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平凡JKと異世界帰りの自称名探偵  作者: アタリ・ツキ
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異世界ペンション連続殺人事件 解決編2

「第2の事件、ゲル殺害について、ヘスリーを殺した犯人がわかったからおのずとゲルを殺した犯人がわかる。今回の事件は交換殺人だったため、事件が起きてたときにアリバイがあった人間が別の事件の犯人になる。つまり、ヘスリー殺害のときに唯一アリバイがあった人、クストがゲルを殺した犯人だ。」


赤羽くんは何も言わずに聞いている。


「最初はアリバイはなかったが動機がなかったためクストが犯人の可能性が低かったが、交換殺人ならこれも矛盾がなくなる。ゲルを本当に殺したかったのはパレントだ。ゲルと初対面ではなく、唯一ゲルを殺す動機があるからだ。だからゲル殺害時に部屋のペアでパレントは無理やり赤羽くんとペアになり崩せないアリバイを作ったというわけだ。そして動機がないクストがゲルを殺すことによって事件を複雑にしていった。」


「ゲル殺害に使った毒はどう説明するんだ。どこにもそんな毒はなかった。」


赤羽くんが聞いてきた。


「それについては、一つ思い当たることがある。私の予想だと毒の正体はヘスリーの血液だと思う。」


赤羽くんは一瞬反応を見せた。恐らく毒の正体まで当てるとは思ってもいなかったのだろう。私はこの反応を見て毒の正体を確信した。


「ヘスリーは恐らく毒魔法使い、ヘスリーが殺された直後かまたは他の機会に血を取ったんだと思う、致死量にどれだけの血が必要なのかはわからないけど、首を切られて失血死したぐらいだからいくらでも取れたでしょうね。血の取り方は恐らく布か何かにしみ込ませて、乾く前に絞って飲み物に入れたか、直接口に入れたかのどちらかだと思う。この方法を使えば、赤羽くんの荷物検査の時に毒の入れ物があるかを疑われない。血のしみ込んだ布や服が見つかったとしても、ヘスリーの遺体を抱いたときについただけだろうと思われるだけだからね。」


「驚いたな、そこまでわかってしまうなんて。」


目をキラキラさせた赤羽くんが私の方をみながらそう言った。そして相変わらず距離が近い。

私は赤羽くんから少し距離を取って話を続けた。


「最後の事件、パレント殺害について、これの犯人はクストしか考えられない。多分交換殺人を成功させたけど、パレントがあとになってからこのことを教会に全部話したりしないように口封じでしょう。部屋に閉じ込められていたクストに犯行は不可能に見えるけど実は簡単な方法だった。赤羽くんの話によると、パレントが飲んだ毒入り酒はゲル殺害の直後には持っていた。つまりクストは最初からパレントを殺す予定で、ゲル殺害が成功した祝杯に飲んでくれとかいって渡していたんでしょうね。パレントは交換殺人を一緒に成功させた仲間を信じて飲んだ。逆にゲルはここまで協力した仲だったのに最後まで信用できなくてパレントを殺したって流れかな。」


話の途中から赤羽くんが「おおおお」と言いながら聞いていたので気が散っていた。そして私が話し終えると「おおおお」という声は大きくなっていった。


「おおおおお!すごいよユミ大正解だ。まさかここまでの推理を見せてくれるとは、本当にこの話をユミにしてよかったよ。めちゃくちゃ楽しめた。」


そこまで言われるとやったかいがある。


「私も推理するの楽しかった。」


すると赤羽くんは私の前に手を出してきた。私はその手を握って熱い握手を交わした。


その後赤羽目くんは「異世界ペンション連続殺人事件」の全容について語ってくれた。


「結局この事件、俺は解決することが出来なくて教会による厳正な捜査で真相が突き止められた。」


そうだったんだ。


「これもあとで発覚したことなんだけど、山に吹雪が吹いてペンションから出られなくなっていたけど、あの吹雪実は魔道具で出されていたものらしい。」


「魔道具って何?」


私は聞いた。


「そっか知らなかったか、魔道具っていうのは魔法使いが作った道具のことだ。例えば透明魔法使いのパレントが魔道具を作ったら、ものを一時的に透明にしたり自分を一時的に透明にしたりきる魔道具になるだろう。こんな感じで自分が使える魔法を道具にして売ることが出来る。でも魔道具を作って販売するには教会の厳正な検査が必要になる。でも今回の吹雪を起こした魔道具は教会の検査を受けてない違法魔道具だったんだ。」


「そんな仕組みだったのか。」


この事件の人間関係についても語ってくれた。


「クストとヘスリー夫妻、仲良さそうに見えてそうでもなかったらしいんだ。実はクストはヘスリーとはお金目当ての結婚だったらしい。結婚してからはヘスリーといるのが嫌になってヘスリーに保険金をかけてパレントと協力してヘスリーを殺したらしい。」


ヘスリーはそんな理由で殺されたのか。なんて酷い話だ。


「パレントとゲルも仲が悪かったらしい、パレントは商人としてはダメダメでゲルに多額の借金があったらしい。ゲルはそれを理由にパレントをこき使っていたんだそうだ。だから俺がゲルにパレントとの関係を聞いたときも、パレントのことを部下だって言ってたんだろう。それが限界を迎えてパレントはあの事件を起こしたんだろうな。」


なるほど、パレントよりも若いゲルがパレントに対してあんな態度だったのはその為か。


「そして元パーティーメンバーのクストとパレントが偶然街で再会し、お互いに殺したい相手がいることが判明した。そして、パレントがクストの妻ヘスリーを、クストがパレントに金を貸しているゲルを殺す交換殺人を実行したというわけだ。でも教会によってそれが暴かれたんだよね。」


人が人を殺す理由がこんなものとは、異世界も現実世界も人間はあまり変わらないのかもしれない。


「人間ってなんだか愚かだね。」


私の言葉を聞いて空を見上げる赤羽くん。そして優しい声で言った。


「そうだね」



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