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出会い

職場ではエースと呼ばれた。

副業はモデルだった。

皆が羨む人と結婚した。

不倫相手との相性は最高だった。


全てが順調で、毎日が充実していて、人生は輝いていた。

地球は自分を中心に回っていると思っていた。



ーそう、半年前まではー




不倫相手に「子どもができた」と告げられた。

彼が奥さんともセックスしていることは知っていた。

しかし、私は彼に夢中で、旦那とはセックスレスだった。


彼の子どもー

彼が父親?


おかしくなりそうだった。


彼と別れて自分の人生を立て直そうとしたが、

彼の存在は私の中で大きすぎた。


もともと職場での不倫だったから、まず仕事に支障をきたした。


職場に行けなくなった。


家に閉じこもるようになった。


心配した旦那が病院に連れて行った。



ーうつ病です。しばらく休んだほうがいいでしょうー



あっけないものだった。

積み重ねてきたものは全て崩れ去った。


あれから半年、家のベッドでほとんどの時間を過ごした。


何もしたくなかった。

何もかも、消えてしまえばいいと思った。


ベッドに横たわってスマホでネットを見て時間を潰した。


出会い系サイトで男探しもしたが、興味がもてなかった。


そんなときだった。



ーホストなら…ー


若くてかっこいい男と酒でも飲めば、うさも晴れるかもしれないー


そう思った。


とにかく逃げたかった。



そしてネットを調べたら、ふと目に止まった「デート屋さん」。


どうやら、こちらの希望する時間と場所で、指名料金を払うとデートしてくれるらしい。ただしセックスなし。


スマホの画面には男の子の写真が並んでいる。


私はそのうちのひとりに目を止めた。


笑顔がかわいい大学生だった。


ー私より一回り年下…ー


プロフィールを読むと、歴史好き、と書いてある。


だったら話合うかな…、でも、歳が離れすぎかな…


他の子も見たけど、やっぱりこの子が気になった。


「直接メールください☆」


プロフにはそう書いてある。



1週間くらい悩んでメールした。



ー初めまして。理沙です。興味があってメールしました。

年上だけど大丈夫ですか?ー



返事は30分くらいで来た。



ー理沙ちゃん、メールありがとう☆俺は年上好きやで♪ー



…なんか話しやすそう…



ーあの、歴史好きって書いてたから、話合うかと思ってー



ープロフ読んでくれたんや♪そうやで☆ー



さすがにいきなり会うのは怖かった。


でも、会わないのにメールするのはまずいんだろうと思った。



ーいつか会いたいと思うんだけど、少しメールでやり取りしてもらえませんか?ー



ーええよ☆よろしくな♪ー



それから彼とメールするようになった。

仕事だから当然だろうが、彼は毎日メールをくれた。

しかし、会いたいとは言わなかった。


私は、いつからか彼のメールを楽しみにするようになった。


彼は明るくて元気で、話も上手かった。



秋に始めたメールのやり取りは、冬になり、年を越しても続いた。


私は彼に会ってみたいと思い始めた。


ここまでメールを続けてくれた彼への感謝の気持ちもあった。



ーお酒は、飲める?ー



ー飲めるで☆ー



ー行きたいショットバーがあるんだけど、一緒に行ってくれないかな?ー



ーええよ☆いつがいい?ー



バレンタインの1週間後の夜に待ち合わせした。




ーそして当日ー



私はすごく緊張した。


大丈夫。お金なら持ってる、大丈夫…

そう自分に言い聞かせた。



彼は15分遅れてきた。



ー理沙ちゃん、着いたで☆ー



彼は私の顔を知らないから、私が彼を探した。


見つけて、正直びっくりした。

立っていたのは背の低い、子どものような男の子だった。



…大丈夫かな…、でも今更すっぽかせないし…



私は彼に近づき、声をかけた。



「ゆうちゃん」



「理沙?遅れてごめんな」



「大丈夫。店には連絡しておいたから。行こ」



これが、ゆうちゃんとの初めての出会いだったー

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