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王都へ①


世俗まみれな女神の化身と自分で言っちゃうけど、活版印刷事業は軌道に乗って私自身もかなりなお給料をいただけるようになったの。


これで公爵家から出て自活出来るかしら?と思ったけれど、女神の化身をお守りするという目的があるからって、公爵様に懇願されちゃった。


いや、もう平身低頭って感じで、貴族しかも公爵家当主が土下座するかの勢いで膝をついて深々と頭を下げたからビックリして「ずっとこちらでお世話になります!」と叫んじゃった。


公爵様はホッとして満面の笑みだったけど…あーあ、もうずっとお世話になるしかないのかしら。なんか申し訳ないのよね。やっぱり私は平民で普通の新入社員なんだわ。


「菜那様、公爵様がお呼びです」


公爵様膝付き頭下げ事件から1週間程経った時に珍しく執事のジェームズさんが私の部屋へ来てそう伝えたんだけど…一体なんだろう?公爵様の希望でほぼ毎日夕食は一緒だから、その時に色々今日あったことや用事なども話したりするのに…お急ぎなのかしら?


何事かと慌てて執務室へ向かうと、思ったより普段通りの公爵様が執務机に向かっておられてびっくり。


「あ、菜那様、ご足労いただき申し訳ございません。実はこちらに陛下からの御招待状が届けられまして…」

「…陛下?」

「はい、国王陛下です。女神の化身の菜那様に拝謁したいとのお申し出です。来週木曜日の昼食にお誘いいただいていますので、すぐに準備に取り掛からなければと思いましてね」

「え?国王陛下が?!昼食?!」

「はい、来週の木曜日です。すぐにドレスやアクセサリーなど用意しなければ。ジェームズ、ローズに言って最上の物をすぐに用意させてくれ」

「はい、ローズへは既に指示済みでございます」

「うん、さすがジェームズ。頼んだぞ」

「かしこまりました」


え?用意?だってもういっぱいドレスもなんでもあるのに?…という私の心の中の声がダダ漏れだったのかもしれない。


「国王陛下に拝謁する為のドレスは正装でないといけないのですよ、菜那様。菜那様がクローゼットにお持ちのドレスは普段着や普通の訪問着で、正装ではないのですよ」


さすが公爵様。私の疑問を全部教えてくださった。


部屋へ戻るとローズが待ち構えていて、今日の午後にドレスの件で来客があると言う…。来週の木曜日まであと8日しかないけど、そんな短期間でドレスって用意出来るのかしら?しかも王宮まで移動に2日かかるというし…。


そんなことは杞憂だった。


洋服店の店主がニコニコ顔で物凄く綺麗な刺繍入りで落ち着いた感じの少し緑がかった生成色のドレスを持って来て、いきなり試着から始まった。以前着た生成色の刺繍があるドレスとは大違いで厳かな衣装って感じ。普段着を作る時もこの洋服店に依頼していたから初めてじゃないんだけど、このドレスは最初からぴったりで本当にビックリ。


「少しこちらはお詰めした方がよろしいですわね」

「ローズ様、こちらのドレスに合うアクセサリーはこちらになりますが…」


店主とローズで淡々と進められていてなんか門外漢な私。ただ突っ立ってローズの指示通りにする、みたいな。


普段着や訪問着を作る時に採寸されたけど、どうやらその時に既に正装も発注されていたみたい。いずれ陛下に拝謁するだろうから、と。


あっという間に店主とローズで打ち合わせされ、私はキツくないか?とかアクセサリーはどちらの色が好きか?といったことへ答えるだけで、全て終わってしまった。


そうして日曜日に微調整されたドレスが届けられ、木曜日に拝謁と参加する昼食会への準備はあっという間に完了してしまった。そして馬車で王宮領下にある、いわゆるタウンハウスへ月曜日の早朝に出発。


朝から夕方まで1日中馬車の中で、麗しい公爵様とずっと一緒なのかと緊張していたら、なんとローズと2人にしていただけたのでホッとしたわ。ずっと同じような景色を見ての移動は辛かったけど、さすが公爵家の馬車は揺れが最小限みたく、うとうと眠りながら2日間過ごせてホッとしたの。


火曜日の夜遅くにタウンハウスへ着いて、水曜日はゆっくり過ごたんだけど、ほぼ領地での生活と同じで、場所が違うだけって感じ。


あとはドキドキして明日を迎えるだけ。いや、それが1番嫌なんだけど。

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