高校は少し都心から遠い
今更ですがこの小説は麻雀を知らなくても楽しめます
少し経った日。理音は人見高校一年生として、まだ馴染まない制服に身を包み、登校していた。
理音の通う人見高校は、東京都西部では名の知れた高校だ。多摩地域の丘陵部、緑豊かで坂の多い、静かな地区にあった。進学実績がよく、バスケを筆頭にスポーツもそこそこ強い、各種行事も熱の入った学校だと理音は聞いていた。
授業が終わった後、新入生同士の集まりがちらほらと出来上がりつつある時間。理音は教室を静かに出て、一年生用教室の多い一階から、指定された部屋のある校舎四階へと向かった。
理音が上った先は、校舎四階南側の通路。静謐な空間であった。
カツン、と靴音を響かせて理音は指定された部屋の前に進む。
周りを見る。多数のドア。その上には看板があった。鉄道研究会、映画同好会、オセロ部。文化系の部活が集まる部室向け地区のようだった。
指定された部屋のドアに、改めて目を向ける。閉まっていた。看板も、何の文字もなかった。
人はいないようだ。それもそうだ。ふつうの部活は、今頃部員集めの勧誘やオリエンテーションに向かっている。
ではここは? そういえば、入る部活を決めていなかった。校則上、基本的に生徒は部活に入るのが原則である。
えっ、じゃあ早めに決めないとじゃん。バスケはダメ。
で、それはそれとして。
……? がやがやとした音が、廊下の窓越しに聞こえるのに気付いた。窓越しに、校舎と体育館をつなぐ通路が見えた。多数の部活が、新入生を集めようと奮闘していた。
理音はそれを見るのをやめる。しずかに、理音はドアを開けた。
目にしたのは、背の低いテーブルと少女。少女は机に突っ伏して、寝ていたようだった。
「ちょっと佳、ノックくらい……ってあら」
少女の声がした。彼女は理音の物音に反応し、体を起こして目を覚ます。
「どなた?」
「い……一年生の酒井理音と言います」
まずは自己紹介。いろいろな意味で状況は把握できていないが、まずはこれを言わないと何も始まらない、と彼は思った。
ここはなんの部屋だ。ことねはどこだ。何のために自分は呼ばれた?
少しずつ、飲み込んでいこう。
「いらっしゃい。私は三年の柳津紗耶香だけど……もしかして、ことねちゃんが言ってたのってキミのこと?」
あまり把握できていない理音に比して、少女――紗耶香は事態をすぐに把握したようだった。
眠そうだった目が、すぐにぱあっと開く。
「そうですが、そのことねさんは何処に」
キレイな人だな、と理音は思った。黒く長い髪が、跳ねる。ガタと、椅子が動く音がする。
少女は立ち上がった。そしてなお一層、ますます紗耶香の目は輝く。
「やっと! やっと来た! ツモった!」
「いるんですか――ってモフ」
がばっと覆いかぶさる身体。
・決まったアガリの形がある
・アガると点数がもらえて、その点数の差で勝敗が決まる
・配牌(初期の手)とツモ(山から引いてくる牌)は運で決まる
くらい覚えておけばなんとかなります




