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平凡JKと異世界帰りの自称名探偵  作者: アタリ・ツキ
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予期せぬ事件

私たちが今いる壁も床も全てが白の建物はファント教会といってファント王国の中でも一番大きな教会らしい。そして明日の出発に向けて、今日は教会にある客室で過ごすという。

私と赤羽くんは隣の部屋だった。エレナとウィンは少し離れた場所にあるらしい。

部屋はというと、大きさは恐らく9畳でドアがある壁とは反対側の壁には窓があり、壁に沿うように大きなベットがある。他には丸い机とイスのセットがあった。それ以外とくに何もない殺風景な部屋だった。


私はベットに座り窓から外を見渡した。そこで私は初めて異世界の姿を見たような気がした。西洋風な建物が並び、まるでイタリアの外観を彷彿とさせるものだった。しかしイタリアともどこか違う独特の雰囲気をまとっていた。


「私本当に異世界に来たんだ…」


これからどうなるのかわからない。でももうここまで来た以上引き返せないし、引き返すつもりもない。

私はますます覚悟が強くなった。


部屋に昼食が運ばれてきた。


「異世界の料理だから変なのがくると思ったけど案外普通だな。」


味も普通だった。


ガクには明日まで部屋を出るなと言われていたのですることがなくとても暇だった。私は寝ることにした。


扉をノックされる音で起きた。どうやら夜ご飯の時間らしい。

昼からだいぶ寝てしまった。

夜ご飯も昼食と同じようなイタリアンな料理だった。


「米が食べたい。」


遂に明日出発の日だ。今日は早く寝て万全の状態で挑もう。

私は眠りについた。明日起こることも知らずに。


ドンドンドン


物凄い勢いで扉を叩かれて私は慌てて起きた。


「え、何!寝坊しちゃった?」


ぼさぼさの前髪を直し、急いで扉を開ける。そこには顔面蒼白のガクと後ろには険しい顔の赤羽くんが立っていた。

これはただ事ではない。


「何かあったんですか?」


「実は……ドナが死体で発見されました。」


「そんな…」


昨日まで私たちにあれだけ元気に暴言を吐いていたドナが、、


確か昨日、エレナと喧嘩をしてふてくされてそのまま1人でダンジョンへ向かって行った。

まさか冒険者連続失踪事件と関係が…いやそれはない。その場合だと確か死体すら発見できないのだ。今ガクは「死体で発見された」と言った、つまりドナは別の要因で死んだということになる。


「原因はわかってるんですか。」


「いいえ、今報告があったばかりで何も、しかし死体が発見された場所はわかってます。なので今から我々と勇者見習いの2人で現場に向かいます。」


「私も行きます。」


ガクと赤羽くんが顔を見合わせる。


「ほら言ったろ、ユミはついてくるって。」


なぜか赤羽くんが誇らしげな顔で言った。


「わかりました。とりあえず向かいましょう。」


その後3人でエレナ、ウィンの部屋に行って事情を説明した。2人は最初信じられないというような顔をしていたがすぐに、ついていくといって準備を始めた。


昨日、私と赤羽くんが召喚された場所に私、赤羽くん、ガク、エレナ、ウィンが集まった。


「皆さん、私の身体に触れてください。」


ガクがそう言うとみんながガクの身体に触れた。


「それではいきますよ。」


その言葉と同時に青い光が現れた。異世界に召喚された時と同じだ。


少し経つとさっきとは全く別の場所に立っていた。


草一つ生えていない乾燥した場所だ。正面を見渡しても所々に岩があるだけでそれ以外は何もない。


「ユミさん後ろです。」


ガクに言われて私は後ろを向いた。そこにはコンクリートでできたような大きな壁があった。いや、壁というより門だ。


「ここはファント王国の東側にあるヤールという街の北門前です。そしてこの人たちが第一発見者です。」


ガクに言われて現れた2人の男。2人とも堅そうな鎧を頭から足まで装着しており、その姿はまるで、


「門番です。」


ガクの説明によると、門番は外から来た旅人や商人が街に入ることが出来るのかチェックするという仕事だ。そして誰かが攻めてきたときに一番最初に戦いに出る重要な役割だそうだ。


「それで、死体はどこに?」


赤羽くんが門番に聞く。


「はい、さっきまではあの辺にあったのですが、皆さんが来るまで門の前に死体を置いておくと色々な人に見られてややこしいことになると思いまして場所を移動させました。こちらです。」


門番が指さしたあの辺をよーく見ると、土だか砂だかで茶色くなっているはずの地面が赤く染まっていた。


「うわっ!」


ウィンが声を上げた。


「あんた男のくせに情けないわね。」


とエレナがウィンを睨みつける。


私たちは門番について行き、外と街の間、門の真下に来た。門番は街には入らず、門の内側にある扉を開いた。


「ここにあります。」


私はそこで人生で2体目の死体を見た。いいや1回目は復活したからノーカウントだ。つまりこれが私の人生で初めての、、、


その場にいる者全てが絶句した。そこにいるのは昨日見たドナとは思えないものだった。

身体のあちこちが何かに噛み千切られたかのようになくなっており顔なんか半分がなくなっている。所々に火傷のようなあとがあり、見るに堪えない姿だった。


私は目をそむけてしまった。いや私以外にもさっきまであんなに態度の大きかったエレナも私と同じ行動を取っていた。意外にもウィンはしばらくドナだったものを見ていたがしばらくするとその場に倒れ込んでしまった。

赤羽くんとガクだけが見ている。


一体何があったらあんな姿になってしまうのか。

これから私と赤羽くんはこの事件を捜査していくことになる。











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