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素材  作者: 味噌煮だったモノ
第1章 
14/63

第14話 敗者の意地

序盤の報告書読んでも読まなくてもいいです

ってことは書かなくてもいいじゃんって思ったけどこのまま投稿します。

<魔力の暴発による不調と、その原因についての報告書>

魔法には初級魔法、中級魔法、上級魔法とある。

その区別方法はその魔法を出すために必要となる最低限の魔力量で決まる。

上級になればなるほど、必要な魔力量が増えていく。

ただし、魔力をひたすらにつぎ込めばいいというものではない。

魔法にはつぎ込める魔力の限界値が存在する。

それを超えると、魔法が暴発する。

その際つぎ込まれた魔力すべてがその周囲に拡散する。

それ受けた人間は、重度のめまい、吐き気などに襲われる。

酷くなると気絶してしまう。

それは、人間の体に魔力が流れているためだ。

人間はただ動くだけでも、それこそ魔法を使うことでもその魔力を消費する。

足りなくなった魔力は空気中を漂う魔力を吸収して補う。

時間経過による魔力回復はそういう原理で行われている。

吸収した魔力をほかの人間が使うことはできない。

これは調査中ではあるが、吸収した魔力がその人間が操るものとして、何らかの器官を通して変換されているからと考えられている。

魔力の暴発が起きた時に起きる症状の原因はここにある。

押し寄せてきた魔力がその人間の中にあった魔力を押し出し、入れ替わる。

変換されていない魔力を一気に取り込んだことで体に不調が発生するのである。

海で生きてきた魚を川で泳がせると死んでしまうのと同じようなものだ。

ただし、暴発は起きるのは、稀であり、上級魔法を操ることのできる魔法使いがその魔力をすべて初級魔法につぎ込むという状況でしか暴発は起きない。

今回のようなことは二度としないように配慮していきたいと考えている。

<著者 ファング王国 魔法使い レヴィ>







「ここは・・・?」


俺は寝ていたようだった。

石畳の床に寝ていたせいかひどく体が痛い。

頭もなんか痛いし。

見上げると部屋には小窓がついていてそこから太陽の光が―


「太陽の光?!」


マズい、夜が明けている!

というか空が赤色なんだが?この空、昨日の練習中と全く同じ色なんだが?

いやむしろ暗い。

ってことは夕方だ。は?

じゃあもう期限まであと一日じゃないか!


「早くこんなとこ出てあいつのとこに・・・なっ?!」


小窓の反対側は鉄格子。

扉っぽいところがあって試しに引いたり押したりするが、開かない。


「牢屋じゃん・・・。」


地べたに座り込む。

空気はよどんでいて、埃もカビ臭もすごい。

最悪の環境だ。

鉄格子の奥を見ると反対側にも同じつくりの部屋があり誰かが倒れていた。

グレンだった。

よく見ると頭や腕から血が流れている。


「なっ!?おい!グレン、グレン聞こえるか!グレン!!」

「私の心配はしてくれないのかぁ。」

「レヴィ?!」


隣からレヴィの声がした。

隙間からどうにか出ようとするが無理だった。


「無事か?」

「私はね、グレンはああだけど、起きるまでは無事だったよ。」

「いったい何が・・・?」

「起きるなりすぐ暴れたのさ、部屋を出ようとして。さすがのあいつでも鉄には勝てないよ。」


よく見ると鉄格子がへこんでいたり曲がっていたりしている。

ということは相当な力で殴ったんだろう。


「グレン・・・。」

「そっとしておいてやってくれ。」


静けさが辺りを包んだ。

いや、落ち着いてる暇は俺にはない。


「なぁ、あの時、あの爆発は何だったんだ?魔法か?俺あの剣で防いだはずなのに消えなかったぞ。もしかして洗脳魔法?」

「いや違うよ。あれは魔力の暴発。魔法に対して魔力を入れすぎると起きる爆発だ。暴発した瞬間、魔力が押し寄せてきて、それに当たった人間はめまいや気絶を起こすの。今ので分かる?」

