第1世代(2)
太った少女が震える。目の前には武器を携帯した二足歩行のトカゲの怪物が数体いた。怪物の中ではBランク。こいつ1匹にでも武装した並の人間が数人で立ち向かっても瞬殺されている。通称、カムイトカゲ。
そして、今ここは迷宮。世界に点在する遺跡の1つ。かつては宝玉の牢と呼ばれていた迷宮。今はもうその名を失っている。入るに易し、出るに難し。ここはそういうところだ。
少女が瞬きをした刹那。カムイトカゲの群れは倒され、すでに何匹いたのかわからないほどになっていた。
背の高い短髪の男が2人、ガチャガチャとトカゲの屍から武器を拾っては話し合いながら放り投げていく。そして少女の横にはメガネをかけた、見るからに屈強な男。
2人の男たちは、メガネの男に話しかけた。
「モーゼルさん、無いですねー」
「師匠と言えよ、なぁモーゼルさん」
モーゼルと呼ばれた男は、少女の頭に手をやる。
「んーむ、どっちでも、良い。やっぱりもっと奥かなぁ」
3人ともガクーンとうなだれた。
少女は、ハッとあたりを見回すと、ラビリンスの入口に戻っていた。
男らは、ラムとグン。たまたま出会った酒場で仲良しになった。それだけのコンビである。
モーゼルは、ただのそこのマスターである。
3人はひとまず奥を目指すことにした。
いちいちうなだれながら……