後悔は先に立たない
お久しぶりです
お気に入り登録等しないとシンプルに回線が重くなる呪いをかけます
その「店」に入ったとき、真っ先に理音が見たのは、部屋の奥に鎮座する麻雀卓だった。
かなり古く、錆びた雰囲気すら感じる代物。
カウンターにはチップと金庫があり、スタッフとおぼしき男がタバコを吸いながら、それを管理している。
ここは、麻雀を打つ店である。
歌舞伎町の奥にある、雑居ビル。四階の、何の看板も印もない部屋に連れられた理音は、足が震えるのを感じた。
理音は次に、壁とドアを見た。
壁には防音効果のあるクッションが貼られていて、なるほど音が漏れたらまずいのだろうと、ここの主は思っているのだろうと理音は思う。
次に、理音はそこにあるべきものが無いことを察した。
警察・公安に営業許可をもらったという、ハンコ付きの書類。そして(誰も守っていないが)取るべき場代を示した額入りの書面。
それらが無い。
にもかかわらず、あくまでここは店である。
ふう、と彼はため息をついた。
「ええっと、ここって『五』でしたっけ」
理音は隣に立つ少女に聞く。
「……ううん、『三』。そこまで高くないよ」
「ああ、そうですよね、三ですよね」
その三は、ぜったい三〇ではない。
よし、逃げよう。
理音は踵を返す。
「……トイレ? なら左の部屋」
「すみません、持ち合わせなくて。現金下してくるの忘れちゃった」
「……? 別に、あとでアプリ使って払うのでも大丈夫だけど」
違うそういう問題じゃない……!
ていうか、なぜあなたはこんなところに来ているのだ。ぜったい来なれてる人じゃん。怖いよ。