「なんとなくは・・・。」


とりあえず風船に空気を入れすぎて爆発した衝撃でびっくりするってイメージでいいか。


「じゃああいつにかかればそんなの何回もできるから無敵ってことかよ。」

「いや、あれは本人にも影響が及ぶ。まあ、あれだけの余波を受けたのにあいつは、気絶することなく立ってた。さすがに魔法が使えないようだったけどね。魔力の流れがめちゃくちゃになったからだと思う。」

「レヴィがそれ知ってるってことは、見てたってことだよな。大丈夫だったってことか?」

「いや?私は無理やり魔力の流れを変えて受ける余波をある程度抑えたけど、それでも完全には防げなかったせいで、まともに立っていられなかったわ。まあ初見でよくやった方よ。」

「・・・レヴィってやっぱすごいんだな。」

「やっぱって何よ、やっぱって。」


怒って鉄格子をガチャガチャさせるレヴィに、元気そうで少し安心した。


「なんで俺たち牢屋に入れられるだけで済んだんだ?」

「よくわかんないけど、部屋に乗り込んできた兵士たちに王がそう命令したの。」

「歯向かったやつは即刻死刑って聞いてたんだけど違ったんだな。」

「うーん、あいつ無力さを噛みしめてろだか何だかって言ってた。明日になれば何とかって。」

「明日は・・・王位継承の日だ・・・。」


グレンが語りだす。


「王位継承式は、この国では4年に一度行われる。まだその年齢に至ってない場合はただの祭りの日になる。」

「じゃあ前国王が死んだからあいつは今日この日に真の王になるってことか。」

「いや・・・ふつうは王が死んだ場合、次の王候補がその日から王になる。そしてその日を王位継承の日として定める。でもあえてあいつは今日この日を選んだんだ!」


そう言うとグレンは拳を床にたたきつける。


「本当だったら僕が今日、父さんから王位を継承してもらうはずだった!僕の・・・夢だったのに。だからあいつを倒して国を取り戻して、今日正式に王になるつもりだった。」

「だからあんたは、やたら昨日にこだわってたのね。でもそう・・・だとしたらあいつほんと性格悪いわね。」

「どうして?」

「王位継承のタイミングで、王家は婚約者がいるならその日正式に婚姻を結ぶ。あいつがわざわざ今日王位継承式をやるなら、その習わし通りあの子とも婚姻を結ぶんでしょうね。」

「じゃあ早く止めないと。」

「無理ね。」


どうしてと言おうとすると、レヴィが鉄格子の間から両手を突き出した。

その手には手錠がされていた。

俺にはついてないのになんで―。


「これ、魔法を打てなくなる手錠。魔法使いの犯罪者用のやつね。だから鉄格子は破れない。」

「そんな・・・。」


じゃあ俺たちは何もできずにここにいるしかないのか。

試しに何か入れ替われるものはないかと小窓から外をのぞくが、木が邪魔して何も見えない。


「待てよ…。そうだ、【交換チェンジ】!」


試しにその木と入れ替わってみようとするが無理だった。

サイズが大きすぎるのか、【交換チェンジ】の対象にならなかったらしい。


「どうだった?」

「いやダメだった・・・。」


暗い雰囲気になってしまった。

戦う前はあんなに楽しげにしていたのに。


「ごめん。俺が・・・」

「謝らないで。作戦を立てた私の詰めが甘かっただけ。ルナの存在を知っていれば・・・。多分あの王は数人にしかルナの存在を教えてなかった。だから衛兵のふりをしてたグレンも知らなかったんだろうね。やられたよ・・・。」


沈黙が訪れる。

悔しい。

正直俺が一番悪い。

俺がスキルを奪えていれば絶対勝ててたんだ。

ルナの存在に気づいて【浮遊フロート】をうまく操作していれば。

もっといいタイミングで入れ替わっていれば・・・。

後悔に押しつぶされそうだ。

本気で何かをしたのは久しぶりだったから、より一層結果を残せなかったことが心に刺さる。

二人が2年で積み上げたものを、俺は・・・。


「なんだ、この空気は?」


廊下の奥から知らない声がした。

誰かが歩いてくる。


「まさかその声・・・クリスかい?」

「ああ、久しいなレヴィ。」


クリスってあの話に出てきた人か?

