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平凡JKと異世界帰りの自称名探偵  作者: アタリ・ツキ
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元勇者密室殺人事件 解決編2

「今回の事件のおかしなところ三つ目は、赤羽くんが倒れていた場所。」


「場所?」


「そう。赤羽くんが倒れていた場所はそこだったでしょ。」


私は、赤羽くんが倒れていた場所、つまり教室の黒板がある方の左側を指さした。


「赤羽くんの席は一番後ろのはず、なのに倒れていたのは一番前、私はこれがおかしいと思った。」


突然赤羽くんが吹き出した。


「いやいや、それは別におかしくないでしょ。たまたまその場所で犯人と喋ってただけかもしれないし。

今までの、ナイフが刺さっていたことやナイフの指紋についての推理は良かったと思うよ、でもその推理はちょっと的外れなんじゃないかな。」


そう、私も最初は赤羽くんが倒れていた場所なんて一切気にしていなかった。でも今までの推理をつなげていくと一つの答えに導かれる。


「ここまで言っても名探偵の赤羽くんはわからない?」


「よくわからないな、どういうことか教えてくれるかな。」


はあ、ついにこのセリフを言うときが来たか。今まで推理小説をたくさん読んできて憧れていたセリフ、人生で一度は言ってみたいセリフ。


「この事件の犯人はあなたよ!」


つい興奮してしまっていつもは使わないお嬢様言葉になってしまった。


赤羽くんは無表情に見えたが、口角が上がったのを私は見逃さなかった。


「どういうことだ?俺は殺されたんだよ。なのに俺が犯人って。」


「つまり自殺ってことだよ。」


「今までの推理からどうしてそんな結論になるんだい?」


「じゃあ私の推理を1から話すね。」


私は唾をのみ込み話を始めた。


「多分赤羽くんは私に事件の推理をしてほしかった。それには死体が必要、だから自分が死体になることにした。私を朝早く教室に呼び出したのは自分の死体を見つけてもらうためだったんだね。そしてここで倒れていた場所が関係してくる。密室の教室にしたから後ろで倒れていても廊下からは死体が発見されにくい。だから赤羽くんは廊下から死体が一番見やすい場所で死んだ。そしてナイフを首に刺すときに指紋が残らないようにハンカチを使いながらナイフを持ってそのまま自分の左側の首にナイフを刺した。その時にハンカチが手から離れ、近くに落ちた。」


事件現場に赤羽くんのハンカチが落ちていたことに最初はなんの疑問も抱いていなかったが、ナイフに指紋が付いていなかったことから私はこれに気づけた。


「これは自殺だったから密室でもなんの不思議もない。密室にしたのは事件を複雑化させるためだったんでしょ。そのせいで余計な密室トリックを考える羽目になったよ。これが私の推理だよ。」


ここまで黙って聞いていた赤羽くんが口を開く。第一声は何と言うのだろうか。


「正解だよ!やっぱりユミはすごいね、ユミの推理は聞いててワクワクするよ。」


私はムカついてきた。


「『ワクワクするよ』じゃないよ!なんでこんなことしたの!?どれだけ私が心配したと思ってるの!」


「え?楽しくなかった?俺はユミが楽しんでくれると思って、っていうか途中ユミも楽しそうにしてたよね?」


そう言われると少しだけ楽しんでいたかもしれないが、そういうことじゃない。


「た、楽しんでなんかないよ!一体なんでこんなことしたのかを真剣に答えて。」


「いや…あんま言いたくないけどユミがそこまで言うなら…」


さっきまでのすっとぼけた顔から真剣な顔に変わった。


「河合の件で、多少は落ち込んでただろ?だから元気だしてほしくて。でも俺ユミがどうしたら元気になるのか思いつかなくて、その時に思いついたんだよ、推理をすれば元気になるんじゃないかって。だから今回の計画を立てたんだよ。なんかやり方間違えちゃったぽいな、ごめん。」


何となくそんな気はしていた。


「はあ、今回のことはもう許すけど、今後自分の命を無駄にするようなことはしないでね。」


私は強く言った。


「ほんとにごめんよ~」


赤羽くんは反省しているようだった。


よく考えれば赤羽くんは、3年間も異世界で過ごしていた。その上3年間も不死身だった。そのせいで一般的な常識や自分の命の価値がわからなくなっていったのかもしれない。今後はそういうとこも直していかなければ。


「まあそれはそれとして、素晴らしい推理だったね。」


満面の笑みで赤羽くんは言う。


ほんとに反省してるのかこいつ。


「それにしても、どうしてナイフに指紋が残らないようにハンカチ使ったのに自分から指紋採取しょうなんていったの?もしかして私に証拠を残す為?」


「そうだよ。流石になんの手掛かりもないままじゃ難しいと思ったからね。他にも、ハンカチを使ったあとすぐにポケットにしまえたけどわざと床に落としたり、争った形跡がないように机や椅子を綺麗に整列させてたんだよ。」


「そうだったんだね、今日はもう疲れたよ、職員室に鍵返してさっさと帰ろ。」


「なんか疲れさせちゃったみたいでごめんね、帰ろうか。」


「元勇者密室殺人事件」一件落着。


















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