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素材  作者: 味噌煮だったモノ
第1章 
18/63

第18話 王

クソ短いですが投稿します

「起きろ!将斗!大変だ!」


目を開けるとグレンが鬼気迫る表情をしていた。


「どうした?!何かあったのか?!」

「大変だ!よく聞いてくれ・・・」


生唾を飲み込む。

一体・・・何が。


「お昼まであと1時間しかない。」

「大事件じゃねぇか!!!!」



俺たちはあの決着がついた後、レヴィを連れ森の隠れ家に帰っていた。

あの時確か・・・

「もう立てないわ俺。」

「じゃあ休んでおくといい。」

「あ、でも俺昼までにはこの世界から帰るから、その前にこの国を探険したいんだよな。」

「ああ、わかった、じゃあ早めに起こすよ。」


そんな感じの会話をした気がするんだが・・・


「お前起こすって言ってくれたじゃねぇか!起きない俺も悪いけど!」

「悪かった!だが僕も結構疲れが溜まってたんだ!」

「二人とも待ってー、私まだ昨日の暴発の影響が残ってて動けない。」

「「ああもう!」」


俺たちは急いで着替えを終えると、レヴィを両脇から抱え【浮遊フロート】で飛び出した。

「うまくなったもんだねぇ。」じゃないよ、おばあちゃんかあんたは。


「ここが鍛冶屋!」

「おお!」


「ここが中心街!衣服や食料はここで買う人が多い!」

「おお!」


「ここが魔法具専門店!レヴィの飲んでたものもある!」

「おお!」


「ここが・・・」「おお!」「ここが・・・」「おお!」・・・・・




「ここが!玉座の間だったところ!」

「全然ゆっくりできなかった・・・」


一通り軽く王国を回り、俺は膝から崩れ落ちた。

せっかくの、念願の異世界の街なのに・・・。


「俺はもっと、ゆっくり楽しみたかった・・・。」

「しょうがない。それに僕だって君とはゆっくり喋りたかったよ。」


レヴィは多少動けるようになったのか動き出した。

この部屋の床にこびりついた血に触れる。

彼女は悲しそうな顔をしていた。


「ユウヤ・・・。ここで決着がついたのよね・・・。」

「ああ、そうだ・・・。」


あの決着の付け方は半分賭けに出ていたところがある。

終始賭けみたいな戦いだったけど・・・。


俺がルナの【魔力再生】と入れ替えたスキルは【回収アブゾーブ】。

【超強化】がなければ魔力の流れがつかめず飛べない。

というのも【浮遊フロート】が使えるようになったのもあれのおかげなはず。

じゃなきゃ一般人の俺があんなに早く魔法が習得できるわけがない。

あの【熱光線ヒートレイ】合戦の後は、本来は俺が魔法で上回るか、駆け付けたグレンが奴を切り倒すかした後、ルナから【回収アブゾーブ】を返してもらって終了の予定だった。

しかしあの時あいつが魔力暴発を使ってきた。

そんな時、ルナは魔力暴発で俺たちが落下していったことや、自分に【回収アブゾーブ】のスキルが渡ったことで、決着をつけるのは自分だと思い、近くにいたクリスに城の最上階まで連れて行ってもらったらしい。

ここは重要な役目を負わせてしまい本当に申し訳なかったと思った。

この時クリスはスキル【隠密】を使うことで、ユウヤ含めて俺たちから見えなくなっていた。

だからグレンにはルナが【超強化】を持っていてそれで壁を上っていたと思ったらしい。

その後、ルナは自分がユウヤの近くに行けば、ユウヤがユウヤに都合のいいように解釈するだろうと思いその行動に出た。

その頃、俺は【超強化】があるから自分で走ってグレンと一緒に城へ向かった。

ルナが人質に取られるパターンも考えられたから全力で駆けのぼった。

そのあとは、ちょうどいいタイミングで到着した俺がグレンから黒剣ゼロを貰い、クリスの放った矢と入れ替え、そしてルナがスキルを回収した。



「ユウヤは一体・・・何がしたかったんだろ・・・。」


レヴィはつぶやく。


「あの子会ったばかりのころは頑張り屋のいい子だったのに・・・。」

「・・・。」

「・・・。」


正直俺にもわからない。

確かに昔は正義感にあふれる頑張り屋という話を聞いていた。それがいつの日かあんな男になった。

何が彼をそうさせたのか。


「それより、あと少しで将斗が帰ってしまうんだ。こんな雰囲気で送り出すわけにはいかない。」

「そうだね・・・。」


グレンの呼びかけにレヴィが答える。

そのとき階段からルナが上がってきた。

クリスも一緒にいた。


「やっぱりここにいた。あなたたちが飛んでくるのが見えたの。」

「そこですぐ私に連れて行けというんだ。人使いの荒いお姫様だよ。」

「ふふ、ごめんね。ありがとうクリス。」


クリスは照れ臭そうに頬を掻く。

そんな彼女は俺を見るなりこっちに歩いてきた。

え、睨んでる?

