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素材  作者: 味噌煮だったモノ
第1章 
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第1話 スキル返してもらいます

1話に来てくださってありがとうございます


夕飯が味噌煮だったので名前が味噌煮になってます。


「あー・・・暇だな。」


俺は自室のベッドの上でそう呟いた。

日曜日の昼。近くの公園から子供たちのはしゃぐ声が聞こえる。

楽しそうでいいな、あの子らは。

渡将斗と名前だけ書かれたレポートが机の上に置かれている。

大学の課題だ。就職に良さそうなとこに通っているからなのか、すごく課題が多くて嫌になる。

授業も授業で面白くないし。

まあ、目指す夢がないからって適当に選んだ俺が悪いのか。

選んだって言っても好きなように選べるがくがあったわけじゃないが・・・。行ける範囲のとこから選んだ、が正解か。


「暇・・・。」


ピロン


メッセージアプリの通知が鳴った。

淡い期待を抱きながら開くが・・・予想通りで落胆した。。

アプリの公式から「今月のポイントが失効されます」というメッセージだった。


「はいはい、知ってた知ってた。」


そう呟き腕を下ろして天井を見上げた。

恥ずかしながら、俺には友人がいない。

メッセージアプリが鳴るのなんて運営か家族からメッセージが来た時だけだ。

それのせいなのか最近は人と喋ることがほぼない。

まあ、しいて言えばバイトではしたな。

業務連絡的な会話だけど。

そんな感じだから毎日をただ無駄に過ごしていた。

就職先を探すシーズンが近づくのを理解する度に胃が痛くなる。

あ、やばい。思ったそばから胃が痛くなってきた。やめよう。


俺は腕をもう一度挙げた。

その手に持つスマホには読み終わったウェブ小説が映っている。


「こういう違う世界に行けたら…変わるんだろうな。」


最近俺が読んでいるのは異世界転生をテーマにした小説だ。

主人公が急に異世界へ飛ばされ、とてつもない力を発揮して賞賛されたり、なんてことない知識を披露して驚かれたりとそれはまあ色々とちやほやされたりして、その世界や社会に影響を与えていく、簡単に言うとそういうジャンルだ。

最近人気なのか知らないがやたら増えてきたので、著者たちの多種多様な異世界というものの解釈の違いが見れて面白い。

ちなみに簡単に言ってしまえばどんな人間でも主人公になれるという夢と希望に満ち溢れたジャンルだ。

自分がこうなったらいいなといつも思う。

まあ無理だが。


「別に異世界とか行かなくても、こう・・・特殊能力的なのが手に入ればなぁ。」


そう呟く。

友達がいないので当たり前のことだが、今この部屋に誰かいるわけではない。

ただの独り言だった。

これはもう癖に近いんだが、初めはわざとやっていた

こうやって口に出せば、いつか何かが答えてくれるんじゃないかな・・・なんて。

だがこの二十数年何かが起こったことはない。

まあ、他の理由として心のどこかで他人との会話を欲してるという可能性もあるが・・・考えないでおこう。つらい。


俺はさっきの話の続きを見るために目次から次の話を探すが・・・

なんだ、次の話はまだ投稿されてないのか。


「はぁ…ひむっ?!」


またもや「暇だ」と言おうとした時、頭上のスマホが落ちてきた。

マズい。

目を瞑った。落下してきたスマホの痛みは日常で起こりうる痛みの中でもトップクラスの・・・

・・・。

・・・。


「・・・・・・ん?」


おかしい。

そろそろ眉間あたりに激痛が走るはず。

というかだいぶ時間が経っている。

・・・そりゃ腕を上げてた分、高い位置にはあったが、落ちてくるのにこんなに時間かかるか普通?

