第17話:ジャイアントスネークを倒しに行きます
騎士団長病気事件から数日後、今日は珍しく朝から皆が集められた。
「昨日ジャイアントスネークの巣を見つけた。そこで今日、退治に行く事になった。ただ、ジャイアントスネークは非常に凶暴で非常に危険だ。そこで、志願者のみ連れて行く事にした。志願するものは、手を挙げてくれ」
ジャイアントスネーク?聞いた事が無いけれど、せっかくなら参加したい。迷わず手を挙げた。隣を見ると、ジークやハルも手を挙げていた。結局全員が手を挙げていた。
「ねえ、ジーク。ジャイアントスネークってどんな魔物なの?」
「お前、知らずに手を挙げたのかよ。簡単に言うと大きな蛇だ。鋭い牙には猛毒が含まれているから、とにかく気を付けろ。あと、あいつらに捕まると絞殺される。捕まらない様にするんだぞ!尻尾も強力な武器だ」
なるほど、大きな蛇か。正直蛇と言われてもピンとこない。そもそも、私はずっと王都で暮らしていたから、蛇なんて見た事が無いのだ。
「それにしても、ジャイアントスネークを見つけるなんて、凄いな。あいつらを退治できれば、この討伐部隊も解散になるんじゃないのか?」
「そんなに凄い奴なの?」
「ああ、魔物界のトップだな。あいつらがいなくなれば、魔物たちも衰退していくと言われている」
なるほど。とにかくとてつもなく凄い奴の様ね!気合いを入れないと!
早速準備をして、皆でジャイアントスネークのいる場所へと向かう。ただ、ここから離れている様で、馬で向かうらしい。
今回も騎士団長が乗せてくれた。
「騎士団長様、今回もお手間を取らせてしまって、申し訳ございません」
「別に気にしなくてもいい。それよりも、しっかり前を向いているんだぞ」
そう言った騎士団長。そうだったわ、前回後ろを向いて怒られたのだった。馬を走らす事15分、大きな洞窟の前に着いた。どうやら、ここにジャイアントスネークというものがいるらしい。
それにしても不気味な洞窟ね。
「いいか、お前はまだ討伐部隊に来て日が浅い。とにかく、俺の近くにいろ!いいな!」
私に向かってそう叫んだ騎士団長。きっとかなり危険な奴の様だ。
「それじゃあ、僕とジーク、ハルでジャイアントスネークをおびき寄せる。その後、皆で一斉に戦おう」
副騎士団長と一緒に、ジークとハルもあの不気味な洞窟へと入って行った。大丈夫かしら?しばらく見守っていると、物凄いスピードで副騎士団長、ジーク、ハルが馬に乗って出て来た。
その後ろを追う様に、ジャイアントスネークと呼ばれる魔物も出て来た。それにしても、何なの!あの大きさは…
それに、物凄く長い。全長10mはあると思われる大蛇が、こちらに向かって襲い掛かって来た。それに、見た目が物凄く気持ち悪いわ…
皆が一斉に攻撃魔法を掛ける。私も皆と一緒に、攻撃魔法を掛けた。でも…
命中しているものの、全然ダメージを与えられていない様だ。一体こいつはどうなっているのだろう。
「皆、よく聞け!こいつは炎では倒せない。氷魔法だ!にかく凍らせろ!そうすれば倒す事が出来るはずだ!」
そう叫んだのは、騎士団長だ。その時だった。ジャイアントスネークが、唾液の様な物を吐きだした。
「気を付けろ!これは毒だ!防御魔法を掛けろ!」
すかさず騎士団長が叫ぶ。私も急いで防御魔法を掛けるが、なぜか溶けていってしまう。防御魔法が溶けるなんて、そんな事があるの…
とにかく、唾液はかからずに済んだ。
「いいか!皆で一斉に攻撃魔法を掛けるぞ。そうしないと、こいつは倒せない。いいな、行くぞ!今だ!」
騎士団長の掛け声で、皆一斉に攻撃魔法を掛ける!
「ぐわぁぁぁぁ」
悲鳴を上げるジャイアントスネーク。とにかく氷魔法を掛け続け、何とか凍らすことが出来た。
良かった。
「とにかく、1匹倒せたな!ただ、ジャイアントスネークは番でいる。だから、中にメスがいるはずだ。そいつも倒さないといけない。だた、さすがに今日は皆魔力切れだろう!一旦テントに戻るぞ」
騎士団長の言葉で、皆が戻り始めた時だった。
バリバリバリ
何かが割れる音が聞こえた。そして、次の瞬間。
ドン
「うぁぁぁぁ」
この声は、ジーク?
ふと後ろを見ると、凍らせたはずのジャイアントスネークの姿が。さらに、近くでジークが倒れていた。どうやら、ジャイアントスネークの攻撃を、もろに食らった様だ。
「ジーク、大丈夫。しっかりして!」
急いでジークの側に駆け寄るが、どうやら意識を失っている様だ。それに吐血した様で、口から血を流していた。
嘘…
嫌!ジーク、死なないで!
残り少ない魔力で、必死に治癒魔法を掛けた。その時、再びジャイアントスネークが、私とジークに近づいて来た。
「クレア!逃げろ!」
そう叫びながら、騎士団長が物凄いスピードでこちらに走って来るのが目に入った。でも次の瞬間、大きな尾が物凄い勢いで飛んで来る。
ダメ、やられる!でも、ジークだけは守らないと!絶対に、ジークは死なせない!
すぐさまジークを庇う様に立ち上がった。お願い、私の魔力。ジークを守る力を頂戴!そう願った瞬間、全身から一気に魔力が沸き上がり、物凄い光となって放出された。
「ぐわぁぁぁぁぁ」
そして私は、そのまま意識を手放したのであった。
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