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平凡JKと異世界帰りの自称名探偵  作者: アタリ・ツキ
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冒険者連続失踪事件

「ちっちゃいって何が…」


私は怒りを抑えてドナに聞いた。


「ちっちゃいっつったらそれしかないだろ。」


そう言ってドナは人を馬鹿にするように笑いながら私の胸元を指さす。


こ、こいつ、女性に対してなんて失礼な!


何か言い返そうと思って口を開いたその時、私の隣にいた赤羽くんが先に声を上げた。


「おい!」


ドナは視線だけ赤羽くんに向ける。


「お前いい加減にしろよ。」


「何だよ偽物勇者さんよ~」


お互いがにらみ合う。


「俺はそもそもあんたのことも嫌いなんだよ!ヒロ!ほんとにあんたが魔王を倒してこの世界を救ったのか?なんか信じられないね。今回の冒険者連続失踪事件だって俺1人で解決できるのにわざわざ異世界から俺らと同い年の元勇者さんと魔力の全くなさそうな女を召喚するなんてどうかしてるぜ。」


止まらないドナの暴言を止めたのは意外な人物だった。


「私はあんたの方が気に食わないけどねドナ。」


氷魔法使いのエレナだった。ドナが言ってることが正しければエレナも私と同い年のはずだがそうは見えなかった。私が幼いのかそれともエレナが大人っぽいのか。


「私とウィンとあんたの3人の中じゃ実力も頭脳のあんたが一番下なのわかってる?」


エレナがドナを睨みつけて言う。

その言葉を聞いた赤羽くんが「へえ~そうなんだ~」とドナを煽るように呟く。


「ウィンが一位、私が二位、そしてあんたが三位。それなのにさっきから調子こいて、俺が解決できるだのなんだのうるさいのよ。確かにこの魔力のなさそうなちんちくりんな女は私も気に食わないけど、それよりもよっぽどあんたの方がダサいわよ。」


途中私の悪口が言われたような気がしたが今回はスルーしておこう。


エレナに色々言われたドナは顔が赤くなっていた。


「クソッ!じゃあ証明してやるよ俺の実力。冒険者連続失踪事件、俺1人で解決してくるよ!」


そう言うドナはどこかへ歩いて行った。


「おい、ダンジョンまでかなり距離あるぞ。どうやって行くつもりだ。」


とガクがドナに聞く。


「何だっていいだろ、追いついてこれるもんなら追いついてみろ。」


ドナの姿は見えなくなってしまった。

それと同時にエレナも「私部屋に戻る」と言ってドナとは逆方向に行って消えてしまった。

その場に残ったのは、私と赤羽くん、それとガクにウィン。


「お前も大変だなガク。」


「そうなんですよヒロ殿、実力はあるんですが性格に難がある人ばかりで…それに比べウィンは他のメンバーよりも大人しく、その上一番強いですからねえ。」


褒められたウィンは作り笑いをしていた。


「2人いなくなってしまいましたが今回お二人に解決していただきたい『冒険者連続失踪事件』について説明いたします。さっきドナも言っていましたが失踪する場所はダンジョンです。しかも毎回同じダンジョン。そこに入った冒険者は例外なく消えます、痕跡一つ残さず。」


「質問いいか?」


赤羽くんが手を上げる。


「ええ勿論。」


「消えた冒険者たちの死体は出てきているのか?」


「それが今まで誰の死体も出てきませんでした。死体がないかと確認に行かせた冒険者も全員消えてしまいます。」


赤羽くんは少し考えたあと、「続けて」とだけ言った。


「それで今回はヒロさん、ユミさんのお二人にドナ、エレナ、ウィンの勇者見習い3人を添えて例のダンジョンの調査に行ってもらいたかったのですが、ドナは1人で行ってしまったので、今回はエレナとウィンの2人だけになります。」


「ダンジョンまではどうやって行くんだ?」


「はい、例のダンジョンは今我々がいる国、ファント王国から遠く東に離れた国にあるのですが、直接そこまで転移できるわけではありません。あ、僕の転移魔法の範囲がそこまで届かないとかそんなしょぼい話じゃありませんよ。」


「お前の事情はどうでもいいよ。」


赤羽くんにそう言われたガクはてへっと笑うと話を続けた。


「ダンジョンがある国、ランス国と我々ファント王国が国交を結んでいないのです。国交を結んでいない国には勝手に入れないのです。ですから転移魔法ではランス国の少し前まで転移してそこからは皆さんだけでダンジョンに向かってください。ファント王国の大臣である僕はランス国には入れませんが皆さんだけなら旅行の名目で入れますので。」


私の頭に一つの疑問が浮かんだ。


「あのー私も質問いいですか?」


「ええどうぞ。」


「そのダンジョンはランス国にあるんですよね?なのにどうしてそれを解決するのがランス国じゃなくてファント王国なんですか?」


私の質問にガクは笑顔になった。


「いい質問ですね~、最初はランス国だけで解決しようと努力していたみたいなんですが、それが無理だとわかったので魔王を倒した勇者を輩出した我が国に依頼がきたわけです。ファント王国はいわばこの世界の代表みたいなもんです。」


これが言いたかったから笑顔になったのか。


「向こうから依頼してきたのに転移魔法で入らせてくれないのか?」


今度は赤羽くんが質問した。


「ええ、それを認めてしまうと国交を結んだと認めてしまうようなもんですからね、ランス国とファント王国は昔から仲が悪かったのでそれだけは出来ないんでしょう。」


そういうもんなのか。


「というわけで出発は明日の朝です!」


「「明日の朝!」」


私と赤羽くんは同時に声を上げた。


随分と早いんだな。


こうしてガクとの話し合いは終わった。













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