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第三話:星を揺るがす激突、伝説の名勝負

アストラル最強決定戦の舞台で、ついに地球の選手たちが所属するチームが激突する。球場に集まった異世界の人々は、未だかつてない興奮に包まれていた。スタンドでは、星晶球の歴史を伝える古文書を読み解く学者や、星晶球の解析を試みる若き星晶術師たちが、彼らのプレーから新たな知見を得ようと目を凝らしている。


第一戦:アルテミス・グリフィンズ(カイ) vs ソレイユ・ドレッドノート(ボルク)

先発は、アルテミス・グリフィンズのカイと、ソレイユ・ドレッドノートのボルク。野球の歴史に名を刻む「万能の英雄」と「絶対の剛打者」が、異世界の地で雌雄を決する。


カイの「星晶変幻球」は、風の星晶で予測不能な軌道を描き、ボルクのバットを何度も空を切らせる。しかし、ボルクは打席を重ねるごとに球筋を読み、渾身の「雷鳴の一撃」を放つ。轟音と共に放たれた打球は、雷光を纏い、マウンドのカイを襲う。


ここで、ソレイユ・ドレッドノートのファントムは、アルテミス・グリフィンズのアッシュの守備と打撃に目を奪われていた。アッシュは、ボルクの雷鳴を纏う打球の軌道を瞬時に読み切り、間一髪で捕球する。彼の「星晶解読眼」は、星晶で強化された視力で、雷鳴の残像から次の動きを予測し、完璧な位置に走り込んでいたのだ。


そして、アッシュが打席に立つたびに、ファントムは自身の時代では見たことのない、しかし共感を覚える打撃の姿に引き込まれた。アッシュは、どんなに速い星晶球が来ても、芯で捉え、内野の隙間を抜く安打を量産する。その打撃は派手ではないが、確実に塁を埋め、相手投手を疲弊させる。

「あのバットコントロール…そして、安打を積み重ねる執念。まるで私自身の打撃哲学が、より洗練された形で目の前にあるようだ。いや、それ以上か。私の時代に、彼ほどの才人がいたら、どれほどの記録が生まれただろうか…」

ファントムは、アッシュのヒット一つ一つに、自身が追求してきた「精密打撃」の究極を見た。彼の放つ打球は決して派手ではないが、その積み重ねが、いかに相手を疲弊させ、試合の流れを変えるかを、ファントムは誰よりも理解していた。そして、彼がアッシュのプレイスタイルから感じ取ったのは、ただの技術だけでなく、安打を量産することに特化した、ある種の**「飽くなき探求心」**だった。


ボルクが投手としても、星晶を込めた球でアルテミス・グリフィンズを苦しめるが、カイが「炎の豪打」で反撃。炎を纏った打球は、ソレイユ・ドレッドノートの星晶障壁を焼き尽くし、外野のフェンスを直撃する。焦げ付くフェンスを前に、敵の守備陣は言葉を失った。


ソレイユ・ドレッドノートのファントムの「風切りの安打」が内野を抜けていくが、カイが投手としての能力で素早くカバーし、アウトにする。ファントムは舌打ちしながらも、カイの反応速度に驚きを隠せない。互いの超常能力がぶつかり合い、一進一退の攻防が続く。試合は最終回へ。2点差でソレイユ・ドレッドノートがリードする中、カイが打席に立つ。満塁のチャンス。カイの放った「炎の豪打」は、星晶を込めた打球が、ボルクがかつて放ったような規格外の本塁打となる。逆転サヨナラ満塁ホームランで、アルテミス・グリフィンズが死闘を制した。


第二戦:ルナール・ファントムズ(レイガ) vs ソレイユ・ドレッドノート(ボルク)

マウンドに立つのは、ルナール・ファントムズのエース、レイガ。対するは、ソレイユ・ドレッドノートの「絶対の剛打者」ボルク。「魔球の左腕」と「不世出の強打者」の真剣勝負に、球場は静まり返る。異世界の人々も、この歴史的対決に息を呑んだ。


レイガの「星晶吸収球」が、ボルクの「雷鳴の一撃」を無力化し、空を切らせる。ボルクは数打席連続で凡退に倒れるが、彼の瞳には諦めではなく、不敵な笑みが浮かんでいた。「面白い。まだそんな星晶術があったとはな!」彼は打席を重ねるごとに新たな星晶術を習得し、その球をわずかに捉え始める。


ルナール・ファントムズの打線では、ゼニスの「星晶貫通弾」が、ソレイユ・ドレッドノートの鉄壁の星晶守備を打ち破り、ヒカリはファントムの巧みな打球を次々とアウトにする。ゼニスの打球は、その独特な打撃構えから放たれ、まるで星晶の盾を紙のように突き破り、スタンドへ突き刺さる。ヒカリは、星晶で強化された直感により、相手の星晶球の軌道を数秒先まで読み取り、完璧なタイミングで打球を捕らえる。


ボルクが投手としても、星晶を込めた球でルナール・ファントムズを苦しめるが、ゼニスが満塁本塁打を放ち、試合を優位に進める。ゼニスはその独特な構えで地面から星晶を吸い上げ、その一振りで球場全体を震わせた。


終盤、ボルクが自らマウンドに上がり、レイガと再び対決。ボルクの放った球は、まるで重力が存在しないかのように浮き上がる**「無重力球ゼロ・グラビティ・ボール」**。レイガはそれを打ち返そうとするが、空振りに終わる。しかし、ルナール・ファントムズはレイガの「星晶吸収球」とヒカリの守備で相手打線を抑え切り、ルナール・ファントムズが勝利を収めた。


これで決勝戦は、連勝のアルテミス・グリフィンズと、1勝1敗ながら圧倒的な存在感を放つルナール・ファントムズの激突が決定した。アストラル最強の称号を賭けた、伝説たちの最後の戦いが幕を開ける。

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