表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
失われた姫と消えた秘宝  作者: 片桐 遥
三章〜廃れた町で〜
13/13

闇堕ち

「二人になったな。とても素晴らしいものを見せてやろう」


エミリ姫をお姫様抱っこしたまま、城の中に入っていく。


城の霞んだ桃色のカーペットを踏んで階段を降り、地下へ降りる。アズキールの首を握りしめ、前に進んだ。顔だけ見ればシプリートにしか見えないので、安心してしまう。赤の他人のはずなのに。




地下通路の終わりの壁の中に、黒色にキラキラと光るカケラが置かれていた。星の端っこのような形をしている。


エミリ姫はそれに見覚えがある。これはカノーカ王国の地下にある、「ルーペント」だ。確か水色の光を浴びていると伝承では書いてあったが……。


文明がずっと栄えることができたのはこの宝石のおかげで、どうやら盗んだのは彼のようだ。


国の兵士になりすまして地下へ行き、闇の力で氷を破壊して盗んだようだ。この国は荒れ果て、太陽が照らなくなった。人々の笑顔も消える。


「この宝石に私の血を混ぜて、真っ黒にした。どうだ?素晴らしいだろ」


「こんなの間違っています!伝統を潰すなんて最低です!」


強い口調で吠え立てたが、口を闇の魔法を使って閉じられ喋れなくなる。アズキールは唾を吐いた。


「口が悪いお嬢さんだ。賞賛すればいいものを。まあ、いい。私がガレス元博士に作らせた洗脳装置があるからな」




扉を開けて機械の前に立たされ、無理やりそこへ入れられる。抵抗したくても、強すぎて全く歯が立たない。この男、魔法とオーラが圧倒的に強い。体が動かない。




機械の扉が閉まると、手と足を拘束されて無理やり頭に機械が装着される。アズキールの数々の悪事が目の前に映り、苦痛が走った。悲鳴を上げてしまう。


住民が次々とモンスターに変わっていく映像や見ていられない残酷な光景。目を背けようとするが、無理やり目をこじ開けて見させようとする。


そして呪文のように、それが正しいことを頭の中にインプットされていく。魔力も同時に向上していく。




彼女が機械に入っている最中、彼は「ルーペント」のカケラを握りしめる。


アズキールは実は盗んだ後血を混ぜたら四つに分かれてしまい、他の三つは違う場所へ飛ばされた。


こうすることで、四つ合わさった時、血で作ることができる「最終兵器 ガムダナ女王」が復活するのだ。


彼女が復活すれば、この星の太陽は輝かなくなり毎日嵐の日が続くだろう。そしてモンスターしか生きられない環境になるはずだ。こうなれば人間は生きることができない。


とはいえこれは最終兵器。今はアズキールがこの世界を滅ぼし、この惑星の王になるのだ。


「ふふ、楽しみだな。特にルミリア国を潰しておきたいな。やはりアイツをぶちのめさないと」


そう呟いた後、その場で眠りについた。もうすっかり夜になり、眠くなるのも仕方ない。




次の日の朝。今日は四人の仲間と戦う楽しい夢を見た。


目が覚めると、機械の扉が開きエミリが出てきた。目に光がなくなり、そして髪の一部が黒くなっている。


最大限の力を制御する首輪。耳にはヘッドホンをしていて、そこにはアズキールの声と共に「俺が正しい」という教えがずっと流れている。


彼女はずっと終始無言だ。


「君の名前は今度からエンジェルだ。僕好みの可愛い名前だろ?」


「ありがとうございます」


「さ、行こう。僕たちでこの世界が滅ぶ姿を見に行こう!」


アズキールが満面な笑みを浮かべると、彼女は口だけで少し微笑む。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