と魔物

「エレナ、気絶したウィンをどっかで休ませておけ。」


「はあ、なんで私がそんなこと!」


ガクに反抗するエレナ。


「お前だってこの場にいたくないだろ?」


「ちっ」っと舌打ちをして女のエレナが男であるウィンをお姫様だっこをして門番の休憩室に入っていった。


「こうなった状況を説明してもらえますか?」


ガクが門番に聞く。


「はい。我々門番2人はいつもの時間に門の前に立っていました。しばらくすると、遠くの方から『助けてくれー』と声がしました。声がする方に目を凝らして見ると大けがをした人がこちらに向かって歩いていたのです。それがドナさんです。」


なるほど、その段階ではまだ生きていたのか。


「我々は彼を助ける為にその場に向かおうとしました。その時です。彼の後ろから15から20体ほどのウルフロードが現れたのです。そしてあっという間に彼は食いちぎられていきました。我々は急いで応援を呼びました。このままウルフロードが門に攻めてきては我々2人でけでは止めきれず街への侵入を許してしまうからです。その後応援にて駆け付けた門番十数名と冒険者たちの助けがあり、ウルフロードを討伐することが出来ました。そしてあとから遺体を回収したというわけです。」


門番の話を聞く限り、殺人事件というわけではなく冒険者が魔物に殺されてしまったという結論で、私たちが捜査するまでもなさそうだ。と思っていたのだが、なぜか赤羽くんとガクの表情がすぐれない。


「何か気になることあった?」


「ああ、おかしいことだらけだ。」


「そうなの?冒険者が魔物に殺されるってそんなに珍しいことなの?」


この質問にはガクが答えた。


「それ自体は珍しいことではないんです。おかしな所は殺されたのがドナだったということです。ドナは我が国の中で3名しか選ばれない勇者見習いに選ばれた人間です、これは相当な実力者であることの証明。そんな彼がウルフロードごときにやられるとは考えにくい。」


言われて納得した。

私はウルフロードとやらが勇者見習いを殺せる程の魔物だと思っていたが、ガクの口ぶりからそうではないのだろう。


「おかしなことは他にもある。」


赤羽くんはドナの遺体に顔を近づけながら話し始めた。


よくそんな顔近づけれるな。


「所々にある火傷のあとだ。ウルフロードは火を使う魔物じゃない。つまりドナの死に関わっているのはウルフロードだけじゃないってことだ。もしかしたら人間が関わっているかもしれないな。」


話終えると赤羽くんは立ち上がってこう言った。


「『勇者見習い殺人事件』」


「考えられますね…」


私もこの事件解決に少しでも協力するために知らなければいけないことがあった。


「ウルフロードについて詳しく教えてほしい。」


事件の鍵を握るウルフロードについて。


「では僕が説明しましょう。」


私たちは場所を変えた。門番の休憩室。門の中というだけあって壁も床も全てが石で出来ている。まるで独房のようだ。その場にはエレナと意識を取り戻したウィンもいた。


「ウルフロードとは森林に生息している四足歩行の魔物で大きさは馬よりも一回り小さいくらいの大きさです。」


ウルフということはオオカミのような見た目を想像すればいいのかな。

というかこの世界にも馬がいるのか。


「非常に賢い魔物で、狩りの方法が特殊です。まずウルフロードは群れで活動します。そして獲物を見つけると一斉に襲い掛かります。しかし獲物を一匹殺したくらいでは群れ全員の食料にはなりません。そこで奴らは考えました。あえて仕留めないのです。重症を負わせたあとに逃がすのです。そして逃げた獲物に静かについていきます。獲物が自分の巣か仲間の下についた時にそこを一網打尽にするのです。」


「賢い…というかこれって!」


「気づきましたかユミさん、そうです。今回の状況と似ているのです。つまりドナはどこか別の場所で襲われ重傷を負いながらも、近くの街、つまりここに逃げてきた。しかし奴らはそれを狙っていた。ドナを食い殺したあとに街に攻め込もうとした。幸いなことにここの門番と冒険者が優秀だったおかげで大きな被害は出ませんでしたけどね。」


なるほど。


「間違いなくドナはどこか別の場所で襲われたのでしょう。しかし、それでもウルフロードごときに重症を負わされるとは思えない。何か裏があるはずです。」


ガクは拳を握りしめる。

赤羽くんが突然立ち上がった。


「俺たちがやるべきことが見えてきたな。」


「そうですね。」


ガクも立ち上がった。


「ウルフロードがいた森林に向かう。手掛かりは必ずそこにある。」









読んでいただきありがとうございます

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