1.黒い猫の案内
24歳を過ぎてから仕事などを全て投げ出して、お金を使い果たし、ホームレスになって8ヶ月間が経った。
ホームレスの俺は、公園の椅子に座って寒さに凍えながら…
(俺はここで…終わるんだな…)
(俺は何をしたかったんだろう…)
そう思っていると、ベンチの後ろの段ボールの中から子猫の声がニャー…ニャーと聴こえてきた。俺は、段ボールの中を開いたら、今にも凍えて命が尽きそうな黒い子猫がいた。俺は巻いていたマフラーを子猫に巻いてから段ボールに戻した。人が通る道端に置いてから、公園のベンチに横になった。
(朝になったら誰かが気付くだろう…)
彼は、そのまま命を落とした。
何気ない行動を見た黒い影は(享年25歳の〇〇君ね。勿体無いね、この世界とは合わなかったみたいね)と見ていた。
◇
気付いたら真っ白な世界だった。見えるその先には黒い猫がいた。
黒い猫が僕を見ながら、こっちに来いと見ている様だった。僕は猫に向かって歩き出した。黒い猫も彼が付いてきたので、案内する様に、何処かに向かって歩いている。
先には黒い人影の様な者がいた。黒い猫はその影の脚に擦り寄った。その瞬間、影に入る様に猫が消えていった。影は気付いたかの様に口だけ開いた。
「ああ、君。黒い猫を助けた君だね?」
顔が見えなく黒く塗り潰された影に返答した。
「はい、たぶんそうですが…?えっと、ここは…?」
「ここはあの世だけど、少し違うところだよ」
俺は少し沈黙した。
「私は…死んだのですね…」
「そうだよね。魂だけの存在になっているけどね」
「魂…さっきの黒い猫は?」
「君が亡くなってから、さっきの黒い猫に君の魂を連れて来てもらったんだ。ちなみにさっきの猫は生きてるよ。君が元いた世界に戻ったけどね」
「そうなんですか…」
俺が死んでも、あの猫は生きてたのかとなると、あの黒い猫は案内役?だったのかと思ったが、気にせず質問を続けた。
「俺はこれからどうなるんですか?」
「君にはこれからね、違う世界にいくだろうね」
「違う世界って…」
「そうだね、本当は神とか呼んでいる管理者がね、ヒト族として転生してくれるんだけどね」
「貴方は神様ではないんですか?」
「私は黒い存在だよね」
真っ黒な人影は不敵な笑いの様な口でニッコリした。地雷を踏んだと思い、それ以上は聞けなくなった。
「怖がられさせちゃったね?」
「いえ…別に?(凄く笑顔になった気がして怖かったけど)」
「なら、安心したね。もう時間がないからね、いきなりだけどね、君にはこれから色んな種族とかね魔物とかいる世界になるから宜しくね」
「はぁ…わかりました」
「ここにあんまり長く居ると良くないからね。黒い扉を通ってね」
そう言うと、黒い影は黒い扉の方に指さした。彼がその方向を向いて確認した後、黒い影は消えていた。
(いなくなった?)
俺は黒い影の言う通りに黒い扉に歩み、手を掛けた。扉を開いたら真っ黒な世界が広がっていた。
(ここを進めというのか?)と考えていると俺の頭に直接、黒い人影の声が聴こえてきた。
「ここは夢の中に近いところね。とりあえず、前にだけ進むといいよね」
俺は周りを見回したが、誰も居ないので、とりあえず黒い世界に足を踏み入れた。黒い影に言われた通りに前にだけ進むと、光が差し込んできた。俺はそれに向かって歩いていった。
◇
気づくと視線だけしか動かせなくなった。目蓋を閉じた状態だった。俺は目を開けてみる。そこは森が広がっていた。あたりを見回そうとしたが無理だった。籠に入れられていた。
(赤ん坊じゃん!?)
どうやら僕は森の中にいた赤ん坊に転生したらしい。それと、普通なら聞こえる耳とお尻に違和感を覚えていた。
(自分の身体に違和感あるけど、焦ってもしょうがない。何もやる事ないからどうするか…夢だと思って寝よう)
僕は現実逃避して、スヤスヤと寝ているしかなかったのだった。他にやる事ないからね。いつの間に寝ていたが、気が付くと男に籠を抱えられているのであった。
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