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やっぱり新宿は怖い

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さもないと、某戦闘狂♦と戦わなければ出られない部屋に閉じ込めます♠


 その前に、と理音は思った。この遼子という先輩は何をしている?

 ここは新宿・歌舞伎町。日本屈指の歓楽街で、特に「そういう店」も……警察の目が届かない社会の拠点も多い場所。ふらっと女子高生が一人で来るような場所ではない。

 まして、最近調子がよろしくないという子なら。

「……あのさ、キミ、付けてきた?」

 思いを巡らす理音の顔をうかがいながら、後ろ手に聞く遼子。

 さて、と理音は考える。ちょっと考えどころである。

 答え方によってはアレ、というか照れるとは言わないが。

 ストーカー扱いも心外であるし。

「ちょっと……人に見てこいっていわれて」

 と、適当なことを理音は口にすると。


「……あっ、そういうこと。なんだ、早くいってよ」

 遼子は何かを得心したかのように、手を叩いた。

「早く、って?」

「……道、わからなかったんだ。確かに、少し迷うよね」

「はい?」

「……まったくもう、何がちょっと不安に思うかもしれないけど、だっての。彼のことなら知ってるし、信頼できるのに」


 何かおかしい。違和感が理音の心を撫でるように刺激する。

 そんな理音の様子を知らないでか、遼子は一つのビルに目をやった。

 路地に面する、灰色四階建ての、古めの雑居ビル。

 遼子は、入り口にあるインターホンを操作した。

「……『アー、アー、聞こえます?』」

 そう、彼女は声を出す。

 返事をするのは、四〇台ほどの男の声。

「ああ、杵田さんか。念のため聞くね、『どちらから来ました?』」

「……『坪井さんの紹介で』」

 うん? と理音は首をかしげる。 

 普通といえば普通であるが、どこか違和感のある受け答え。


「……ほら、キミも」

 遼子に促される理音。流れのままに、インターホンの前へ。

 心なしか、暗いなと彼は思った。

「そっちの人、新規の人だよね? 『先、お飲み物を聞きます』」

「じゃあ、梅昆布茶一つ」

「『梅昆布茶一つ』ね」

 反射で、好きな飲み物もとい麻雀店ドリンクを頼んだ理音。

 

 少したって、インターホン横にあるガラス扉が開いた。


------


 昔、理音は家で、ある少年漫画を読んでいた。

 こんなシーンがあった。主人公の少年が、賞金稼ぎになるために必要な資格を得るため、隠された試験会場に向かう。その試験は難関で、試験会場にたどり着くこと自体が一つの選抜テストとなる。

 試験会場への入り方はこうだ。どこの街にもありそうな定食屋に入り、ステーキ定食を注文する。

 焼き方を聞かれるので、弱火でゆっくりと、と頼む。

 それが秘密の合言葉。

 事情を知る店員が、奥の方にある個室の方へと「客」を案内するのだ。


 理音はその時思った。これ、たまたま一般人がステーキ定食の弱火焼きを頼んじゃったらどうするんだろう、と。



実績解除:二か月連続某東風戦の店で役なしチョンボ

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