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素材  作者: 味噌煮だったモノ
第2章 
20/63

第20話 白峰竜次 ep151 渡将斗

あ、これ見たことあるやつだ!と思いつつ投稿します。

ケルベロスは大口を開けてこちらに突っ込んできた。

俺何人分のサイズだあれ。


「うわああああああああっ!」


俺は叫びながら右に避ける。

俺のすぐ横を猛スピードで大顎が通り過ぎていった。

前の世界で死にかけたおかげか、恐怖で動けないなんて事故が起こらず避けられた。

よかった。

でも体は動いたが・・・重い。

すごく体が重い。重りでも仕込んでんのか俺。

謎の現象の原因は何かと考えるとすぐに閃いた。


「【超強化】がねぇのか・・・っ!」


【超強化】は常時発動の身体強化スキルだったから、3日間もその強化状態にさらされたらこうもなるか。

普通の感覚が戻るまで少しかかりそうだ。

俺はケルベロスの体を見る。

歴戦って感じの古傷が垣間見える太く盛り上がったあの鍛え上げられた脚。

今の俺の状態で、いや、そうじゃなくても走って逃げるのは無理そうだ。

ちなみに、俺を食おうとした真ん中の頭は口を動かしている。

何かが砕かれすりつぶされる音が聞こえる。岩を食ってるらしい。

いや、違うな何かを探すような・・・。

もしかして俺が口の中にいると思ってんじゃ、だったら今のうちに逃げられ・・・


「あっ・・。」


左の頭と目が合ってしまった。

真ん中の頭がその瞬間こっちに向き再度口を開けて迫ってきた。


「くそがっ・・・!」


今度は左にジャンプして何とか回避する。

さっきまで俺の後ろにあった岩が削り取られてる。


「てかなんで食うのは真ん中だけなんだよっ・・・!」


とりあえず走る、ここは見た感じ一本道だからもう反対側に行くしかない。


「「「グオアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!」」」


表現するなら爆音。音で洞窟が揺れる。

後ろを見る。こちらに向かって吠えている。

三匹同時に吠えるな!!三頭か?どうでもいい!

耳をふさいでないと耐えられない!

動けねぇ・・・!

その最中、ズンッ!という音が俺の進行方向で鳴る。

いやな予感がした。

顔を上げると


「2匹目・・・?」


ケルベロスが目の前にもいた。

一本道で挟み撃ち。

いくつも目があるから、死角とかないだろうし逃げられない。

2匹目がグルルルと唸りながらにじり寄ってくる。

口から滴り落ちる唾液が、次に俺がどうなってしまうかを理解させてくる。

終わった―と思ったその時だった。

ケルベロスの背後から何かが飛んできた。

人?・・・いや女性。

いや小さい。幼女だ。幼女が飛んできた。

幼女はケルベロスの3つある頭のうち真ん中の頭の横まで来ると、空中でものすごい速さで回転し、その勢いで、蹴った。

その瞬間、ケルベロスが壁にたたきつけられる。

あの巨体がいとも簡単に壁にめり込む

そのまま声を上げることなく、力なく崩れ落ちていった。

唖然とするしかなかった。


当の幼女はあんなに高いところからなんなく着地した後、こちらをじっくり観察するように見つめてきた。

銀髪に赤い目、服はボロボロの布切れ。

無表情でただこちらを見ている。

かわいい。


「大丈夫・・・?」


透き通るような声がした。

この子の声か。


「え、ああ大丈夫・・・です。」

「そう・・・よかった・・・。」


表情は変えずに彼女はそう言った。

その時幼女が現れた方向から誰かが走ってきた。

何か叫んでいる。


「ララッ!」

「こらっー!ララー!何してるニャーー!独断専行はダメって前も言ったニャー!!」


幼女と同じ方向から2人走ってきた。この子はララって言うのか。

そうかそう・・・か?!

目の前の光景に驚愕した。

白髪の男性と・・・猫耳をつけた人!いや、ほぼ猫!

猫が服着て二本足で立って走ってきてる?!いやもうこれほぼアレの恩返しだ!

獣人だ!初めて見た!異世界要素だ!ヤバイ!

