ラムとグン⑴
ラムとグン。
2人は自分の髪をくしゃくしゃといじった。
モーゼルは後ろからただ歩いてついていく。
ラムが青い髪をガシガシかきながら言う。
「やっぱここ、おかしいっす」
グンが緑の髪をガシガシかきながら言う。
「そうそう、同じのしかでてこねぇっすね」
2人だけでカムイトカゲを何十と倒しただろうか。
しかし、他の生物には全く出会わない。
「モーゼルさん、やっぱ罠みたいなアレですかね」
「あぁ、こないだの」
モーゼルが壁に手をあて、深呼吸した。
「いや、違う、時間がループするなんてやつじゃない、現に自分たちを見てみろ」
2人ともトカゲとの戦いで薄汚れたブーツを見た。
「あー、気づかなかった、汚しちゃった」
「違うだろ、ちゃんと進んでる、てことだな」
靴を磨きながらラムは言った。
「モーゼルさん、自分は場所のループも経験してるんだけど、そういうのじゃない?」
「いや、それも違う、壁に手のひらをめり込ませて目印をつけてきたが、手形には出会っていない」
グンは頭を抱えた。
「そっかー、手形だったら自分のってわかるもんなぁー、今まで思いつかなかったー」
実はグンも、角を曲がる度に少しキズをつけて歩いていた。
「どうやってやるの?」
ラムは黙って見ている。
モーゼルは壁を指さした。
手形がついていた。
「ほら、できた」
「わかんねぇよ……」
「仕事が速すぎるんだよ……」
2人はがっくりうなだれた。
モーゼルは、落ち込む2人を見てうなだれた。
肩を落とす3人。
道など関係なく、てくてく歩く。
3人が来た道、カムイトカゲの群れがあちこちで手形を見ていた。
この手形が目印となり敵を引き寄せまくっているのだ。
ラムとグンは目をキラキラさせた。
「やっぱモーゼルさんはすげぇなぁー」
蛇足だが、後ろからくるカムイトカゲは、モーゼルが全て倒していることを2人は知らない。