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紙吹雪、舞う
金髪少女森の中を駆けて逃げる。
後を追う盗賊の集団。
転んだ少女は泣きながら座り込む。
「ひっうっ、駆け出しを卒業したからって一人でお宝ハントになんて出るんじゃなかったぁふぇっぐ」
その時、木々の間から耳に残るハスキーな声が流れてくる。
「1枚が2枚、2枚が4枚」
少女の周りに白い紙切れが4枚、ひらりと舞寄ってきた。
「4枚が16枚、16枚が256枚」
しゅ、と空気の震える音がして、四角い紙は無数の紙切れになり、少女の周りを踊った。
「この紙の吹雪のように、刃の露になりたいものはかかっておいで」
強い印象を持つその声は、少女の真後ろから聞こえた。
振り返った少女が見たのものは、ヒュッと刀を振り下ろし、盗賊たちを余裕の笑みで挑発する、長い銀髪を頭頂部で結わえた女性だった。
「フレイム」
別の艶やかな声に振り向けば、赤髪の女性が右腕を伸ばしていた。
その瞬間には、少女の周りを舞っていた紙片が、鮮やかな火花となって散っていく。
「露になったついでに蒸発すればいいわ」
艶かしい赤い唇に女性が笑みを浮かべれば、得意げに張った胸が たぷんと揺れた。