獣人は引くほど大きいリュックを背負っている。

テンションが上がる俺には気づいていないのか、二人は幼女の近くで立ち止まる。


「ララ、何かあったら先に言ってくれって言ったろ。」

「うん・・・だから先に行った。」

「その『いって』じゃない・・・。ん?」


ララちゃんと喋っている男性がこっちを見た。

眼帯に・・・右は眼帯に左は緑色の眼。頬には謎の模様、この世界の人かな。

黒いトレンチコートを着ている。なんかいかにも、拗らせましたみたいな見た目だ。


「・・・は?」


男性は俺のことを見ると驚いた。

その瞬間俺の襟を掴んできた。


「お前その恰好!日本人か!なんでこんなところに!」

「ニャ?日本人ってご主人が言ってた故郷かニャ?」

「召喚魔法がこんなところで行われるわけがない・・・。なんで今更、どうして・・・。」


男は苦虫を噛み潰したような顔で下を見ている。

何か考えてるみたいだ。

するとララちゃんが男性の裾を引っ張る。


「リュージ・・・あれ・・・。」


ララちゃんが指さす方には、俺が最初に出会った方ケルベロスがいた。


「ああ。わかってる。すぐ終わらせてくる。」


リュージ?・・・え、白峰竜次?!嘘だろ?!

エンカウント早すぎるだろ。

リュージは立ち上がると指を鳴らし。


「【高速詠唱】!」


その瞬間、男は早口で何かを言い出した。

何を言っているか聞き取れない。

そして、数秒ののち、口を閉ざし何かを唱えるのをやめ、一瞬で跳躍した。

一気にケルベロスの頭上まで行く。

そしてこちらを見て叫んだ。


「タマ!アレを使う!」

「了解ニャ~!」


ケルベロスの頭上で男はそう言うと、右腕を出す。

ものすごく赤い、謎の模様が入っている。

よく見ると、いろんな色の配線が見える。

機械。機械の腕だ。てことは義手か。


「【憤怒の腕ラースハンド】!!!!」


男がそう叫ぶと何かが男の義手に集まっていくのを感じた。

そして彼の腕が赤く輝きだした。

そして、


「はああああああああああああああっ!」


掛け声とともに放たれた一撃がケルベロスに叩き込まれ、轟音とともにあの巨体を地面に激突させた。

首があらぬ方向に折れ曲がり、起きてくる気配を感じなかった。

一撃で倒したのか。

あの拳の威力はこちらまで届き、見ると足元では地割れが起きていた。

ケルベロスは完全に沈黙している。

ララちゃんがそのケルベロスに歩いていくと、触った。

するとケルベロスはまるでララちゃんに吸い込まれるかのように小さくなっていき、消えた。

男がこちらまで歩いてくる。

なにやら肩を震わせ、歯を食いしばっている。

怒ってるのか・・・?

するとタマが彼に近づいていき、彼女の袖をまくると、彼女の腕にも謎の模様がついていた。

その腕で彼を触り


「【怠惰の刻印スロウススタイル】ニャ!」


そう唱えると、男の様子が徐々に落ち着いていった。

それが彼らとの出会いだった。




俺は彼らに連れられ、4人入るにはちょうどいいくらいのサイズのほら穴に案内された。

緑色の岩みたいなのが光っていて明かりの代わりになっているようだ。


「それで、お前はなんなんだ。ここで何をしている。」

「えっと・・・。」


俺は早速男に問い詰められていた。

正面に彼、右に猫耳、左に幼女がいた。

そして目の前には謎の装置があった。


「あの、これは・・・?」

「ミィの最新アイテム『ウソ発見器』ニャ!嘘をつくと電流が流れる仕組みになってるニャ。」

「タマ、少し静かにしてろ。それでもう一度聞く、お前は誰で、何しにここに来た。」


ウソ発見器だと・・・。パーティグッズ程度のものであって欲しい。

目の前にいるのはリュージと呼ばれる男。ほぼほぼ間違いなく俺の探している男、白峰竜次のはずだ。

ここで嘘を言ったら電流が流れる。逆にここで本当のことを言えば・・・

鈴木のことを思い出す。「これは俺のもんだ!」特大魔法ドカーン・・・・。

こいつだったらさっきの「ものすごいパンチ」をお見舞いされるだろ。

あんなの食らったらミンチになるんだが?

てか前の世界といい、来て早々詰みかけるのなんなんだ?運が悪いのか?