鉄格子で制限された視界の横から女性が歩いてきた。

全身に、ナイフや針みたいな武器を装備しつつ、それでいて露出の多い恰好をしていた。

水着かと思うほどのパンツをはいている。

彼女は俺を見るなり、鋭い目をした。

すげぇ睨まれてる・・・?

少し怖いがなんかクール感があってかっこいい。


「アサシンみてぇだな・・・。」

「ほう、貴様よくわかったな。」

「当たってるんだ・・・。」


アサシンとは聞こえはいいが普通に殺し屋じゃん。怖いな。

弓兵アーチャー】って聞いてたんだけど。やめたのか?

クリスはグレンを一瞥すると、レヴィと話し出した。


「ひどい有様だな。」

「そりゃどうも。」

「褒めてない。王を襲撃したそうじゃないか。よくもまああんな化け物と戦おうと思うな。」


嘲るように彼女はレヴィを笑った。


「私にだって意地ってものがあるからね。にしても生きててよかったよ。【暗殺者アサシン】になってるなんて驚き。」

「あの時、気づいたらお前たちが飛び立つところだったのでな。それに便乗して近くの窓から飛び降りて逃げたんだ。」

「そっか・・・それで。どういった風の吹き回し?もしかして助けに来てくれたの?」

「それなんだが、どっちがいい?」


そう言うとクリスは右手にナイフを、左手に鍵を持っていた。


「そりゃ当然、左手のやつが欲しい。」

「お前たちを逃がすのであれば、妹の仇である愚王を倒してもらう。だが、逆にお前たちの首には賞金がかけられている。元王国最強の魔法使いレヴィ、元王子グレン・ファング。お前たちの首を隣国にでも持っていけば高値で売れる。」

「元仲間なのにひどいこというね。それでどう選ぶんだい?」

「私が選ぶ。」


クリスが持っていたナイフをレヴィに向けているのが見えた。


「どっちがいいとか聞いてきたくせに。酷いなぁ。」

「お前たちが確実に王を倒す、とここで宣言しろ。」

「言うだけなら簡単よね・・・。」


レヴィは沈黙する。

グレンは相変わらず横になったままだった。

俺も何も言えない。


「決まりだな。」

「やるなら痛くないように頼むね・・・。」


鉄格子に何かが当たる音がした。

レヴィが体を寄せたんだろう。

クリスがナイフを振り上げる。


「待てよ!」


え?

誰が、止めた?

俺か?

