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この拳で運命を
全ての命運をかけて、男児は右拳を繰り出した。
空気を突き破る気迫を込めて、周囲にいる誰よりも強く。
しかし、その拳が誰かに当たることはなかった。空中、少年たちの集まりの中心で男児の拳はピタリと動きを止めた。
「「「ぐわぁ〜〜ぁ!!!」」」
複数の苦鳴が上がり、男児の前に集まった少年たちは膝から冷たい床へと崩れ落ちる。
「よっしゃ、俺の勝ちだー!」
右拳を高らかに上げ、男児は勝利の雄叫びをあげる。
何よりも待ち望んだこの日。男児は給食のプリンを1つ多く手に入れた。