「なんだ?言えないのか?」


男が鋭い目で睨んでくる。


「い、言います。俺は、渡将斗・・・その・・・。世界を救いに来ました!」


どうだ?!

ウソ発見器が動いてない!

ギリギリ間違ってないラインを言ってやったぞ、これなら


「それが真の目的か?」

「え・・・はい。」


その瞬間、けたたましい警告音と共に

とんでもない電流が流れ込んできた。

ぐああああああああああああああなんだこれ!!!!!

パーティグッズに採用しちゃダメな電流が流れている!!!!

死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ!!!!!


「ああああああああ!!!!!ウソでしたごめんなさい!!!」


その瞬間電流がやむ。


「それで、本当の理由は?・・・ちなみに二度目はない。」


そう言うと男は大きめのナイフを向けてくる。

これもう言うしかないよな・・・。


「真の目的は、スキル【神盾ゴッド・シールド】の回収です。俺は神様にそれを頼まれてこの世界に来ました。」


電流は流れない。

まあそうだよなほんとのことだもんな。


「ニャ?それって・・・。」


タマが男のほうを見る。


「・・・。どういう目的でそのスキルを狙う。」

「あのスキルはこの世界に本来ないもので、不安定だった世界を救おうと…」


俺は神から説明されたことを話した。


「世界が不安定に・・・?ご主人、ウソ発見器反応してないニャ。彼の言ってることは本当・・・」

「だから何だ。俺には・・・関係ない。」


耳をつんざく、けたたましい警告音が鳴る。

さっきの激痛を思い出し震えた。

しかし、電流は流れてこない。

ウソを言ったとすればこの男か。

あれ?電流は?

男は微動だにしてない。

え、平気なの・・・嘘だろ。


「あんた・・・リュージって呼ばれてたろ。俺が探してるスキルの持ち主は、白峰竜次。あんたのことだろ?」

「だから何だ!」


男の左目が光る。

その瞬間俺は心臓を握りつぶされたかのような、緊張感?恐怖?何かわからないがそういうものに押しつぶされる。

息がしづらい。何された?


「俺が白峰竜次だからなんだ!勝手にこんなモノ押し付けておいて、全部終わったからハイ返してくださいだと!?なめるなよ!」


白峰は両手で胸ぐらを掴んできた。

振りほどけないどころか、そもそもさっきから全然動けない。あの眼のせいか・・・。


「俺がどんな思いで生きてきたと思ってる!俺がどんなにつらい戦いをしてきたと思ってる。何度も!何度も何度も神に願った!なのに現実は変わらなかった!だから俺は願うのをやめた!信じられるのは己だけ。俺自身が強くならなければ意味がないと!」


俺はそのまま壁にたたきつけられる。

白峰は続ける。


「見ろこの姿を!」


彼は左手でコートを開く。

彼は右腕だけでなく、左足も義足だった。

さらに彼が服をまくり上げる。

眼を疑う。

おびただしい数の切り傷と刺し傷の跡。

これを受けてここまできたって言うのか・・・?