自然と口が動いていたらしい。


「ほう、止めるのか。ならば王を倒すと言うのだな。」

「そ、それは・・・。」


クリスがこちらを向いた。

俺だって正直あれに勝てるとは思えない。

無効化する力があっても、攻撃ができないんじゃこっちの体力が尽きて負けるだけだ。

でも俺のせいでこんなことになってるんだから、2人を殺されるわけにはいかない。


「違うのか、生半可なやさしさで彼女の覚悟に水を差すとはな。」


そう言ってクリスはもう一度ナイフを振り上げる。

ダメだ!それだけは。


「倒す!俺はあいつを倒すから!レヴィを殺すのは…。」

「・・・。」


クリスが近くに寄ってきて、そのまま俺の襟をつかみ鉄格子にたたきつけた。


「がっ・・・」


硬く冷たい鉄が頭にあたり、熱い痛みを植え付けてくる。


「命を懸けるようなことのない世界でのうのうと生きてきた人間がよく言えたものだな。」

「ああクッソ!本当だよ!絶対に倒してやる!」


クリスは俺にナイフを向けてきた。

まさか刺す気か。

すごい力でつかまれていて振りほどくことができない。


「それはレヴィを助けたい一心で言ってるだけだろ。じゃあこういうのはどうだ。お前が代わりに死ね。そしたらレヴィは助けてやる。」

「待てクリス!やめろ!将斗はあいつを倒すためには必要な」

「黙っていろ!さぁ!どうする?お前の命でレヴィが助かるんだぞ。」

「何が悪い・・・。」

「なんだ?」

「何が悪いんだよ!レヴィを殺されるのを黙って見過ごせるわけがないだろ!」

「ちっ。」


クリスはナイフを持ち直すと、

俺の肩に突き刺した。


「はぁっ?!ぐっ・・ああああああああああああ!!!!!!!」

熱い熱いあついあついあついあついあつい。

血が血が次々にどんどん、出て、流れてく。

こいつ本気で、本気で俺のことを


「お前が命をかけられないような人間だってことは知ってる。すんでのところで王の攻撃を回避した後、お前は動けずにいたな。あんなに震えて。」

「ああああああああっ!!!!」

「死ぬのが怖いんだろう?だったらお前にこの戦いは向いてない!大人しく尻尾を」

「ぅうるせぇ!!!」

「何?」

「痛えな!痛えなあああああっくっっそが!死にたくねえに決まってんだろ!!!!!」


叫んだ。

相変わらず突き刺さってるナイフが、あの時感じた死の恐怖を思い出させる。

目の前で放たれた爆炎、俺はあれに焼かれ消し炭にされていた。かもしれない。

運が悪かったらこんなところにはいなかったんだろう。

怖かった。

本当に。

死にたくないって。落ち着くまでずっとそう思い続けた。

だから、だからこそ・・・


「だから!・・・これ以上!あいつを野放しにできるかよ!!」

「なに?」

「すげぇ怖かった!逃げてやりたかった!向こうに戻ってベッドの上でのうのうと暮らしてる方が全然よかった!!」

「・・・・。」

「でもな・・・っ・・・あいつは平気で!そういうことを平気でやってくる奴だ!他人の気持ちも考えられない奴だ!・・・俺は、あんたの妹の話を聞いたとき・・・」

「っ?!・・・あの子の話をするな・・・っ。」


刺さってるナイフに力が込められている。

慣れ始めていた痛みが再び襲い掛かってくる。

もう何も考えんな俺、思いついた言葉だけで喋ればいい。


「ぐっ・・・あ・・・の話を聞いた時、すげぇ、意味わかんねぇし、ムカついた。その場に行ってぶん殴ってやりたかった!それと同時に」

「黙れ・・・。」

「何もできなかったあんたら二人の気持ちは俺なんかじゃわからねえくらい、きつかったんだろうなって思ったよ!」


痛い。自分で何言ってるのかもわからない。


「あいつがいる限りこれからそういう人がもっと増えるんだ!んなことさせていいはずがねぇ!だから止めるなら今だ!」


クリスは黙っている。


「今しかないんだよ!俺がここにいる今日の今ここであいつをぶっ倒す!」

「・・・っ!私の腕も振りほどけないような力しかないのにか?!言うだけだったら!思うだけだったら!私だってできる!あいつを一番倒したいと思っているのは私だ!この私だ!」


より服を引く力が強まった。


「だができないんだ!あの時の、あの子の顔が蘇ってきて、体が動かなくなる・・・。あいつはどうしようもなく強いんだ!理不尽なくらいに!勝てるわけがない!」

「そんなこととっくに知ってる!じゃなきゃ俺たちはこんなとこにいねぇよ!」

「だったらなんで吠える!勝てないと分かっていながら」

「勝てないなんて言ってねえ!1回負けたくらいで諦めるわけねぇだろ!」

「っ・・・?!」

「それに、この二人は2年間も耐えてきた!なのに、この世界に来たばっかの俺のことをなぜか信じて!俺を鍛えてくれて!俺に重要な役目を任せて!俺を仲間だとも言ってくれた!」


