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第8話:もっと強くなりたいです

翌日、目が覚めると体中が痛い。きっと筋肉痛だ。でも起きて朝食の準備をしないと!鉛の様な体を必死に起こし、何とか料理を作る。朝だからサンドウィッチと野菜スープにしよう。


早速野菜を切り、スープを作る。サンドウィッチは昨日の夜特製のタレに付け込んだお肉を使った、特製肉入りサンドウィッチだ。そう言えばこのサンドウィッチ、サミュエル様が好きだったわね。


そう思ったら、涙が込み上げて来た。ダメよ、泣いたら!そう言い聞かせたものの、涙が溢れてくる。幸い今は1人だ。さっと涙をぬぐい、お肉と玉ねぎをタレと一緒に炒めていく。炒めた具材をパンに挟めば完成だ。


「おはよう、クレア。なんか既に物凄くいい匂いがしているけれど、今朝は何を食べさせてくれるんだ」


「おはよう、ハル。今日は肉入りサンドウィッチと、野菜スープにしようと思っているの。1つ味見してみる?」


「いいのか?食べる食べる!」


嬉しそうにサンドウィッチを手に取ると、1口で食べてしまった。


「美味い!何だこれ!今まで食べたサンドウィッチの中で、一番美味いぞ!クレアは本当に凄いな!」


どうやら美味しかった様だ。良かった。


「それよりもクレア、疲れがとれていないんじゃないのか?なんだか顔色もあまり良くないぞ」


「そうなの、昨日かなり騎士団長にしごかれたから、体中痛くて。それにお風呂にも入れていないから、なんだか気持ち悪いし」


そう、ここに来てからずっとお風呂にも入れていない。一応体は拭いているが、それだけではやっぱり気持ち悪い。


「なんだ、そんな事か。疲れた時は自分に治癒魔法を掛けるんだよ。それから、風呂に入れない時は自分に向かって手をかざし、「クリーン」と唱えると、風呂に入ったみたいにさっぱりするぞ。今日は俺が掛けてやるよ「ヒール」それから「クリーン」」


私に向かって魔法を掛けるハル。すると見る見る体の痛みが取れていく。さらに、体もスッキリした。髪もサラサラだ。


「ありがとう、ハル!体もスッキリしたし、痛みも取れたわ!」


「どういたしまして。さあ、早く飯の準備をしないと、また騎士団長に怒鳴られるぞ!」


そうだわ。急がないと!ハルに手伝ってもらい、野菜スープとサンドウィッチを並べていく。よし、完成だ!


ちょうど皆がやって来た。


「クレア、おはよう。今日も美味そうだな」


「クレア、おはよう」


皆が私に挨拶をしてくれる。どうやら私は、皆に認めてもらえた様だ。早速私の作ったサンドウィッチと野菜スープを食べていく。こちらも大好評で、全て平らげてくれた。


さあ、いよいよ討伐だ!そう思ったのだが、そう言えば私はしばらく討伐を禁止されていたのだった。という事は、1人でテントに残るのか。それならお菓子でも作ろうかしら?


ニヤニヤしながらそう考えていたのだが…


「デビッド、今日の討伐はお前が指揮をとれ。俺はこのバカに稽古を付けるから」


「ああ、分かったよ。それじゃあウィリアム、クレア、行ってくるね」


そう言って皆討伐に出掛けてしまった。残ったのは、鬼の騎士団長と私だけ。


「早速稽古を始めるぞ!まずはダッシュ30本から!さっさと走れ!!」


ひぃ~~

再び地獄の稽古が始まった。


「次はスクワットだ。もっと腹に力を入れろ!なんだ、そのへっぴり腰は!!」


怒号が飛び交う。とにかく騎士団長に言われるがまま、必死に稽古を続けた。そしてやっと午前中の稽古が終わった。その頃には、既にボロボロだ。


「何を転がっているんだ!さっさと昼飯を作らないと間に合わないぞ!!ほら動け」


鬼に怒鳴られた。仕方ない。そうだ、こんな時は!

「ヒール」

必死に魔力を込め、自分に治癒魔法を掛ける。よし、何とか回復した。


「お前、まだ回復魔法が使えるくらい魔力が残っていたんだな!俺は全部使い切れと言ったよな!」


鬼の形相で睨んで来る騎士団長。ひぃぃぃ、怖すぎる!


「ごめんなさ~い!」


そう言って急いで逃げて来た。さあ、早速お昼ご飯だ。お昼はピザにしよう。生地をこね、具材を乗せて焼いていく。そうだ、今日の夜のティータイムにクッキーを出そう。そう思い、隣でクッキーも焼いていく。


ちょうど出来上がった頃、皆が戻って来た。


「めっちゃいい匂いがする。今日はピザか!美味そう」


次々に集まって来る騎士たち。早速お昼ご飯開始だ。私もジーク達の隣でピザを頬張る。うん、美味しいわ。


「それにしても、今日の魔物は手ごわかったよな」


「でもハルが炎で一気に焼き尽くしたんだもんな!お前凄いよ」


「ジークだって、氷で一気に凍らせていただろう。あの威力は見習いたいな」


皆が討伐の話で盛り上がっている。そう、私は弱すぎてまだ討伐にも行かせてもらっていない。私、何勘違いしていたのだろう。料理でこの隊に貢献しているつもりになっていたけれど、やっぱり魔物を倒してこそ一人前だ。


もっと強くなって、皆に必要とされる人間になりたい!


「クレア、どうしたんだ?急に黙り込んじゃって。もしかして、俺たちが討伐の話ばかりするから、つまらなかったか?」


心配そうにそう言ったのはジークだ。


「そんな事ないわ。もっと討伐の話を聞かせて」


私の言葉を聞き、安堵の表情を浮かべるジーク達。その後も討伐の色々な話を聞かせてくれた。やっぱり、私も頑張らないと!


午後の稽古を終え、夕食を食べた後は、皆に紅茶とクッキーを出した。嬉しそうに食べてくれる姿を見て、私も嬉しくなる。


そして夜の稽古だ。相変わらず騎士団長は鬼だが、必死に食らいついて行く。そして夜の稽古も終わり、ミノムシに入ったものの眠れない。もっと強くなりたい!そんな思いから、夜中1時間だけ自分で稽古をする様になった。


今日教えてもらった事を思い出し、攻撃魔法や防除魔法を掛けて行く。騎士団長の話では、魔力は限界まで使う事で、より多くの魔力が生産されるようになるとの事。そうする事で、どんどん強くなっていくらしい。


そして朝も早く起きて、1時間だけ朝練を行う。少しでも強くなりたい!そんな思いから、必死に練習をした。そんな私を見て、朝はジークやハル、副騎士団長までもが朝練に付き合ってくれる様になった。


私は本当に仲間に恵まれている。


「クレア、随分と攻撃魔法が使える様になったね。防御魔法も習得できたし。それにしても、君はどうやら騎士の才能がある様だ。ここまでぐんぐん伸びていく子は珍しい。これなら討伐に出ても、しっかり魔物と戦えるよ」


そう言って褒めてくれた副騎士団長。どうやら副騎士団長は褒めて伸ばすタイプの様だ。


「ありがとうございます。これも皆が色々と私に良くしてくれるお陰です」


そう言って頭を下げた。そして私がある程度上達したという事もあり、討伐を禁止されてから1週間後、見事討伐に加わる事が許されたのだ。

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