「俺はこんな世界のせいでこの姿になった!もはや化け物だろ?!俺は俺をこんな境遇に追い込んだ奴らを絶対に許さない!神でもな!」


彼は歯を食いしばり押さえつけてくる。

その目からは深い怒りと、悲しみが見て取れた。

もう普通の人間には戻れないことへの悲しみ。

誰が彼をここまで追い込んだのか。


「何ならここで殺してやってもいいぞ。」

「しないだろ。」

「・・・ああ?」


俺を掴む拳に、より力が込められる。

声が出し辛い。


「ぐっ・・・お前のような優しいやつがそんなことできるわけないだろ。」

「優しいだと・・・?俺がか?何の根拠で!」

「お前の大嫌いな神から遣わされて来た俺をお前は、さっさと殺さない。それどころか、あんだけの力があるのに、お前は今加減してくれている。こんなに怒っていながらも。」

「ふざけたことをお望みならすぐに」

「それに俺が襲われてた時も助けてくれた。」

「・・・。」


拳が弱まっていくのを感じる。

・・・彼は優しい。ただの予想だけど。

でも本当にこれだけ怒っているのに、胸ぐらをつかむ時も壁にぶつける時も全然痛くなかった。

本当は優しいやつなんだ。

だから俺は―


「俺は相手の体に触れればスキルを奪える。」


俺は胸ぐらを掴む手に触れる。

彼は手を引こうとするが


「だが奪わない。」


手をパッと離した。


「何?」

「これまでのお前を支えてきたその力を、俺なんかが奪っていいわけがない。」

「・・・。」

「だから俺はお前の許可が出るまでスキルを奪わない!」

「・・・何言ってやがる。」


体が動くようになった。

俺を掴んでいた手も開かれて自由にされた。


「バカかお前。俺が許すと思うのか。」

「知らない。神が勝手でそんな風になったのに、今度も勝手に色々されるなんて間違ってる。」

「・・・言っとくが俺にはもう二度と触れられない。だからお前にスキルが渡ることはない。」

「それでもいいよ。ただ・・・一週間だけ一緒にいさせてくれ。」

「ああ?何を勝手に。」

「一週間だけでいい、一週間たったら俺は消える、本当だ。だから頼む!」

「ちっ・・・勝手にしろ。」


すると彼はほら穴から出て行った。


「あーちょっとご主人待つニャ。・・・も~。ハイ。」


タマが手を差し伸べてきたので掴む。

肉球柔らかっ?!すげえぞこれ。


「ありがとう。」

「どういたしましてニャ。ご主人は頼み事されると断れない人だから、つい受けちゃったんだろうけど、寝込みを襲うとかは無理だと思ってた方がいいニャ。」

「そんな方法は取らないよ。ちゃんと面と向かってあいつがいいと言わなきゃ俺は返してもらわない。」

「まさか~・・・ってウソ発見器反応してないニャ。ええ~無理だと思うけどニャ~・・・。」

「タマ・・・リュージ行っちゃった・・・置いてく。」

「えええちょっと待つニャ、ほらお兄さんも早くいくニャ。」


俺たちは走って白峰に着いていった。

・・・つい勢いで言っちゃったけど、まずいなこれ。

鈴木の時はあいつは色々問答無用で極悪人だと思ったから全力で奪いに行ったけど、あいつもあいつで神のスキルを持たされた被害者だった。

俺はたった3日しか持っていなかった【超強化】に俺は結構助けられていた。

無くなったとき少し嫌な気分がした。

鈴木も白峰も、何年かスキルを持ち続けていたんだ。もし奪われたらどう思うのかなんて計り知れない。

だってもう体の一部みたいなものだろうから。

だからそれを急に奪い取るなんて絶対しちゃいけないと思う。


・・・とは思うけど、さっきめちゃめちゃチャンスだったんだよな・・・・ 

いやいやいや自分で決めたことだし。

でもなぁ・・・。




「リュージ・・・さん。ここは何なんですか、洞窟っぽいですけど。」

「リュージでいい。敬語も面倒くさいからやめろ。あと説明も面倒だ、タマに聞け。」


なんか若干嫌われてるな。まあそうだよな。


「はいニャ。タマに何でも聞くニャ。」


自信ありげにタマが手を挙げる。

彼女をよく見ると、顔はほぼ完全に猫。茶色の毛並みに尻尾があって・・・恩返し感がすごい。

大きめのリュックをしょっていてそこからは色々飛び出している。


「ここは、なんていうところなんですか。」

「ここは・・・えっと・・・。」

「え、わかんないんすか。」


自信あった割には初手で撃沈してるじゃねえか。


「わ、わかるニャ・・・えっーと・・・」

「ここは、ダンジョン。・・・憂鬱の魔窟・・・。」


ララが代わりにこたえる。


「ダンジョンは・・・ボスがいる洞窟・・・倒せば・・・閉じる。」

「あっそうだニャ!ミーたちはこの洞窟から魔物があふれだすようになって近くの住民が困ってるっていうから塞ぎに来たのニャ!」

「わたし・・・説明してた・・・。」


ちょっとムッっとした表情になって頬を膨らませるララ。

おいおい超かわいいじゃねぇか。

ロリコンにならないようにしないと・・・。


「あっそうだ自己紹介するニャ!ミーはタマ、猫の獣人ニャ。ほら、ララもよろしくするニャ。」

「私は・・・ララ・・・魔人・・・。」


ん?


「ごめん、なんて?」

「私・・・魔人・・・暴食・・・。」


暴食・・・?魔人?

