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平凡JKと異世界帰りの自称名探偵  作者: アタリ・ツキ
21/45

元勇者密室殺人事件 不可能犯罪

「うんおはよう、、、ってそうじゃなくて!」


あまりにも普段通りすぎてこっちもつい普段通りに返事をしてしまったがそれどころではない。


「赤羽くん今死んでたよ。」


例えでもなんでもなく「今死んでたよ」という言葉を発する日がくるとは


「ああ、そうみたいだね。」


赤羽くんの反応はどこか他人事のようだった。


「私が来るまでに何があったの?」


私の質問に赤羽くんは「うーん」と考え込んだ。そして私の目をじっと見て答えた。


「覚えてないんだ。」


「覚えてないってどういうこと?自分が死ぬまでの出来事を覚えてないってこと?」


「まあまあ、落ち着いて。」


目の前で人が死んでいてさらにその人が生き返ってその上そのことを何も覚えていない、この状況でどうやったら落ち着けるのだろうか。しかしそんなことばっか言ってられないのでとりあえず深呼吸をして落ち着いた。


「突然だけどユミはさ、臨死体験って知ってる?」


本当に突然だな、こっちはもっと知りたいことがあるというのにいきなり何の質問だ。


「詳しくは知らないけど、死にかけになった人間が体験することでしょ?なんか神秘的な体験だとかそうでないとか。」


「そこまでわかってれば十分だ。そこで本題だが、俺は大精霊との契約により死んでも生き返ることが出来る。でも生き返るという現象はユミが思っている以上にとんでもないことなんだ。言葉では表しにくいんだけど、こう、何というか、臨死体験のさらにその先っていうか、まあそんな感じなんだ。」


どんな感じだよ


「それに生き返ることは出来るが『死ぬ』ということも普通じゃない、つまり『死ぬ』ことと『臨死体験のさらにその先』という状況を味わうことは脳にとても大きなショックを与えることになる。このショックをくらうことで俺は死ぬまでの少しの時間の記憶がなくなるんだ。」


なるほど、これが赤羽くんが自分が死ぬまでの出来事を覚えていない原因か。不死身というのも万能ってわけではなさそうだ。


「そこでだ、ユミに一つ提案がある。」


口角を吊り上がらせた赤羽くんが私に向かって言う。


これはまさか…


「俺がなぜ死んでいたのかを解いてもらいたい。」


やっぱり…こうなってしまってはもう逃げられないだろう。面倒くさいことになってしまった。

最初私は警察に相談した方が良いと考えたが、それは出来ない。なぜなら事件において重要なはずの死体が傷一つなくピンピンしているからだ。飛び散っていた血も全て赤羽くんの中に戻ってしまったので、誰が見てもここで殺人事件が起こったとは思われないからだ。


「はあ…わかったよ。」


「やったーー!」


いやいやながらも私は赤羽くんが死んでいた状況を思い出しながら整理してみた。


赤羽くんが倒れていたのは、教室を黒板がある方向を前だとして考えたときの左前になる。そして頭を黒板方向に向けて仰向けで倒れていた。だから廊下にいた私にも赤羽くんの左側の首に刺さっていたナイフのようなものが見えた。

そういえばナイフは、、


私は教室に入り、赤羽くんの首から抜けたナイフを見てみた。そのナイフは100均なんかで売ってそうな普通のナイフだ。手に取って確認しようとナイフに手を伸ばした、すると、


「ちょっと待って!」


赤羽くんの大きな声に私は肩を上げて驚いてしまった。


「証拠品を触るならちゃんと手袋使うか、布とかで掴まないと。」


「それは警察が指紋を取る場合でしょ、今回は警察に頼らないから別にいいんじゃない?」


赤羽くんは「チっチっチ」と指を揺らした。


「別に指紋なんて警察じゃなくても採取出来る、ネットにいくらでもやり方が載ってるよ。」


「たとえ指紋が出たとして、その指紋が誰のものかなんてわからないでしょ、しかも怪しいと思った人の指紋をこっそりとってもそれがナイフについていた指紋と同じ指紋かなんて素人の私たちにはわからいじゃない。」


私の主張はもっともだ、しかし赤羽くんは折れなかった。


「じゃあわかったよ、このナイフは俺が持ち帰って勝手に指紋の採取をする。これでいいかい?」


そこで私は思い出した。赤羽くんがブラックライトを持っていたことを、ブラックライトは拭き取られた血を見る為に使ったりするとテレビで見たことがある。多分赤羽くんは自称名探偵なだけにブラックライトで拭き取られた血を発見したり指紋を採取することが単純に好きなのだろう。それなら勝手にやってくれればいい。


男の子ってなぜかこういうことをしたがるよな、私にはよくわからないや。


私は再び事件現場を観察した。すると教室の隅っこに布のようなものが落ちていることに気づいた。

今度は赤羽くんに何も言われないように自分のハンカチを使ってその布を拾い上げた。布の正体は男物のハンカチだった。


犯人のものかな?


私はそう思ったがハンカチの持ち主は意外な人物だった。


「ああ、そのハンカチ俺のだ。倒れる時にでも落としたのかな。」


「そっか、はいじゃあこれ。」


私はハンカチを赤羽くんに渡した。


「それにしても今回の事件はやっかいだね。これは不可能犯罪と言ってもいい。」


赤羽くんはそう呟いた。


「今回の事件」と赤羽くんは言ったが平凡JKの私からしたらどんな殺人事件もやっかいだ。


「何せ俺は元勇者で魔法勝負では最強だけど実は体術にも自信がある。そんな俺を簡単に殺せるなんて、そしてもう一つ難解なことがあるね、」


それは私も考えていた。それがこの事件の一番難解ポイント、それは、、、


「「密室殺人」」



更新遅れて申し訳ありません

読んでいただきありがとうございます!

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今回の事件が一話の冒頭のシーンに繋がります。次回からも是非見てみてください

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