クー⑴
白猫の着ぐるみがジタバタと暴れている。
「あづぅー、おぇー、入れでぐれぇ」
謎すぎて街の入口で止められている。
中にはもちろん、クーが入っている。
実は「超」童顔の女子。
体型も控えめだ……
クーは、……暴れた。
「こんなもん着てるからあちぃんだよぉぉぉぉ」
「じゃあ脱げや!」
総員からツッコミが入った。
なんやかんやで大迷惑ということもあり、連行される形で街に入れたクー。
ぐでーとなりつつ、街の道が綺麗に整備されているのを見た。
最近では珍しく無くなったレンガ敷きの道だが、おどろくほどに着ぐるみの足がひっかからない。
良く磨かれているのだろうか。
見上げれば、3階、4階なんて建物も多く、街の広さもわからないほどに人もいる。
クーは思った。
「ここにならあるかな……」
クーは両脇の保安官に話しかける。
「ねぇおじさんたちー」
保安官はムッとして、掴んでいるクーの腕をグイッとしぼりあげるように力を入れた。
クーはニヤリとした。チャーンス♪
「キャッ、いたいっ」
かよわい女の子の声で叫んだ。
「はっ?子どもの声?」
クーはそのスキに両腕を思いきりクロスさせる。
保安官はお互いに頭を打った。
手をうさぎの耳のように頭にあて、ぴょんぴょんとバカにする素振りをして、クーは走り去って行った。
周りにいる、皆は思った。
「猫だよな」
クーは逃げる途中に断片を使った。
うさ耳ちゃん(半分呪われた着ぐるみ専用)の断片
しかし、これはスグレモノ。ウサギの跳躍力に、よく聞こえる耳。
大ジャンプをするクー。
人々が空を見上げる程だった。
「ふふふ、たーのしい♪」
「あ、イケメン発見!」
クーは、何故かイケメンの前に降り立ち、ビシッと指差し言った。
「私の下僕になりなさい!いや、仲間に!」
イケメンはポリポリ頭をかいた。
「ウサギちゃん。それより、プニ茸のにおいがするけど、持ってる?」
着ぐるみの背中には、毛に隠れて普通は気づかない、小さなキノコがちびちびと生えていた。