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100.国王の苦労



「失礼ながら陛下に奏上致します」


話があるとかでキュフリー侯爵から面会の約束を取り付けられたんだけど、面会する部屋へやって来たらキュフリー侯爵だけでなく、ドミニク伯爵やペリーニ子爵も居て驚いた。

カルロも知ってたなら教えてくれればいいのに。と涼しい顔で僕の一歩後ろに控える男に非難めいた視線を送る。


「ルーベンス・タッカード・ルーテル公爵につきまして、ご報告申し上げたい義がございます」


ルーベンスがどうしたんだろう? 確かキュフリー侯爵の派閥は新興貴族のルーベンスを敵視してるみたいだけど。


「何かな?」

「実は、彼の者に謀反の疑いがございます」

「謀反!? ルーベンスが!?」


そんなバカな。だってルーベンスだよ? 確かに国王を馬車馬のごとく働かせる、王を王とも思わない臣下だけどさ。でも謀反なんて労力使うもの、働き詰めの男が起こすとは思えない。


「陛下っ ルーテル公爵は精霊様を言葉巧みに騙し、養子に迎えたのです!!」

「公爵という地位の方が精霊様を養子に迎えるという事は、王位を狙っているという事に他ならないのではないでしょうか!!」


ドミニク伯爵とペリーニ子爵が必死に訴えてくるけど……


「精霊様はロード第3師団長と婚姻されている。したがってルーテル公爵との養子縁組は行われていない」


こんな馬鹿馬鹿しい事に時間をとられている暇はないんだ。片付けないといけない仕事が山ほどあるんだよ! 早く終わらせないと僕がルーベンスに殺されちゃうんだから!!


「陛下、確かに養子縁組は行われていませんが精霊様ははっきりとおっしゃっていました。ルーテル公爵は父親だと。私と彼らの他にも数名が聞いておりましたので間違いはございません」

「待て。精霊様には接近禁止命令を出していたはずだが?」


マズいよ!! 貴族が、しかも複数がミヤビ殿に話しかけたなんてバレたら、ロードや神獣様が黙ってないでしょ! 下手すりゃ他の神々も出ばってくるよ!?


「ご婦人である精霊様が男性の部屋からお一人で出てこられたのです。精霊様の尊厳を御守りする為にもお声を掛けさせていただくのは紳士として当然ではありませんか」


うわっ 面倒な事言い出しちゃった! この人達命が惜しくないの!?


「そ、そうか……今回は処罰しないが、精霊様の行動を阻害する事はあってはならない。例え精霊様の性別が女性だとしても、価値観は我々人間とは異なるのだろうし、神獣様が大切になさっているのだ。気を付けるように」

「重々心得ております。しかしそれでも、ルーテル公爵の行動は看過する事はできません。陛下のお立場を悪くする行為に他ならないのですから」


え~……僕は別に国民が幸せなら誰が国王になっても構わないんだけど。なんならルーベンスの方がよっぽど上手くやりそうっていうか。


「わ、わかった。ルーテル公爵にはぼく……私から注意しておこう」

「…………陛下がそう仰るなら、我らに否はありません」


すごい不満そう!! でも養子縁組もしてないし、この対応で大丈夫でしょ!?


カルロをチラ見すれば、澄まし顔のまま美しい姿勢で直立していた。


カルロってこういう時助けてくれないんだよな……。


「そ、それじゃあぼ……私は公務があるからね。もう行くよ」

「はい。お時間をいただきありがとうございました」


そそくさと逃げるように面会の部屋を出、自身の執務室へ戻るとカルロへ恨み言を述べたのだった。

当然カルロは笑顔でかわし、相手にもしてくれなかったけどね!




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




雅視点



「主様と一緒に居られるなんて幸せです~」

「最近は家以外ではあまり遊べてなかったもんね」


ニコニコとご機嫌なショコラは、ルーベンスさんの所だけでなく、今日から常に護衛として一緒に行動する事になった。グレさんと行ったスイーツ店の件や、王宮の貴族達の行動が重なった事でロードやトモコが過保護になってしまったからだ。


「主様はショコラがお守りしますので安心してください~!」


相変わらず可愛らしいな。ロリコンとマカロンには気を付けるように。


「そういえば、珍獣……ショコラ達にも序列があったんだね。初めて知ったよ」

「ショコラ達魔獣は強さによって序列が決まってきます~。元々ショコラの強さは上位ではありましたけど、長老やティラー、サンショーなどに比べると弱かったのです~。でも、最初に主様に名前を付けてもらった事でショコラが序列の1位になりました~!!」


え、名前付けた順が珍獣の序列なの!?


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