遅い。

全然落ちてこない。

……まさか。

これは…。

もしや…。

俺はゆっくり目を開けた。


「念願の時間停止能力に目覚め・・・て・・・え?」


目の前には一面真っ白な空間が広がっていた。


「は??」


瞬きを繰り返すが風景は変わらない。


「どゆこと?」


全然理解が追いつかない。

寝た状態だったので飛び起きて周囲を確認する。

下は固い・・・多分床だと思うが知らない手触りだ。横には・・・何もない。

わかるのはただただ白いだけの空間にいるということだけ。

いや壁があるが、目を凝らさないと境目がわからないくらい真っ白。

大理石・・・とはまたちょっと違うみたいだ。


「なんなんだここ・・・。」


さっきまで部屋にいたはずだが、自分以外のモノ全てが跡形もなく消え去っていた。

手つかずのレポートもなくなっている。いやそのまま無くなってしまえ。

「もしかして夢か?」そう思い頬をつねるが、ちゃんと痛い。

急に謎空間に来ちゃうとか、まるで・・・


「こんばんは。」

「へぁっ?!」


咄嗟のことで飛び上がった。

急に後ろから声がしたからだ。

おそるおそる振り返ってみた。


そこには、すごく・・・綺麗な・・・いや、ものすごく綺麗な女性がいた。

言葉では表現できないレベルってのはこのことか、とわかるほどの美女だった。

彼女は金のロングヘアーに、モデル顔負けのスタイル、そしてなぜか風もないのにひらひらと空中を漂い続ける羽衣っぽいのを纏っていた。

全体的に光ってるというか、神々しさ?があって、なんというか失礼だけど・・・人間って感じがしない。

いい意味で。


「え、あ、どうも。・・・こんばんは。」


とりあえず会釈しつつ、そう返事をした。

今どういう状況?全然理解ができないんだけど。

そもそもさっき後ろに誰もいなかったから、若干恐怖を感じている。

まさかな。

幽霊はさすがにやめてほしい。


「急に呼び出してしまい、申し訳ありません。」

「い、いえ。」


つい返事しちゃったんだけどなんだって?呼び出したって?俺を?どういうことだ?

色々質問したいが、一体何から聞いてけばいいのやら。

まだ全然この状況に頭がついていかないせいで思考がまとまらない。

でも、もし、もし仮にこれが俺の望む展開なら…


「フフッ、やっぱり少々パニックかと思われますので、あなたにわかるように簡単に説明します。」

「あ、助かり・・・ます。」


もしかしたらもしかするかも・・・そんな期待が俺の頭をよぎる。

いやいやいや、違う違う。あるわけないない。

高鳴る胸を押さえる。

俺の望みはかなうわけがないだろ。これは結構金のかかったドッキリで


「私は神様です。」

「マジ・・・?!」

「あなたは死にました。」

「神さ・・・あ、え、死んだ?!あれで?!」

「正確に言うと、死んだことにしました。」

「いいいやいや嘘だろ?!」

「あなたには今から違う世界に行ってもらいます。」

「え。」

「そこで私のお願いを果たしてもらいたいのです。あ、あともう元の世界には戻れません。」


待て待て待て待て、情報量を抑えろ情報量を。

一旦整理させて欲しい。

冷静になれ俺。

今なんて言ってた?違う世界に行く?