ちょっ、こわっ?!近づいてきた。

肩が少しかゆい感じがした。傷が無いのにうずく感じがする。

また刺されるんじゃ。


「礼を言う。」

「へぁ?」

「なんて声を出してるんだ。礼を言う。と言ったんだ。」

「気迫が礼を言うときのそれじゃなくない・・・。」

「アハハハ、クリスー、顔が怖いのよ顔が、昔もそう言ったろうに。」

「ちょっ、やめろ、触るな。斬るぞ。」


レヴィとクリスがじゃれついている。

てか見た目だけなら今のところ最強クラスの女二人がじゃれついてるって正直やばいな。

えっちだ。あ、全然えっちじゃないわ、クリスはレヴィに締め技をかけていた。

彼女はそうしながら再度こちらを見る。


「あの時は悪かった。」

「?」

「ほら、肩の・・・。」

「そんな、別に治ったしいいですよ、気にしなくても。」

「そうか・・・あの時、お前を信じて正解だった。言ってることは目茶苦茶だったが、賭けてみたくなってしまったんだ。ありがとう。」


面と向かって礼を言われるの照れ臭いな・・・。


「うおおおお、クリスそろそろヤバイ、やばいって。」


レヴィがギブアップと言うかのようにクリスの腕を叩いている。

俺が見てることに気づくと―。


「あっ、将斗、私からも礼を言うよいたたたたたた。」

「大丈夫かそれ・・・?」


結構いい感じにキマっているように見えるんだが。


「ああところで、魔法の習得の速さに久々に感心したから、私の弟子にならない?今なら安くしとくよ?」

「あー教え方が上手くなったらぜひお願いするよ。」


てか金とるのか。


「んなっ?!クリス聞いた?こいつ王国最強の魔法使いの教え方が下手って言うの。なんか言ってやってよ。」

「悪いな将斗。レヴィは旅してる時から教え方が下手だったんだ、治ってなかったんだな。」

「あんたまで!?もう一生誰にも魔法教えないわ私。」


レヴィはいつも通りって感じだな。

いやいつもよりテンションが高い。

まあ悲願を達成できたからってのもあるのかもな。


「いやでもほんと筋がいいと思うよ。二つの魔法を同時に使っちゃうし。」

「いや魔力の流れが見えてたからできただけで。・・・ほんと【超強化】様様だったよ。」

「は?なんで【超強化】が出てくるのよ?」

「なんでって・・・?」

「【超強化】って身体能力上がるだけよ?魔力の知覚なんかそういうのとは別物だから関係ないわよ。」

「え・・・?」


嘘をついているようには見えない。

じゃあ普通に俺にセンスがあったって話?

なにそれ、いやいやいや、そんなことあるわけない。


「将斗、僕からそろそろいいかな。」

「グレン・・・ああ。」


グレンのほうを向く。

そうか、もうお別れなんだよな。

あ、ヤバイ、泣きそう。

おいおいまだ3日しか経ってないのに・・。

まさか友人ができるの久々すぎて、俺の心が弱くなってるのか?


「・・・そんな顔しないでくれよ。僕まで」


ドンッ!!!!


急に近くに何かが降ってきた。

砂埃が待っていて見えない。


「なんだ・・・?」

「ルナ下がっていろ。」


ルナは下がり、グレンは剣を、レヴィが手を、クリスがナイフを構える。

俺は、とりあえずファイティングポーズでいいか。


「いたたた、あ、将斗さーん。」


俺の名前を呼んでいる・・・。

あ、この人!?


「神様?!」


砂埃が晴れると、神様がいた。

え?なんで?


「は?!なんで来れるんですか!不安定さがどうとかって言ってたじゃないですか!」

「ふふふ、私が来て何かする分にはアウトですけど、あなたの状況確認して連れ帰るくらいならセーフなんですよ?」


なんだそれ。規制が雑すぎるだろ。


「それで【無限インフィニティ】はどうなりました?」

「ああ、ちょっと待っててください。ルナさん。ステータスウィンドウを見せてもらえる?」

「あ、はい!」


俺は自分のステータスウィンドウを開き、【交換チェンジ】で彼女のスキルを入れ替えた。

彼女のもともと彼女のものである【逆境】と【魔力再生】を、【無限インフィニティ】と残り回数が0回で使えないけど存在はしていた【回収アブゾーブ】と入れ替える。

消えてたら返せなかったな。


「神様、これでいいですか?」


ステータスウィンドウを見せる。


「ばっちりです。じゃあこれで帰れますね。じゃあ。」

「ま、待ってくれ、将斗。その人は・・・?」

「ああ、この人が神様だよ。」

「まさか、彼女・・・この方が神様とは・・・。ほんとにいたんだね。」


物珍しそうにみんなで神様を見ている。

神はすごくそわそわしている。

恥ずかしいのか?

ちゃんとしてくれよ神様なんだから。


「見世物じゃないんですけど・・・。そろそろよろしいですか?」

「あ、お待ちください神よ。将斗に、最後に少しだけ。」

「はい、大丈夫ですよ。」


グレンが目の前まで来る。


「2日前君に会えてよかった。君がいなかったら、僕らは多分あの日ここで死んでただろうね。」

「そんなことないよ。俺がいなくてもよかったとこ結構あったろ。」

「そんなことなくない。君がいたからこそ、僕たちは勝てたんだ。あの牢屋で君がいなかったら俺は立ち直れていなかった。」


牢屋でのやり取りを思い出す。

だいぶ恥ずかしいこと言ってたな俺。


「だから本当に、礼を言う。」

「それはあれかい?グレン。王としてってやつかい?」


レヴィが膝でグレンをつつく。


「ほんとこういうときも君は・・・。王として、か・・・それもあるけど一番は、友として、一緒に戦った仲間として礼を言うよ。」

「グレン・・・、どういたしまして。」

「僕たちのために頑張ってくれて本当にありがとう。」

「お前ここで畳みかけるのは泣くだろ・・・。」

「ハハハ、ごめんよ。」


泣いていた。3日しか一緒にいなかったのに。

別れたくないなぁ。

正直友達ができたの久しぶりってのもあるし・・・。


俺は手を差し出した。

グレンもそれに応え、俺たちは熱く握手を交わした。


「またどこかで。」

「ああ!元気でな。」







そうして俺は神に連れられあの場所に戻った。

何もない白い部屋。


「それじゃ次の世界なんですが。」

「は?!休みなし?!」

王子の最後の魔力回復については説明が後々あります。

第一部完って感じです。

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