第24話 異世界町巡り ep155 調査
連休が神過ぎるので投稿します
朝飯を食べるなり、リュージがララを連れて
「俺たちは調査に行ってくる。お前たちはこれで好きに過ごしていろ。」
といってお金の入った袋をテーブルに置いて出て行ってしまった。
タマは相変わらずふさぎ込んでいる。
・・・こういう言い方は失礼だけど、仲間のパワーインフレについていけなかった一人ってこんな感じだろうか。
俺から見てタマのあの射撃技術は結構すごかったと思う。
だけどそれ以上にリュージとララの次元が違う。
タマは俺のお守りとして戦ってないと思ってたけど、話を聞いた感じもっと前からだったみたいだ。
どんな気持ちだったんだろうか・・・。
「タマ・・・大丈夫か?」
「ごめん・・・大丈夫ニャ。」
「悪かった、俺があの時無理に行かなければよかったな。」
「ううん、無理に行かせたのは私ニャ。」
目に見えて落ち込んでるな。
元気づけてあげたいが・・・。
「なぁタマ、お前ってこの国詳しいのか?」
「まあ昔はここで暮らしてたから、少しはわかるけど・・・」
「だったら案内してくれないか、実は違う世界の街並みがどんなものか知りたいんだ。」
「・・・。」
タマは顔を隠す。
え?ダメだった?
あ!これデートの誘いみたいになってる。ダメだ!男子大学生が調子に乗りました!クソッ、女性経験の少なさがこんなところで
「うーーーーー!しょうがないニャ!ミーが最高にこの国を楽しめるように案内してあげるニャ!任せるニャ!」
彼女はがばっと立ち上がると拳を高く上げる。
ちょっと無理させたかな。
まあいつもの彼女が戻って来たみたいでちょっとほっとする。
「早速出発ニャ!着いてくるニャ。」
「お願いしまーす。」
こうして俺たちは街に繰り出した。
タマは奴隷の烙印が見えないようにか、いつもの服とは違い、腰まである服を着ていた。
この国は水路が多く、噴水とかがあって、水の都という印象を受ける。
街のいたるところを通ってる割には水がきれいで透明でだいぶ整備されてるらしい。
「飲めそうなくらいきれいだな。」
「飲めるニャ。」
「マジ?!」
そう言われたので飲んでみる。
確かに、飲めるな。市販の天然水レベルのおいしさがある。
「ふつうは飲まないけどニャ。」
吐き出す。
「お前っ!ついていい嘘と悪い嘘があってこれはダメな方だろうが!」
「ニャハハハハハハ、最高ニャアハハハハハハ。」
こいつっ!てか周りの人にも笑われてる?!
くそっやられた、今のはあれだ俺はこいつを楽しませるためにやったんだ、落ち着け俺。
中央広場の大噴水や、冒険者ギルド、鍛冶屋など見て回った後、俺たちは昼ご飯を食べに来ていた。
「はいメニューニャ。好きなの頼むといいニャ。ここはミーのおごりニャ。」
「それお前の財布だったっけ・・・?」
そんなことを言いながらメニューを開く。
開いて気付いた。
「読め・・・ない・・・!」
一つも文字がわからない。
なんでだ!会話はこんなにスムーズに行えているのに。
もし帰れたら神様には文字も全部に日本語にしてもらおう。
「どうしたニャ?」
「いや・・・その、文字が読めねぇ。」
「ニャァ~?そんなのも読めないのニャ~?」
「なっ、しょうがねぇだろ!こっちの世界には来たばっかりなんだし。」
くっ仕方のないことなのに、恥ずかしい。
勉強してもあと3日しかねぇよ。
「・・・タマがいい感じのやつ選んでくれ。」
「うーん、そうだニャー・・・じゃあこれにするニャ。」
タマが店員に何かを注文する。
数分後料理がやってきた。
「目玉焼きだよな・・・これ。」
目玉焼きだった、隣にはウィンナーとベーコンが乗っている。
タマも同じものだった。
違うとすれば、かかってるものが違う。
俺のには謎の粉が、タマのには謎の黒い液体・・・。
「マサト、これが『ベルトス』ニャ。」
「だったら俺もハスベン一択だったよ。」
予想通り醤油だった。目玉焼きは醤油しかありえねぇ。
神様に名称の統一もお願いしておくか。
