表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
平凡JKと異世界帰りの自称名探偵  作者: アタリ・ツキ
11/45

異世界ペンション連続殺人事件 最後の事件

俺はゲルの死体発見からすぐに毒の捜索を始めたがどこを探しても全く見つからなかった。ペンションにいる俺も含めた6人全員の身体検査、持ち物検査をしたがそれでもダメだった。

二日目の朝、俺たち6人はロビーに集まっていた。吹雪は全くやんでおらず全員で外に出るのは無理そうだった。

そんな中、宿泊客の一人であるピアーが声を荒げる。


「だから言っただろ、ペアを作るなんて危ないってな。」


確かにその通りだ。俺がそんな提案していなかったらゲルは死んでなかったかもしれない。しかしペアを作ったことによるメリットはあった。それは容疑者が絞られるということだ。

俺はペアになったパレントさんを一晩中見張っていたが何もしなかった。この時点でパレントさんが犯人の可能性は消えた。レン、アン夫妻は2人が共犯の可能性も考えたがそれはありえない。ヘスリーさん殺害は2階にいた2人には不可能だしゲル殺害もゲルと同じ部屋にクストが居たため不可能に近い。一人部屋のピアーにアリバイはないがレンアン夫妻と同様の理由から容疑者から外される。

残るは一人、ゲルと同じ部屋で寝て、アリバイもなく、誰にも邪魔されることのない人物、そうクストさんだ。それはこの場にいる全員がわかっていた。

声を荒げるピアーにレンがなだめるように言った。


「まあまあ、犯人がわかったことだしいいじゃないですか。まさか犯人がこのペンションのオーナーだったなんて。」


レンの言葉に今度はクストが声を荒げた。


「俺じゃない、信じてくれ!」


しかしその言葉に耳を傾ける者はいなかった。誰もがクストさんが犯人だと思っていた。


「確かにゲルさんを殺した犯人に一番疑わしいのは俺はもしれない。だけど最初の殺人を思い出してくれ。被害者は俺の妻なんだぞ、しかもその時俺には勇者候補のヒロさんと一緒にいたというアリバイがあるんだ!」


俺は一晩寝ていない疲れなのかすっかりそのことを忘れていた。確かにヘスリーさん殺害はクストさんには不可能だ。事件がどんどんと複雑になっている。


「それにだ、俺はゲルさんを殺す動機がない!俺とゲルさんは昨日が初対面なんだぞ!しかもあの状況でゲルさんを殺したら俺が犯人だってすぐバレるだろ、わざわざ自分が犯人ですって言っているようなもんだ。そんな中殺るわけないだろ。」


クストのその言葉に誰も反応を示していなかったが、俺はクスト犯人説が薄くなっていった。

ゲルを殺害できるのはクストしかいない。アリバイの件もそうだがあの異様な毒物の匂いを朝になるまで気づかないことなどあり得るのだろうか。だからといってクストさんには動機が一切ない。

ダメだ、犯人が誰なのか全くわからなくなってきた。

沈黙が続く中、パレントさんが話し始めた。


「とりあえず今日はそれぞれの部屋で待機しましょう。自分の身は自分で守る、そうしましょう。」


パレントさんは言い終えると1階の自分の部屋に帰っていった。昨晩はあんなに怯えていたのに今日はそれが嘘だったかと思うほどに冷静だった。


「俺は最初からそのつもりだったんだよ。」


ピアーは怒りながら階段を上って行った。


「クストさんはどうしましょうか?」


レンが俺に聞いてきた。


「とりあえず一番疑わしいのでどこかの部屋に閉じ込めましょう。」


俺の提案により、クストは1階の空き部屋に閉じ込めることにした。その方法は岩魔法使いのレンが作った大岩をクストが入った部屋のドアの前に置くというものだった。そうすることによってドアは開かなくなりクストは閉じ込められる。


レンアン夫妻が自分たちの部屋に戻った。俺も自分の部屋に戻った。部屋に入ってすぐに鍵を閉めた。

昨日から色々あって疲れた。強めの魔物討伐より疲れたよ。大精霊と契約して死ななくなったとは言え、逃げられない状況の中に殺人鬼が混じっているというのは精神的にかなり参ってしまう。今日こそは何も起こらず終わってくれればいいんだが、それと明日には吹雪もやんでくれないかな、、、

俺はそのまま寝てしまった。


目が覚めて窓の外を見ると、すっかり暗くなっていた。吹雪は弱まっていた。この様子じゃ明日の朝にはやんでいるだろう。俺はまた眠りについた。

空腹によって目が覚めた。そういえば昨日の朝から何も食べずにそのまま寝てしまったな。

俺が起きたころにはすでに朝になっていて吹雪もやんでいた。ドアを開け階段を下り、ロビーに行くと、

そこのはピアー、レンアン夫妻が椅子に座っていた。


「遅かったな勇者候補、お前がいなきゃ魔物が出るかもしれないこの山を下りられんだろ。」


ピアーは腕を組みながら俺の顔を一切見ずにそう言った。


「すみません、あとはパレントさんが来たらみんなで山を下りましょう。そのあとは近くの教会にいってそこの担当の人たちとまたここに戻ります。」


「また戻ってくるのか!?」


「ええそうです。事件を捜査してもらうのにピアーさんたちの証言は大事ですから。」


ピアーはチッと舌打ちをしたがそれ以上何も言い返してこなかった。


「俺、パレントさん起こしてきます。」


俺はパレントさんの部屋の前まで着いた。そこで嗅いだことのある嫌な臭いがした。

まさか!?

扉を開けるとそこからはゲルが死んでいたときと同じ臭いがした。パレントさんは床に倒れ込み口から泡を吹いていた。そして案の定脈はなく死んでいた。







読んでいただきありがとうございます!

ブックマークや★★★★★もお願いします!

誤字脱字報告もお願いします

評価してくれた方、ありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