おいまさか、それってやっぱり・・・。

いやいやいやありえないありえない。

俺死んだって、あれで?ないない、スマホが落ちてきただけで死んだら大量殺戮兵器に認定されちまうよ。どうするリンゴ社さんよ。世界なんとか機関が黙ってねえぞ。

でもこの空間結構リアルだよな・・・いやいや、まだドッキリの可能性が・・・。


「だいぶ混乱しているでしょうが、言葉通り受け取って下されば構いません。お気になさらず。」

「いやいやいや、お気になさっちゃいますよ!ありえないし!」

「本当に?」

「え?」

「本当にあなたは気にしてますか?」

「し、してますよ!神様だとか死んだとかなんて言われたってそんなの、信じられるわけが。」

「でもあなたにとっては些細な事でしょう?」

「そ、それは…。」


悩む俺に神はさらに追い打ちをかけてきた。


「本当はあなたは死んだことなんてどうでもいい。普通の何もない毎日から抜け出したい。人とは違う力を持つことに憧れていた。そうでしょう?」

「ま、まさか、いい大人なんだからそんな厨二病みたいなこと・・・。」

「フフ・・・隠せませんよ?なんたって神様ですからね。」

「・・・。」

「もう行きたくてしょうがないんでしょう?異世界に。今まで生きてきた世界とは全く違うであろう世界に。」


まさか。嘘だ、嘘。本当にこんなことがあるわけがない。

信じちゃダメだ。

気を付けろ、実はどっかから隠し撮りされてて、発言次第ではスタジオ大爆笑だぞ。


「いいんですよ。私の言うことを信じても。何度も言いますが、これはあなたの望んでいたような展開でしょう?」


こちらを見透かしているかのように微笑んでくる。

まっすぐに。

・・・・・・・。

ああ、そうだ。そうだよ、願ってたよ。

もういい、我慢する必要なんかない。

ほら、あれだ。どうせドッキリなら騙され切ってる方が面白い。

そう思った瞬間、ブレーキが外れたかのように、押しとどめてた気持ちが言葉になってこみ上げてきた。


「…そうですよ!めっちゃ行きたい!もはや夢!正直俺が死んでようが死んでまいが、あんたが神だろうが悪魔だろうがどっちでもいい!もう毎日退屈すぎて死にそうだった!」


俺の夢。実現するはずがなかった夢。

思い描き続けていたのに、いつしか諦めかけていた子供っぽい夢だった。


「どんな世界に行けるんですか?!やっぱ剣と魔法のファンタジー世界?!あ、俺魔法使ってみたいんですけどできるんですか!」


俺はつい興奮して神様に詰め寄っていた。

早く続きを聞かせてくれ。

欲しいものを買ってもらって、お店から家に着くまでに感じるあのワクワク感のようなものが溢れ出てくる。


「フフフ…でしょうね。でも、そう焦らずとも、ちゃんと行かせてあげます。ですが、あなたの役割を教えないと。」


神様は人差し指を立て俺の口を閉ざしてきた。


「役割・・・?」

「はい。まず、異世界に行く人を転生者と呼んでいますね。あなたの世界では。」

「まあ、小説とかではそう呼ばれてますけど。」


さっき読んでたやつもそうだった。

転生者ってのは、俺たちのようななんもない普通の世界からファンタジーだとかゲームの中だとかそういう世界へと、移動させられたり、記憶はそのままに誕生させられたりする人のことだ。

俺の解釈では。


「ちなみにそのあなたの読んでいたような小説の大半は事実が書いてあるのですが、まあ、それは置いといて。」


え、何それ、滅茶苦茶気になること言ったな。


「は?ちょっと待ってくださいよ。事実ってことはあれの作者って」

「もちろん転生者ですよ?あなたの前にはもう何人も転生者がいて、うち何人かは帰ってきています。その人たちが書いてて、例えば・・・いえ、この話はやはり置いておきましょう?あなたの役割の話をしないと。」

「え、そっか。そうですね・・・すいません。」


最高に気になるけど、まあそんなの後で聞けばいいか。

にしても役割・・・か。

もし『世界を救え』とかだったらどうしよう。

ワクワクが止まらない。


「はい!気を取り直して。さて、あなたの役割とは、ずばりその転生者たちを倒すことです。」

「・・・転生者を倒す?」

「はい。まあ倒さずとも転生者から、そのスキルを奪ってきていただければ良いのですが。」

「スキル・・・?」

「ん?・・・ああ、わかっていると思いましたが、説明しますね。スキルというのは、超能力みたいなもの。それがあると空を飛べたり、料理が急に上手になったり、まあそういうものです。」

「うーん、なんとなくはわかりますけど。それを奪うって言うのは一体・・・。」


神様は再度「説明しますね」と言い何かを取り出す仕草をした。

すると空中に液タブみたいなものが浮かび上がりたくさんの地球が映しだされた。


「このようにいくつかある世界のうち、不安定になった世界を正すために、我ら神はあなた達のような世界の人間たちに神の力を持つスキルを与え、送り出す。それに選ばれた人間というのが、先程の転生者と呼ばれる人たちです。ここは難しく考えなくても大丈夫です。」


うん、やっぱり小説でも読んだような話だ。

ちょうどこの前読んだものがそれっぽいな。魔王が世界を滅ぼそうとしていて大変だから、別の世界の人間に、「触れただけで相手が死ぬ」っていうチートスキルを与えて送り出す。っていうストーリーだったはずだ。


「世界を正すなんていい人達じゃないですか。なんで倒すだなんてそんなこと」

「それはですね・・・まず転生者たちは与えられたスキルで、それぞれが訪れた世界を救ってくれました。ちなみに現に今も活動してる方もいます。そこまでは良いのですが・・・。」


神様はものすごく困った顔をした。


「世界を救った後は神のスキルを返してもらわなければなりませんでした。不安定を正すために送り込んだ異常な力を、安定を取り戻した世界に存在させたままにするのは、再び不安定さを生む要因となってしまいます・・・がなぜか皆さん返してくれなくてですね・・・。」

