適性試験
「これより、新入生の適性試験を開始する」
重々しい鐘の音が鳴り、広間にいた新入生たちがざわめいた。
試験――。
どうやら、この学園では入学早々に行われる恒例行事らしい。
各々の魔力や能力を測り、それによって所属クラスが決まると説明された。
「上位に入れば、研究や実践に恵まれる。下位なら……まあ、分かるだろう」
壇上に立つ教師が愉快そうに笑う。
魔族たちの間で、一気に緊張と闘志が走った。
わたしは、胸の奥が冷たくなるのを感じていた。
(……どうしよう。わたしは人間よ…。魔術なんて使えるはずないのに……)
生徒たちが列を作り、試験場へ移動していく。
高い天井に魔法灯が揺らめき、石畳の廊下には奇妙な紋章が刻まれていた。
すれ違う魔族の生徒たちは、角や尾を揺らし、口々に戦略を語っている。
「炎で一気に吹き飛ばすか」
「いや、氷の制御で精密さを見せつける」
――そんな声が耳に入るたび、わたしの心臓は強く脈打った。
(戦闘なんてできない……でも、聖女の力なら……癒しの力だけなら、きっと……)
試験場の扉が近づく。
重厚な鉄扉の前で教師が立ち、冷たい目で生徒一人ひとりを見定めていた。
その視線を受けるだけで、喉が渇くのを感じる。
(ここで…失敗してしまったら。人間だって、ばれてしまったら――)
私は胸に手を当て、光を宿す心臓の鼓動を必死に押さえ込んだ。