第一夜 殺人犯
こんな夢を見た。
その建物には凶悪な殺人犯がいて、僕は友達5人とともに逃走していた。僕たちは犯人の顔を見ているから命を狙われている。
なんとか建物から抜け出すことができ、そこからは車に乗ってとにかくがむしゃらに駆け抜けた。
人通りの少ない道を走り続けてかなりの時間が経った。さすがにもう追ってきていないだろうと思い、そこで解散することとなった。
僕は1人で最寄りの駅まで電車で向かい、そこから10分ほど歩いて家の前まで帰ってきた。
するとドアの前に人影がある。なんとなく不吉な予感がした僕は曲がり角に身を潜めた。
その男は自分たちを追っていた殺人犯であった。知り合いでもないのになぜ僕の住所を知っているのだろうか。
僕は全身をぶるぶる震わせながら犯人の動向を眺めていた。警察を呼ぶべきだったかもしれないが、手も声も震えてまともにそんな行動がとれる精神状態ではなかった。
とはいえ家には鍵がかかっている。だから犯人が家に入るのを諦めてくれることをただ遠くから願っていた。なにせ中には家族がいるのである。犯人が窓を突き破って中に侵入でもしようものなら、言うことを聞かない足を無理矢理にでも犯人の方へ向かわせるしかない。
犯人は家に入れないことを悟ると、特に大きな行動を起こしそうな様子もなくしばらく佇んでいた。すると自分の携帯電話を取り出して、それを我が家の表札の方へ向けた。
そしてシャッター音がした。それだけすると犯人はゆっくりと去っていった。自分の存在に気付かれることはなく、家に押し入られることもなかった。そうはいっても最後の犯人の行動は何を目的としているのだろうか。
僕はあらゆるところから吹き出る異質な汗を止めることができなかった。




