始動②
女の子達には私が公爵家の遠縁の家の娘として紹介されたので、皆普通に話しかけてくれて嬉しい!勿論公爵家と遠縁…ということは貴族なので、最初すごく丁寧口調だったけど、普通に話して欲しいとお願いしたら普通に話してくれて嬉しかったわ!
…ローズや女騎士さん達はハラハラしてたみたいだけど、私は普通の人間なんだから、これが普通なの!
女の子達は心を込めて編み物をし、それを廉価で売ることで皆に喜ばれてる。そんな修行ってなんだか修道院の維持費稼ぎと修行をうまく合わせられたような気もするけど、ここは娯楽がないからこういう仕事がすごくストレス発散にいいみたい。
特にシーナとベルが私と同い年だってわかって嬉しかった!1つ下のエリーもすごく明るくて優しい。最初彼女達に編み物を教わりながら世間話をして、この3人と特に意気投合しちゃった。
「あのね、聖書のことで教えて欲しいんだけど…」
え?という顔で他のメンバー達もこちらを見る。
「修道院で過ごす皆が1番大事で毎日読みたい章はある?」
「なんでそんなこと聞くの?」
そこで前日図書室で読んでおいた知識の登場よ!
「私はね、神の子が民に自分が育てた農作物を分け与える章が1番好きなんだけど…こう…神様のことを想う、考えるのに1番いい章って修道院の皆さんならどれだと思うだろうって思ったの」
そこからよ。
皆が盛り上がったのは!
でも結局3つの章に集中したので、この3つを印刷しようって思ったわ。ありがとう、皆さん!
その後は食べ物で何が好きかとかで盛り上がっちゃった。修道院という場所柄、日々の糧は質素だから、公爵邸のように甘いものなんて出ないし、他の一般家庭でも甘いものはお祭りの時だけみたい。甘いものを日常的に食べられるのはある一定以上の家庭ってベルが教えてくれたの。ちなみにベルの家は準男爵家でそれなりに甘いものを食べた方みたい。
それでも皆とはじゃがいもは茹でて塩を振ったものより潰して少しミルクを加えたもの(マッシュポテトね)が好きだとか、豆ならスープと炒ったのとどちらが好きかとか、地味だけど食べ物の話で盛り上がったわ。
なので私が砂糖菓子の話をしたら目がキラキラ!皆さんにひとつずつ食べさせてあげたかったけど、ここの皆さんにあげるほど砂糖菓子がある訳ではないし、そもそも私も「買っていただいた」側だし。
たわいもない会話がすごく楽しくて、つい編み物の手を動かしながらいっぱいお喋りしちゃった!
「また来てね、菜那!」
「うん!この編み物の続きをしたいんだけど…明日も明後日も来ていい?」
「勿論!…あ!」
ベルがチラッとローズを見た。ローズが頷いてくれたので良かった!以来毎日朝食後にここへ来て、2時間程編み物をして帰るのが日課になったの。今の作品は修道院が売ることになるけど、今後自分の冬用の服はなんとか手作り出来そう!楽しく自活への第一歩!最高じゃない?
トマスじぃの活字が出来たのはその直後。
さぁ、活版印刷のスタートよ!