昼飯を食べた後、本屋に来ていた時のことだった。
「これニャ。この本で文字を覚えるといいニャ。同時に昔話も学べて一石二鳥ニャ。」
「いや俺はそんな文字とか覚えなくても・・・」
「え~リュージもこれで覚えて・・・」
「・・・?タマ?」
話してる途中、タマが何かを見ていた。
「ちょっと用事ができたニャ!」
「ちょっ?!おいタマ!」
タマが走って行った。
何があったんだろう・・・。
俺はそのまま本屋で物色していた。
タマが出て行ってから数十分。
「ちょっと用事・・・。いや、ちょっと用事っておかしいよな。」
何だろう、こういう時のパターンとしては何か良くないことに巻き込まれていたりするんだよな。
いやいや、こんなザ・異世界でそんなおとぎ話のようなことがあるわけ・・・。
いやあるな。ありえる。
そんなアニメじゃないんだから、と思うがここはもはやアニメのような世界。
だとしたら、今頃タマは何者かにされわれたり、変な薬を飲まされて小さくなっていたりするんじゃ。
すると本屋に少女が入ってきた。
猫耳がついている。・・・まさか。
「君っ?!な、名前は!」
「ニャッ?!誰ニャ?」
間違いない!語尾にニャがついている猫耳少女なんてあいつしかいない!
俺は少女の肩を掴み言う。
「なんでこんな姿に!タマ、大丈夫!安心しろ!俺は黒の組織なんかには屈しな」
「何してるニャー!」
後頭部に衝撃が走る。
あまりの痛さに転げまわる。
後ろを見るとタマがいた。
「タマ?!心配したんだぞ!」
「戻ってきたらいたいけな少女に手を出してるマサトのほうが心配ニャ。」
俺は少女に土下座をした後、店を出て街を歩いていた。
「用事はもういいのか?」
「え?うん、もう大丈夫。」
「そうか、てっきり俺は不審な人物見かけて追っかけた後さらわれた展開まで想像したぞ。」
「ああ、悪いことしたニャ。ごめんニャ。」
別にいいけど。と言っておく。正直今日は念願かなって異世界の町の探索ができた。こいつには感謝してもしきれないくらいだ。
数時間ぶらぶらすると、もう夕方だったので、宿屋に戻ると、リュージたちがいた。
「ただいま。」
「・・・おかえり・・・。」
ララが駆けてくる。
「・・・なんで逃げるの・・・。」
「夕飯前って絶対俺のこと食べるじゃんか・・・。」
俺は夕飯を食べながら、ふと思いつきリュージに話しかける。
「なあリュージ。」
「・・・なんだ。」
「調査はどうだったんだ?」
「・・・教会周辺を張り込んだ。だが怪しい動きはなかった。」
「そうか、明日も張り込むのか。」
「ああ、お前らは今日みたいにしていろ。」
「・・・りょーかい。」
いまいち、会話が弾まないな。
日中あれだけ元気だったタマもまた元気なくなってるし。
どうしたものか・・・。
そんなことを考えているうちに俺はベッドで横になっていた。
思えばもう4日目が終わる、リュージとは何も進展してない。
3日後俺は消えるのか。神様が嘘をつくとは思わない。
少し、怖い。
考えれば考えるほど、自分が消えるという事実に、押し潰されそうになる。
胃の中をかき混ぜられるような苦しさが襲ってくる。
我慢しろ。
自分で決めたことなんだから、受け入れるしかないんだ。
そう自分に言い聞かせているうちに俺は眠った。
国内某所
「王よ。まだ、かの者は見つかっておりません。」
「それで・・・?それだけを言いに来たのか?」
「いえ、騎士団長カステル・ライネスが何者かを連れて王国に帰還しているとの情報があります。」
「それがかの者なのか?」
「まだ、確認ができておらず。」
王と呼ばれた男は持っていたグラスを投げつける。
「確証のない情報を共有するな!事実だけを報告しろ。」
「申し訳ありません・・・。」
「・・・もうよい下がれ。」
黒い外套を纏った数人組が闇に消える。
一人残された王は窓に映る月を見る。
今夜は満月だった。
「ああ、どこに行ったのだ・・・。我が力・・・。」
王は涙を流していた。
異世界に日本の食文化入ってきがち