高慢なエルフに支配された世界
エルフに支配された世界。
エルフは長命、傲慢、高慢、自尊心が高い。
身内意識が強い。
見た目は皆美しい。
数百年から千年を生きるエルフにとって、たった数十年で代の変わってしまう生き物は、同等の地位ある者として扱う事は出来なかった。
亜人種を家畜として扱う。
番犬として強い亜人種を飼い慣らし、優秀な者には褒美を与え、繁殖小屋へ入れる。
「ここにいるのは、発情期のメスだ。皆お前の子供が欲しいのだ」
エルフの王女に耳元で囁かれ、番犬は繁殖小屋を満喫する。
エルフは常に勇者のお気に入り。
神より力を与えられた勇者という存在は、常に世界に恵みと発展をもたらした。
その勇者達は、美しいエルフ達を大切にしたと言う。
この年、神より世界に新たな勇者が遣わされた。
「エルフだけが尊重される世界なんて、おかしい。全ての生き物に命があるんだ。互いに尊重し合うべきなんだよ」
その勇者はこの世界を見てそう唱えた。
その夜、勇者の部屋にエルフの王女が訪れる。
大胆に胸元の開いたドレス、長いスリットの入った滑らかな生地のスカート。
後ずさる勇者にスルスルと近寄り、躓きベッドの上に倒れた勇者の上に、華奢な体で乗り上がる。
エルフにしては大きな胸が宝石の付いた布地で飾られ、勇者の眼前に晒される。
細い足が勇者の体を跨ぎ、スリットからはみ出た片脚が艶かしい白さを放っている。
「どれほど種族の平等を訴えても。やはり勇者様は、エルフがお好きなのでしょう?」
均整の取れた美貌が頬を赤らめ、勇者の胸板へ小さな手を添える。
据え膳食わねば……いやエルフの思惑に乗っては、相反する二つの言葉が勇者の脳内を高速で廻り。
世界の命運は勇者の行動により別れようとしていた。
現代の知識を持つが故に違和を唱えられるが、異なる世界へと召喚されたが故に足場も後ろ盾もない勇者が、自分の行動にその世界の運命を託されたなら。
どんな行動ができると言うのだろうか。
地響きを伴う轟音と共に部屋の壁が崩れ、大男が現れる。
「ああ、良かった。間に合いましたね」
男からとは思えない可愛らしい子供の声が聞こえたと思えば、男の背後から小さな生き物が顔を見せる。男の背中にしがみついているようだ。狐とも兎とも言い切れないが、顔も耳もふわふわの毛に覆われている事から、獣人である事が分かる。
「勇者様、今は詳しい説明をしている時間がありません。どうか、私達を信じて着いて来てください。この世界のために!」