そういえば最初攻撃したときにラースとかスロウスとか・・・憤怒と怠惰ってえ7大罪?!


「なるほど、全員魔人ってことか?」

「なんでそうなる、ったく。」


白峰が頭を掻きながら振り向く。


「その反応だと魔人の話は聞いたんだな。神ってやつに。」

「ああ、7人いて白峰が全部倒したって。」

「大陸を支配してた魔人7人は完全に倒せない。というか力が消せない。」

「力が?」

「ああ、その力を放置しておくと誰かにうつってそいつが魔人になる。」

「じゃあやっぱり魔人」

「最後まで聞け。その力を何らかの形にして封じ込めればどっかに飛んでいくってこともなく、魔人になることもなくなるんだよ。だから俺はこの両目と右腕、右足に4つ封印した。」

「ミーは右腕に刻印として、あとこの銃に封印したニャ。」

「私は・・・色々あって力を少しを失って・・・小さくなっただけ。」


いや一人純度100%の魔人いるじゃん。


「ララは俺が見てるから悪さはさせない、だから結果として7人の魔人は封印できてる。以上だ。」

「魔人退治は全部ご主人が一人でやっちゃったニャ。さすがご主人ニャー。」

「ひっつくな暑苦しい。」

「んー遠慮しなくてもいいニャー。」


タマがリュージにじゃれつく。

ほんと猫っぽいな。

その時彼女の腰辺りに、リュージの頬に会った同じ模様がついているのが見えた。

俺がそれを見ているのがバレたのかリュージが続ける。


「まさかこのことも聞いてるのか。」


彼は頬をつつきながらそういう言う。

これって言うのは奴隷の烙印のことだろう


「あ、ああ、悪い。」

「俺たちは全員奴隷の烙印を押されてる。ララもな。」


ララが肩を見せてくる。

確かに同じ烙印がついていた。


「まあ、もうこれに効力はないが。」

「スキルが発動できなくなるってやつか。」

「ああ、これと奴隷契約書ってやつがセットになっててな、効力はそれがそろわなきゃ発揮されない。俺たちは自分の契約書を処分したから、烙印があるだけだ。」


じゃあほぼ自由なのか。

でも烙印は残っちゃうんだな・・・。


「んん~っ。ミーの契約書を燃やしたあの時のご主人かっこよかったニャ~。『こいつは俺のモンだ!お前らみたいなのに渡さねぇ!』きゃー!ご主人愛してるニャー。」

「んなこといってねぇだろクソ、離れろ!」


仲いいな。

すると裾を引っ張られる。

ララがこっちを見て何かを訴えかけてくる。


「どうしたの?」


目線を合わせてあげる。


「おなかすいた。」

「お腹すいたか、ちょっと待ってね、タマに」

「手・・・」

「手?」


手を差し出してくる、乗せろってことか。

はい、と俺の手を乗せる。

すると


「…え?なにこれ、は?ちょっと?!」


手が吸い込まれてく。彼女の手に。どういうこと?!

粘性の高い何かの液体に手を突っ込んでる感じだ。

マジでなにこれどうなってる?!

痛くはないけど、やばいだろ!

リュージがこっちに気付いて振り返った。


「なっ!ララ!何してる!おいバカ猫!昼ご飯はどうした!」

「ニャー!あの時ちょうど急に走ってったから忘れてたニャ!やめるニャ!その人は多分おいしくないニャ!」


それは俺が言うセリフだろうが!


「いやほんとヤバイ!ヤバイって!肩まで来ちゃってるって!ララさん?!ララさん聞いて?!俺食ってもおいしくないよ!ねえ!」

「おいしい・・・」


え、なにが?もう俺の右腕食われちゃってる?!

幼女に食われて死ぬって何!

俺にそんな性癖はないんですが!!


「ニャーやばいニャ!ケルベロス来てるニャ!ああでもこっちの方が先ニャ!」

「バカ!早くしろ!頭まで入ってくぞ!早くララのご飯を出せ!」

「美味・・・。」


グレン、レヴィ、元気ですか?

僕は幼女に食べられて死ぬようです。

ごめん、意味わからないね・・・。



1クラスまるまる転生したとき1人必ずやばいとこで生きる羽目になりがち

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