「なるほど、それで俺に。いや待った。そういうのは神の力で、こう、強制的に奪えばいいのでは?」

「それができればいいのですがね。あなたの思う私たち神様というのは、全知全能でなんでもできる、というイメージなのでしょうが、本当は違うのです。なんでもできていたら、不安定な世界を正すためにわざわざ転生者なんて者たちで世界の命運を変えてもらう必要はないでしょう?」


ああ、言われてみれば確かに。


「そもそも世界を正す行為をなぜ人間に任せるのか。それは人間には我々にはない不安定さがあることに起因します。うまく説明しても理解できないと思うので、まあ、そうですね・・・『運』とかそういうものと考えてください。」

「『運』ですか。」

「はい。こちらが用意する神のスキルと人間が持つその『運』のような不安定さが合わさることで我々の想像を超えた現象が起きることがあるのです。いい方向に。基本その現象で不安定さを取り払うのですが・・・とりあえず、ここまでが転生してもらう理由ですね。」

「あーちょっと疑問が解けた気がします。」


わざわざ人間を使う理由はそういうことなのか。


「ところがそんな力を持つ転生者から神のスキルを奪おうとすると、例えばあちらが敵意を持っている場合、要は神のスキルを返す気がない場合、神のスキルを使われてこちらが返り討ちにされる可能性があります。実際ちょっとやられかけましたし。」


「怖い怖い」と神様は身体を震わせる仕草をした。

なるほど、なんとなく話が見えてきたぞ。

神のスキルを持つ人間が起こす現象は、世界を救える反面、使い方によって神も手出しできなくなる最悪の存在になるのか。

だから神様的には自分で行くのはかなりリスキー。

ならば、目には目を歯には歯をということか。


「わかりましたよ。そこで神のスキルを持たせた俺をぶつけるわけですね。」

「はい」と神が言った後、わかりやすく項垂れつつ「と言いたいところなのですが・・・」と言った。

何だろう・・・?


「もう神の力を持つスキルの持ち合わせがなくてですね。」

「・・・持ち合わせがない?ってのはどういう・・・ないならこう・・・作ればいいんじゃないですか?」


神様ならスキルを作りだすくらいわけないだろう。多分。

万能じゃないって言ってたからもしかしたら作れないのかもだけど。


「できることにはできるんですが、神1人が持つ力にも限界がありまして・・・。多くの転生者にスキルを渡して送り出したせいか、もう私にはそういう強いスキルを作る力はないのです。」

「作れないって・・・神のスキルってのがないと俺が滅茶苦茶不利になっちゃいませんか?」

「なりますね。解決策としては転生者たちからスキルを返してもらい、それを私の力へと戻せばまた新たにスキルを作り直せるので問題ないのですが・・・」

「・・・?」


急に神様が明後日の方を向く。

人差し指同士をぶつけて、ぎこちなく笑っている。

何だどうした?その非常に申し訳ない感じを醸し出すのはなんだ?


「問題なのは・・・他の神様からもスキルを借りてまして・・・。そ、それの返済期限が・・・」

「・・・はい?」


なんだか異世界ファンタジーな会話の中に、あまり聞きなれないワードが出てきた。

返済期限?

俺に聞き返された神は落ち着きをなくし始めた。


「か、神って何人かいてですね。その、一柱でいくつかの世界を担当してるんです。で、不安定になった世界を沢山放置してると・・・その、上からかなりのお叱りを受けることになるので、転生者を送り込むことで対応してたんですね・・・。」


神様は指をつんつんさせて、少し泣きそうな顔になった。


「でも予想以上に不安定になる世界が多かったのと、さっき言ったようにたくさんスキルを作ったせいでだんだん力が無くなってきまして。そこで・・・他の神様から力というか、スキルを借りて転生者に配ったんですが・・・。」


なんか・・・神らしさがだんだんなくなってきたぞ。

汗がすごいな。大丈夫か?


