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始動④

販路はどうするのか?と思ってたけど、あっさり解決。


修道院を問屋兼直売所にして、各地の教会へは月1公爵邸に報告に来られる牧師さまにお預けし、各地の教会で販売することになったわ。各地の教会の牧師さまって月1担当地区の近況などを報告しなければならないって初めて知ったのよね。


確かに教会は必ずあるものだし、組織化されているから、そこに地区の管理を任せるのは合理的だと思う。しかもこの公爵領では時々担当地区の入れ替えっていう、転宅を伴う転勤まであるっていうから、癒着もなくなる。公爵様って凄いわぁ!


ん?でも待って?領地境の牧師さまって移動だけで大変じゃない?!


「アミールとトーンは遠いので公爵様は馬を支給されているんですよ」


成る程。徒歩だと1週間かかっても、馬なら3日で着けるんだ…。


「でも片道3日だと月の内6日も移動に費やすの?」

「ああ、アミールとトーンは2ヶ月に1回の報告、ダボスとモンタナは1ヶ月と2ヶ月交互の報告なんですよ」


成る程、配慮されてるんだなぁ。


そして例の聖書!

ぼったくり的なお値段の薄っぺらいものだったけど、大ヒットしたとニコニコ笑顔の公爵様に言われちゃった。


「他の領地でも是非販売したいと注文が来ているのですが…菜那様、お受けしてよろしいでしょうか?」

「勿論です!」


結局公爵様が仰ったように、紙の需要増で値段が1割程上がったし、トマスじぃに活版を増産して貰う為の資金も必要だったから、ぼったくりのようなお値段でも丁度良かったのよね。さすが広大な領地を経営している公爵様だなぁ!


次に依頼が来たのは教科書だった。日本での小学校や中学校だけでなく、士官学校等からも依頼があったのにはびっくり。


毎日物凄く沢山の印刷と製本をしなくちゃならなくて、修道院では被服作りなど他の作業が全く出来なくなって来たので、公爵家所有の小屋を作業所として整理し、母子家庭のお母さん方などを雇って印刷作業することにしたの。


最初貧しい地区の人をと思ったけど、そこの人達ってローズに言わせると細かい作業は間違えたりしやすいらしいのね。そこは校正さえすれば大丈夫なんだろうけど、1番の決め手はお給金だったの。


まず月給ではなく日当でないといけないこと。それから彼らにとって、細かい作業=大変な仕事…という認識で、日当を弾まないとやらないということ。その点はびっくりしたわ。仕事ならなんでもやります!っていうんじゃないのね。しかもキツイ仕事じゃないのに。いや、むしろこの世界の他の仕事よりは楽だと思う。


それなら母子家庭かなと思って…夫を亡くして小さな子供達を抱えて働けずに困っている人達がいないかどうか公爵様に尋ねたものだから…速攻でそう決まったのよね。


子連れで通勤、子供達は順番で働くお母さんの内の1人がまとめて子供達の面倒を見て、残りのお母さんが働く。そんな仕組みにしたの。


「さすが女神の化身様だわ!私たちのような未亡人をお救いになられる」

「菜那様!ありがとうございます!これで子供に毎日ご飯を食べさせてあげられます!」


…えっと…これパートタイマーとして時間単位で働ける仕事だから丁度皆さんに良くて…でも普通の賃金だからこちらも逆に助かってもいるんですが…?


雇用する人も物凄く増えたし、収入も半端ない。

もうここまで来ると事業と言ってもいいような気がする。


女神の化身が事業主って…なんかこう世俗まみれな気がするのは私だけかしら?

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