それでもことねは部活をやりたい
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さもないとゲームの課金画面で
1000円くらい払うつもりが間違って2万円突っ込んじゃう呪いをかけます
それでどうしたの、と聞く彼に対してことねは言った。
もう一回、部室に来てくれない、と。
「どうして」
理音は聞いた。すでに気持ちは伝えている。部室で、あと帰り道で。
もう付け加えることもないと理音は思っていたのだけれど。
まさかとは思うが、と確認する。
「俺の負け分、払えってこと? えっと点5だったら……-32ポイントだったから払いが……」
「バカ。うちは賭けてなんかやらないよ」
これまた即答で、逆に助かる、と理音は思った。
ついでに、ことねが何かを飲み込む雰囲気を感じ取った。
「明日、さ。生徒自治委員のスタッフが、監査に来るのよ。部室がちゃんとしてるかとか、活動してるかとか、それで……」
うん、それで? 理音は声には出さず、続きを待つ。
「部員が足りないってバレたら、明日限りで麻雀部が終わるかも」
なるほどな、と理音は思った。
「それさ……帰るときに言わなかったのはなんで」
「言える雰囲気じゃなかったでしょ。でも、やっぱり諦めたくない」
「どうして」
同じ言葉を繰り返してしまった、と思う。
「別に部活じゃなくても、麻雀なんてできるじゃん。それこそネットでも身内仲間でも」
「部活としてやりたいの」
「いうて、遊びだろ?」
「こっちは競技としてやってんの。学生の間じゃないと、真剣にできないでしょ」
「ただの運ゲーだぞ。雀荘業の息子が言うのもなんだが」
「だから運要素減らして、ルールいじってるんじゃん」
なんだか会話がかみ合わないな、と理音は思った。
「だいたいリネ君は、どうする気なの。仮に麻雀部に入らないなら」
「運動部やりたい。バスケ……はダメだから、どこかのぞかせて貰おうかなって。バレーとか」
「うちのバレー部、厳しいよ?」
「いいよ、逆にその方が気合入る」
「そう」
理音は、大きなため息を聞いた。
しばし無言。
「助けてよ」
少し悲壮感のこもった声。ことねのほうが、沈黙を破った。