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ライズライズ-ワールズ  作者: 田野実こむこ
【起】承転結
2/11

第1世代(1)


「おい、待ってくれよ」

「ウルセェバカ兄貴、兄ならしゃんとしろ」

ここは風船花の群生地。

ボムボムと音を鳴らしながら歩く2人。

彼らは双子。

金髪のカンムリと銀髪のティアラ。17歳の2人。

兄と妹である。

「なぁー、兄だとかいうけどさ、何分か前に世に出ただけじゃんかぁ」

「そんなん誰でもいうけどさ、あんたはほんっとに軟弱。うるさい、気が散る」

2人は「ある場所」を目指し、ボムボムと歩く。

この不思議なお花畑を。

カンムリが、風船同士をこすりつけ、きゅぅ、と鳴らす。

ティアラが振り返り、カンムリの脳天にゲンコツをくれた。

「ごめんなふぁい……」

「ふんっ」

2人の歩みはなかなか進まない。




レンガの多い、とある大きな街、……の、となり町ハブルの広場。

ガヤガヤと人が集まる。

「フォォウ!」

ふたりの男。

小さな方が跳躍し体を捻る。

腕から肩、腰、脚へ。捻りは伝わり、大男の顎を華麗に一蹴し倒した男。

その名はモアレ。23歳。身長は人間では普通の175cm程度。

「すげぇなぁ、町のデカい奴らはみんな「断片(ピース)」を使ってるのに」

モアレは黒く長い髪をポニーテールにして、パンパンと手を打った。

「はいはい、もう良いでしょ、俺は早く帰りたいの。なんでこんな無益な事するのさ」

理由は1つ。

彼がイケメンすぎることだ。

町の男達はモアレを倒して、ただモテたいだけなのだ。

モアレはため息をついて呟いた。

「なんつぅか、友達欲しいんだよねぇ……」


とぼとぼと家に帰り、またため息をついた。

「はぁー、もう誰もいないんだよねぇ……」

ドカッと揺り椅子に座る。

静かな部屋に、ギィ、と音がした。






「また違う……」

大きな街、ムームゥへと続く道のど真ん中。今しがた掘りだした物体をギュッと丸めて捨てる。ここいらによく出るモンスターだ。

断片(ピース)をたんまり詰めたリュックを背負った白猫の着ぐるみの……。

「こんなにこんなに集めてもーーーあぁ、なんで無いの!」

彼女の名前はクー。年齢はヒミツ。

存在は確認されているのだが、なかなかに珍しい断片(ピース)を探している。

そのついでに見つかったのを売りさばいては、また次の地へ向かう。

着ぐるみが暑いので、少しずつ北へ……。

しかし彼女の目は諦めの色を見せない。

あの、断片(ピース)を見つけるまで。

「絶対ある!」

1時間か歩いたところで木陰を見つけ、どてっと座る。

「重いし暑い……誰か……水……」

背中のリュックに水の断片(ピース)がある事など覚えてはいない。




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