右手で彼女の襟をつかみ引き寄せる。


「だから俺はこの二人のために戦うんだ!俺を信じてくれたことへの恩返しとして!期待に応えるためにな!」

「そんなもので・・・お前程度に何が・・・。」

「何度も言わせんな!あいつを倒すっつってんだろ!この二人のためでもあるし、俺だってそうしなきゃ消えてなくなるだけだ!だからやるしかないんだよ!たとえ俺だけでもな!だからあんたは!」


鉄格子越しに思いっきり頭突きをした。


「俺を信じろ!!」


襟をつかんでいた手から力が抜け、俺は背中から地面に落ちる。


「ぐっ・・・あ。いって・・・・」

「ハハ・・・めちゃくちゃだね、なんだい今の演説は。」


レヴィが笑っている。


「でもまあ、ちょっと響いたかもね。・・・クリス、わたしもやるよ。やってやる。」

「レヴィ・・・。」

「バカ弟子止めるって決めてたの、さっきはちょっとアレよ。気分が落ち込んでて忘れてただけよ。目に物見せてやるわ。」


いつもの調子で話している。

レヴィは立ち直ったらしい。良かった。


「それでグレン、いつまで寝てるわけ?あんただけ置いてくわよ。」

「いや置いてかない、グレンは連れていく。」

「・・・。」


俺はそう言うが、グレンは黙っていた。


「グレン・・・お前が俺をここまで連れてきたんだ。だから責任もって最後まで連れてってくれよ。」

「グレン・・・。」

「グレンはきっと来てくれる。俺はそういうやつだって思ってる。」

「君に何がわかる。」


グレンが起き上がってこっちを見る。


「出会ったばかりの君に。今の僕の気持ちがわかるか。」

「『出会ったばかり』に関しては俺も言えるんだがな。まあ、お前の気持ちはわからないよ。・・・でもお前は立ち上がるって思う。」

「何を根拠に・・・。」

「お前こそ何を根拠に俺を信じた。」

「それは・・・」

「俺を信じたお前を、今度は俺が信じる番だ。」

「・・・。」

「王になるんだろ?見せてくれよその姿をさ。異世界の王子って奴も見てみたいもんだ。」

「・・・。」


グレンは立ち上がってこっちを見る。


「さっきからよくもそんなこっ恥ずかしいことを言い続けられるな。」

「ああ、だから頼むからこれ以上、俺の黒歴史を増やさないようにさっさと立ち直ってくれよ。」


グレンは一度深呼吸をした。

そして、思いっきり自分を殴っていた。

結構鈍い音がしていたけど・・・。


「お、おい大丈夫か、割と結構がっつり殴ってたけど。」

「ああ、ちょっとやりすぎた。・・・だけどこれでもう大丈夫だ。」


再度グレンが立ち上がる。

少しふらついてはいるが大丈夫そうだ。


「あーあ、そんな体で戦えるのかしら、王子サマ?」

「君こそ魔法が使えなくなったままじゃないだろうな?王国最強の魔法使いサマ?」


不適に笑いながら睨み合う二人。

グレンはその後、俺の方を向いて拳を突き出す。


「行こう!あいつを倒しに!」

「ああ!」


俺も拳を突き出してそれに応えた、が―。


「やべ・・・」

「どうした。」

「ちょっとなんか動けなくなってきた・・・。」

「あっ、クリスー?ちょっと早く鍵開けてもらっていいかな。将斗が血の出すぎでやばいかもしれない。」

「ハァ・・・。」


クリスは立ち上がると鍵を開けて俺の部屋に入ってきた。

そして俺の傷口に触れる。


「いっっっっっっ??!??!何すんだあんた!」

「【治癒ヒール】。」

「えっ?!」


そう言うと肩の傷がみるみるうちに塞がっていった。

自分の傷がこんなに早く治るのは見たことない。当り前だけど。


「すっげ・・・。」

「できるんだな?」

「た、多分。」

「将斗、そこはキッパリ言うところ。」


レヴィが小声で助言してきた。


「できます。」

「もう遅いが・・・信じさせてもらうからな。」

将斗さんはこういうところがあるから普通のふりしてました

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