もう楽しくない、とは言わない
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さもないと牡蠣があたる呪いをかけます
合宿は、彼にとってなんやかんやとあったけれど楽しい思い出であった。
暇さえあれば麻雀を打つ。暇でなければ牌譜を見たり、プロの試合を見てあーだこーだと言い合ったり。
途中、何かとんでもない味の物体を口にする機会があったような気もするが、それはそれとして。
問題は、かの中崎圭なる生徒の言い分である。
麻雀は賭博だから、不健全だから、部活にふさわしくない、と思う分にはまだいい。
どうやら、個人の考えで合宿申請を握りつぶしたらしいが?
そこまでいったら戦争だろうが、というのは大げさだけれど。
言い合いをする部員をみて、そのときの理音はこう思ったのだった。
ああそうかい、そこまでいうなら黙らせてやろうじゃないの、と。
要するに、麻雀なるものは健全で、ちゃんと実力差が出る競技で、それ自体は面白くてやりがいのあるゲームだと思わせればいいのだと。
「まあ、簡単な話、例の競技大会に出れば済むってこと。というわけで親父、その日雀荘入れないからよろしくな」
そういうと、父は日本酒をテーブルに置き、刺身をつまむ左手を止めて言った。
「それは構わんが」
理音は、晩酌をする父親の姿を目にして思う。
自分、変わったなあと。ちょっと前の自分であったら、そうだそうだと中崎女史に賛同して、そのまま部活を抜けるくらいしていたかもしれない。
それが今やなんだ。逆にあれだこれだといわれて、麻雀が楽しくなっているじゃないか。
「ふうん……お前も競技の麻雀に行くのか」
かたや、少し寂し気な顔を見せる父。
逆に、理音も一言いいたい気分になってくる。
「どうした? やっぱ親父にとって、金をかけない麻雀は嫌い……か……あっ」
ノーレートなんかつまらないだろう、ではなかった。
「……」
黙る父。無理もない、やってしまったと理音は思う。
この前、その件とは別件で中崎圭にタンカを切ったところではなかったか。
なぜ、この父はシングルファザーをやっているのか。
「……」
父は酒と箸を置いた。
この父にとっての妻――理音が物心つく前にこの世を去った母――は、競技麻雀のスターだった。
実績こそ乏しかったが、常人離れしたセンスで未来を約束されていた。
その約束をつぶしたのが、あの車。
競技リーグへの復会届を握りしめた、母の身体を……。
こういう事情を知っているから、宝石の従業員はあまり競技の話をしない。もちろん、競技プロが仕事をしにくるのは止めないけれど。
理音は、なんとか話題を変えることにした。
……変える? どこに?
とりあえず。理音はこういうことにする。雀荘オーナー/店長にとって一番うれしいだろう言葉を。
「俺さ、今麻雀が楽しいよ。どんな形でも」
「うん?」
父は顔を上げた。その顔は、少し赤くなっていた。酒が回ってきたか? それとも。
ひっさびさにPoin〇の桜ルール打った
おもしろかった
某摘発雀荘のメンバーがいて昔話をした




