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やはり紗耶香は強くない

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さもないとセット麻雀打ちたいのにどこいっても満卓になる呪いをかけます

しばらく、四人は麻雀を打った。

「ロンです、二九〇〇(ニッキュー)は三二〇〇(ザンニ)……ごめんなさい、競技麻雀ならニセンキュウヒャクでしたね」

「ツモ、七〇〇(ナナヒャク)―一三〇〇(センサンビャク)……はあ。リネくん、この三-六萬マン止めたでしょ。なんでわかるの?」

「目線」

「……ロン、一八〇〇〇(イチマンハッセン)……部長からあがったのであたしのトップと」

 続き。

「ツモです、一〇〇〇(セン)―二〇〇〇(ニセン)。部長、これ千点棒じゃなくて五百点棒です」

「流局、テンパイ……あーん、私の一索ソーどこ!?」

「さすがに止めました」

「リネくんの言う通り。明らかに染め手ですもんね。ウチも止めました」

「ロン、一五〇〇(センゴヒャク)! やっとあがれたわ、これでことねちゃんと遼子に追いつき」

「ツモ、マンガンで二着です。遼子さんナイス優勝」

 ……。

 結果。

「……。」

 なんと言うべきか、理音は迷った。

 理音は手元に目を落とす。スコアを記した紙。数字と名前。

 +百十五 我孫子 +八十一 杵田 ▲二 酒井 -百九十四 柳津

 ……。

「えーっと……とりあえずこと姉、おめでとう?」

「いったんね。リネくん、集計ありがと」

 明らかに、ボロ負けの人が一人。

 ノーレートだから助かってるなと思わずにいられない。正直。この業界にいる人として。


 やっぱりなあ。

 だいたい、打ち筋がわかってきた理音であった。

 ことねの打ち方は、それなりに昔から知っているからわかる。デジタル派といわれる、数理的な有利・不利を重視するタイプ。

 確率と抽選のゲームと割り切る。自分や自分の父とは違う、真逆だなと理音は思った。理音は理音で、どうしても流れや空気を読もうとしてしまうから。

 遼子も、だいたい読めてきた。

 遼子は、とにかくスピードを求めるタイプ。鳴きと呼ばれる戦術を多用。点数は下がるが、手組の速さを重視して相手を圧倒しようとする感じ。雀荘打ちの人間には、けっこういる感じの。

 ことねは、ネット麻雀を覚えた人間ではよくいるタイプ。デジタルな数理ゲームとして麻雀を突き進めるタイプ。

 たぶん、遼子はリアルの麻雀で覚えたタイプ。

 で、部長は?

「……」

 明らかに、やはり、弱いとしかいえない。

 色々、展開を思い返す。

 たとえば、一戦目の中盤、東三局。字牌と呼ばれる牌を切って遼子に刺さっていたが、あの字牌はふつうなら止める手だ。ちゃんと読めば、遼子に対して危険牌と分かる。

 上がれなかった、と惜しげに手を公開したとき。それを理音が目にしたとき。

 無茶だろ、と理音は思った。たしかにあがれれば高い手だけれども。その待ち――アガリに必要な牌――はあまりに薄すぎる。

 ちょっとまて、これで部長? ヤバくね?

 これが理音の印象。 

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