「私が送り出したほぼ全員が世界を救ったあと、持っているスキルも返してくれなくて・・・他の神が早く返せと返済期限を提示してきたんですけど、神の力もすっからかんだから取り返しに行けないしもうどうしようもないというわけでして・・・。」

「は、はぁ・・・。」


なんだ今のいろんなところから借金してますみたいなエピソードは。

おいおい、しかも泣いてるじゃん。

この神大丈夫かな。

かわいそうに見えてきた・・・。

完全に彼女の自業自得なんだけどさ。


「あの、相手は神のスキルを持った人間なんですよね。何の力も持ってない俺が勝てるわけないですよ?多分。」

「い、いえ、そこは私のギリッギリ残ってる力で、神の力を持つスキルってレベルまではいきませんが、なんとかどうにかなるであろうスキルを作りましたので、それを活用してかなり頑張っていただければ大丈夫かと・・・。」

「それって戦えるんですか?どういうスキルなんです?」

「そ、それは行ってからのお楽しみで…。」


なんでだよ。隠すなよ。

怪しくなってきたな。

でも神が大丈夫って言うくらいだから、いいのか…?

不安だ。

・・・不安だけど、俺の異世界に行きたいという気持ちがギリ勝ってる。


「わかりました。行きます、行かせてもらいます。というか行きたいので。」

「ん!そうですね!では早速準備をします。」


この神一瞬、チャンスだ!って顔をしたような。話を逸らすチャンスだ!みたいな。


「あ、そうそう、ちなみに期限は、向こうの世界の昼ちょうどに召喚しますのでそこから3日目の昼までとします。期限が来たら自動でこっちに戻って来られますよ。」

「なるほど。」


期限があるのか。ちょっと気を付けないとな。

短いのか長いのかいまいちわからない。

いや短いか・・・いやどうだ・・・うーん?


「戻ってきたらどうするんですか?」

「次の世界へまたスキルを取りに行ってもらいます。」


おお、それはなんかちょっと楽しそうだな。

世界ごとの違いとか楽しめそう・・・。

いや待て。そもそもこの一個目の世界クリアできるのか?


「あ、そうそう。回収していただく転生者のスキルは【無限(インフィニティ)】って名前です。無限の魔力を行使できるという能力です。」

「うわぁ・・・無限って。そもそも魔力とかよくわかってないんですが、無限ってなんか強そうな感じがするんですが。大丈夫かな・・・。」

「あーえっと、そうですね・・・魔力は魔法を使うときの使うもので、シャンプーボトルの中身が魔力で、ノズルから出たものが魔法とするなら、その人は無限にシャンプーを出せるみたいな感じです。どうでしょうか。わかりますか?」


何だその絶妙に分かり辛い説明は。ギリギリ理解したけど。

ていうか、貰えるスキルは神の領域にない。

にもかかわらず敵は無限の力を持っている…?

え、これ戦いになるのか…?

世界の均衡がどうとかいう割には戦力の均衡が崩れてないか?


「最後に、失敗した時。まあ、こっちに戻って来た時に転生者のスキルが回収できていない場合ですが、消えてもらいます。」

「え・・・消されるんですか。」

「はい。何もできずに帰ってくるような存在は必要ないので。あ、心配しなくてもあなたは元の世界ではもう死んでいる扱いなので問題ないですよ。」


え、何が問題ないんだ?

というか今の言い方、元の世界に返す気ないな?

いやまあ別に返してくれなくてもいいんだけどさ。

いや、そういうことではなく。

俺なんかすごい理不尽に晒されてないか?

異世界に行けるのは夢だからいいとしても、失敗したら消されるってのはやばいだろ。


「いや俺、勝手に殺されてこっちに連れてこられた身なんですけど。それで失敗したらサヨナラってのはどうなんですか。」

「う~ん、まあそこは頑張っていただければと。」

「そんな・・・」

「ささ、それでは早速・・・。」


神様が手の平をこちらに向けてきた。

え、何?

これはもう異世界に送られる感じなのか?

少しドキドキする。

にしても、無限の力と戦うことになるし、負けたら消されるのか。

この仕事、わりとブラックな気がしてきた。

でも、行きたい。

そりゃ望んだ非日常が始まるんだぞ。

違う世界での生活だぞ?

無駄に時間を浪費しながら、就活に恐怖する生活よりマシだろ。

敵がとんでもない化け物だろうが、やめる気が起きない。

ほんのちょっと不安だけど。

頑張ろう俺。

こうして俺の異世界生活が始まるのだった・・・なんて


「では、いってらっしゃ・・・あっ?!すいません、今から行く世界の説明するの忘れてました!」


この神は本当にもう・・・。

後書きまで読んでいただきありがとうございます

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