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第四話:生徒会長

SIDE 颯




ソファーの上で目が覚める。入学式の後、帰ってきてソファーで考え事をしていたら、そのままずっと寝てしまっていた。



時間は4時前、取り敢えず昨日寝てしまって入れなかった風呂にはいることにした。と言っても、シャワーだけだが。





* * *





頭とか体を洗いさっぱりした。今はドライヤーで髪を乾かしたところだ。




風呂から出て、ちょうど腹も空いてきた。そう言えば、昨日から何も食べてない気がする。



そう思いつつ、キッチンに向かい、冷蔵庫から卵とハム、野菜室からレタスを取り出した。



ご想像の通り、目玉焼きとその他です。






* * *






朝食を食べ終わり、大分ゆっくりした後、テレビのニュースを観ていたら時間が7時前くらいになった。


昨日、教科書とかジャージを貰うはずだったのだが、帰ってしまって貰えなかったから、今日早めに学校に行くことにした。





歯を磨いた後、それからまた制服に着替え、昨日と同じ持ち物の鞄と財布を持ち、靴を履き外に出た。


当然、鍵も閉めました。





* * *






人気のない学校に着くと、また昇降口に人がいる。だが今度は女子専用の制服を着ているから生徒ってのは分かる。



俺もまた気にせず、通り過ぎようとしたが……。



生徒:「おや?一年生か?おはよう」



颯:「……ども」



生徒:「声が小さいぞ、ほらもう一回」



声を掛けられ、挨拶してきたから俺も返した?が、逆に怒られた。


誰だよこの人?っていうか来るの早すぎだろ、登校時間まであと一時間はあるのに




颯:「………」



生徒:「まったく近頃の子供は……、ところで私は暇なんだが」




そりゃそうだろう。周りには俺とこの人しかいないんだから。ってかここで何してんだ?




颯:「……はぁ」



生徒:「ん?そういえばキミ名前は?」



颯:「……天宮、です」



女・生徒:「天宮君か、私は春野悠香、一応生徒会長だ。よろしく」




名前を聞かれたから答えたけど、この人生徒会長?うわっ名乗んなきゃよかった〜、あ!だから来るのが早いのか、挨拶運動ってやつね。ご苦労なこった。




春野:「………」



颯:「……あの、なんでしょか?」



春野:「ん〜、キミなかなか良い面構えをしているな。私と付き合わないか?」




顔をじっと見られ、何を言い出すかと思うと、交際交渉だった。


何だこの人?俺、苦手だよこういう人、何考えてるかわからないから。



そういえば告白、されたのか?だって今付き合ってくれって言ったよな?あ、もしかして生徒会ってこと?……無理っすね。


一応確認のため、取り敢えず聞き返した。



颯:「それは……生徒会の勧誘ですか?」



春野:「え?違うぞ、私の彼氏にならないか?という勧誘だ」




彼女は首を横に振り、俺の考えを否定した。




春野:「それで、どうなんだ?」



彼女に急かされて少し考えた後、答えが出た。



颯:「……すいません、お断りします」



春野:「そ、そうか……振られてしまったか…」




彼女はホントにショックだったらしい。周りから見てもわかるように、うなだれている。……冗談じゃなかったのか?




颯:「春野先輩は、そんな簡単に人を好きになるんですか?」



春野:「いや、そういうことはない。私はキミに興味が沸いたんだ」



颯:「じゃあ興味があれば付き合うんですか?」




こんなに喋ったのは久し振りかもしれない。しかも知らない人と、前は恭介と…だったかな……。




春野:「なんだかキミのことがね、ほっておけないんだよ。初対面なのにね」



颯:「っ……」




「ほっとけない」……この言葉を言われるのも、恭介以来で驚いた。




春野:「何というか、母性本能がくすぐられるというか、一緒にいると…安心感?があるのかな?」



颯:「……そう、ですか」



春野:「うむ、残念だ………。諦めんぞ?」




この人今、変なこと言わなかった?俺もしかして、面倒な人に目付けられた?




颯:「えっと……用があるので失礼します」



春野:「ちょっと待て」




逃げようと試みたが、腕を掴まれ失敗に終わった。




颯:「まだ何か?」



春野:「キミのクラスと下の名前、ついでに電話番号とアドレスなどを教えてほしいんだが」



颯:「一年二組二番、立つ風って書いて颯、それと携帯電話は持っていません」




事実、周りの殆どの人は持っているだろう。だけど俺にとって携帯電話は需要がまったく無い。




颯:「では」



春野:「あ、ああ。それと私のことは悠香でいいからな」



颯:「わかりました…」





彼女と別れ、昇降口で上履きに履き替え、職員室へ向かった。



俺は彼女から逃げた。喋っていて思ったことがある。「深く関わるな」、そう頭を過ぎった。やはり名前を教えない方がよかったのかもしれない……。それか二度と関わらないか、それしかない。






* * *






生徒:「ごめん悠香、遅れた」



悠香「遅いぞ皐月!それでも生徒会か?」





皐月という子、本名尾形 皐月、彼女は生徒会のメンバーであり副会長、私のよき友でもある。





皐月:「そんな怒んないでよ、まだ誰もいないんだし」



悠香:「もう来てる生徒はいるぞ」




さっきまで喋っていた生徒天宮 颯君、そういえばなぜ彼はあんなに早いんだ?




皐月:「あ!さっきの子?そういえば親しげに喋ってたよね?知り合いなの?」




見ていたのか皐月……何故もっと早く出て来なかったんだ?




悠香:「初めてあった子だよ。……はぁ〜」



皐月:「初めてあった子?しかも溜め息?珍しいね、何かあったの?」



悠香:「交際を申し込んだんだが……振られてしまった」




ショックだった。初めて会った子を気に入り、初めての告白を……はぁ〜。




皐月:「へ〜告白したんだ〜って、うそぉ〜〜!!断られたの!?アンタが!?」



悠香:「そんなに驚くな、たいしたことは……あるな、ショックだよ」



皐月:「生徒会アイドルが振られるとは………これは事件だね。悠香悪い、用事があるの思い出したよ」




そう言いながら、急いでどこかに行ってしまった。おのれ、生徒会の仕事をサボりやがって




悠香:「まったく……あれで副会長か?」



生徒:「おはようございま〜す」



悠香:「え?お、おはよう」




突然声を掛けられ驚いだが、周りを見ると生徒がちらほらと登校してきている。時間も見るとあと少しで登校時間になる頃だった。




悠香:「さて、頑張るとするか」


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