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平凡JKと異世界帰りの自称名探偵  作者: アタリ・ツキ
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ユミの推測2

「これが2人目の犠牲者が出るまでの流れだ。」


赤羽くんはそこで話を区切るとジッと私の顔を見る。

日が沈みかけている時間、平凡JKの私が学校の人気者の男子と下校している。


「この段階でのユミの推理は?」


ジッと私の顔を見ている表情、これは私に期待している顔だろう。

私は推理してみることにした。

1人目の被害者、ヘスリーが殺害された状況を考えると赤羽くんの推理と同じで容疑者はゲルかパレントになる。でもそれは不可能だとゲルが証明したことにより、ヘスリーを殺害できる人間がいなくなった。

とりあえずヘスリーが殺された状況はあとで考えることにしよう。

そして同日夜、2人目の被害者ゲルが毒殺された状態で発見された。その夜は対策としてペアを組んでいて、被害者ゲルのペアはクストだった。そのためゲルを殺害したのはクストの可能性が一番高い。

殺害方法はヘスリーのときと違って毒殺。


毒殺!?これならあの人が犯人と証明できるかもしれない。


「犯行道具の毒は発見されたの?」


私は質問した。赤羽くんの口元が少しだけ緩んだ。


「ゲルの死体を発見してすぐに俺はゲル殺害に使ったであろう毒を建物内くまなく探した。だが一向に見つからなかった。全ての部屋、全ての通路、隠し部屋などないか2時間はさがした、それでも見つけられなかった。全員の荷物検査もしたがなかった。俺は犯人が吹雪の雪山に投げ捨てたと考えた、周辺を探したがなかったよ。それにあの匂いだったら恐らく魔物が集まってくるはずだ、でも周辺に魔物はいなかった。」


やっぱりそうか、となると犯人はあの人しかいない。


「犯人はクストじゃないの?」


赤羽くんは表情を変えず、「とりあえず理由を聞こう」とだけ言った。


「クストが使う魔法は金属魔法、多分使い方は金属を具現化したり、自由に操れたりしたんだと思う。

金属と聞くと鉄や銀とかを思い浮かべるけど、実は毒になるものも多い、例えば水銀、タリウム、カドミウムとか、クストは魔法でそれらを作り出しゲルに飲ませた。これ以外考えられない。」


赤羽くんはなるほどなるほどと相槌を打った。

私は自分の推理が絶対合っていると思っていた。しかし赤羽くんの口から出た言葉は予想外の言葉だった。


「不正解だ。」


「そんな、」


「毒の正体は金属ではない。俺がゲルの部屋に入った瞬間に思った、これは異世界にしかないものだと。」


だめだ、もう思いつかない。絶対に合っていると思ったのに。しかもまだヘスリーを殺した人物もその方法うもわからない。一体何から考えれば…

突然頭に感触がした。上を見ると赤羽くんが私の頭を撫でていた。


「え、ちょっと何するの!」


私は慌てて手を振りほどいた。

これが私じゃなければ、この男に惚れてしまってもおかしくない。

赤羽くんは満面の笑みを浮かべた。


「いやー、推理が行き詰ってると思ってさ」


確かに行き詰っていたが、頭を撫でるという行動の意味はわからなかった。


「ヒントはすでに出されている、俺が説明したことを冷静に考えればわかるはずさ。」


「そんなこと言われても…」


すると突然赤羽くんが立ち止まった。私は数歩後ろに下がり赤羽くんの横に立った。


「どうしたの、突然。」


赤羽くんが指をさした。その方向にあったのは全国チェーン店のハンバーガー屋だった。


「あそこで休憩しよう。」


突然の提案に私は困惑した。


「いや、私もうすぐ家着くんだけど。」


「だからこそだよ、まだ事件は終わってないからね。」


その言葉に私は驚いた。2人目の犠牲者が出て、てっきり事件が終わったと思っていた。事件が終わっていないということは3人目の犠牲者が出るということなのか、これ以上複雑化したら事件を解ける気がしない。


私たちは店に入った。少し混んでいたので列に並んで商品を注文した。赤羽くんはハンバーガーとポテトを頼んだが、私は家にご飯があるのでジュースだけ頼んだ。空いている席があったので向かい合って座った。

すぐに話が始まると思ったが赤羽くんはハンバーガーを食べ始めた。

半分くらい食べ終えてから口を拭くと私の方を見た。その頃には私はジュースを飲み終えていた。


「じゃあ続きから話すね。」


赤羽くんは話始めた。






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