精霊魔法
自分に自身が持てなかった、ずっと。
だれにだってできることが自分には出来ない気がして。
ひどく惨めな気分だった。
なにか、誰も出来ないようなことを僕ができたらいいなと、思っていた。
誰も入らない森の中に、毎日のように通っていたのは、変人扱いされようと、自分にしかできないことをしていたかったからなのかもしれない。
僕の村のすぐ側にあったのは、妖しの森と呼ばれる緑深い森だった。
その森に入れば、道に迷い、妖怪どものエサにされてしまうと、村中が信じていた。
僕だって怖くないわけではない。
人が入らないので、道などはないし、昼間でも濃く茂った葉が光を遮る。
暗い不気味な森の中を、僕が歩いたのは・・・。
ほんとにくだらない理由だったのかもしれないな。
魔法を使う時って、体になにかおこるのだと思っていた。
暑くなったり、うずまくように血がたぎったり。
なのに、なんの症状もなくて、風の一筋すら感じなかったから、始めのうち僕はそれが、自分の使った魔法だ何て全然思いもしなかった。
でも実際はそんなものなのかもしれない。
いろいろな、魔法を使う手段はあるのだろうけど、僕が使ったのは精霊に力を借りることだから、僕には何の害もないのだろう。
彼女たちはただ親切で僕に力を貸してくれている。
それだけのことだから。
いつ力を貸してくれるのかも、彼女たち次第ということになるのだろう。
それも、いいのかもしれない。
僕は自分の力を奢ることなくすむから。
でも、本当に君たちの力が必要なときには無心に願う、どうか力を貸してくれ。




