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3:野盗?

 人の気配がした。


 パッと目が覚める。


 食人に目覚めて以降、寝ている間に少しでも違和感を感じ取るとすぐ起きてしまう体質になってしまい深い眠りにつきづらくなってしまった。

 それが今初めて役に立とうとしているかもしれない。


 そろりと出来るだけ音を殺し身を起こす。

 寝床の横に置いていたナイフを逆手に持つ。

 獣が寄って来ないように、火を付けたまま寝たが、如何やら人間? 野党か何かを引き付けてしまったようだ。


 微かな足音が俺のいる家の周りを囲んでいる。

 俺は火を板で隠して部屋を暗くし、目を瞑った。

 夜目に慣らす為だ。

 そして目を開く。

 足音が、玄関付近から聞こえた。


 すかさず摺り足で引戸の横に着く。

 息を吸い、止める。


 引戸が蹴り破られ、侵入者は家に足を踏み入れた。

 頭が見えた瞬間、掌底で相手の顎を打上げる。そうして、空いた首元にナイフを突き立て頸動脈を掻っ切る。

 ひゅうという音を喉から流しながら侵入者は床に伏す。

 顎を破壊して喉を切り裂いた為声が出ず、自らの血が肺の方に溢れ流れていき生き絶えるだろう。


 それを飛び越えてまた一人、来る。

 着地をする瞬間の足元を下段の蹴りを使い蹴り薙ぐ。


 相手は防御する事も出来ず、地面に引っくり返る。

 暗闇の中、受け身も取れていない。

 これはラッキー、すかさず俺は相手の上に跨り肋を踏み砕く。

 口元から血液が溢れる。

 上手いこと砕けた骨が肺を突き破り、心臓を抉ったようだ。


 気配的にあと二人か?


 正面からの気配と裏手から走ってくる気配を感じる。

 一対一はいいが、挟み撃ちされ、一対二になるとやはり危険度は上がってしまう。

 戦いとは複数対一から一対一を複数回に変えれるかで勝率や生存率がグッと上がる。


 だから、俺も相手の裏を描く。

 裏手側の薄い壁を跳び蹴りで壊して奇襲を掛ける。丁度、相手が壁側に面してくれていた為に壁の下敷きにすることが出来た。上から首か、肋であろう部分を踏み砕く。


 さて、あと一人だ。


 家の中へと振り返ると仲間をやられた襲撃者は、荒い息と怒声のようなものをを上げながら、此方に武器を構えて突撃してきた。

 如何やら棍棒…のようだ。

 暗くてよく見えないが多分そう。


 相手は棍棒の間合いに近づいてくる。

 俺は相手が棍棒を振り上げたと同時に斜めの方向に転がる。


 そして起き上がりざまに片方の足の腱を切断する。


 「キェエエエエエエエアアアア!!」

 相手は絶叫を上げる。


 絶叫かこれ? なんか凄え聞いてて気持ち悪い、というか生理的嫌悪感を憶える金切り声だ。


 上手く使えなくなった足では立っていることが出来ず、前のめりに相手は転ける。

 すぐに近寄ろうとしたが、執念なのか斬られた筋を無理やりに動かして立ち上がった。

 中々根性のある奴だ。

 俺は相手は野盗だと思っていたが、敵の容姿は目を凝らすと鬼のような到底人間ではない顔つきと筋肉が隆起している身体だ。


 所謂 (いわゆる )化物だった。


 人間なら良かったのに…まさか他のやつも全部化物か?


 考えるのは後回しにしよう。余裕はないんだ。少しでも気を緩めれば死ぬだろう。


 だから、次はこっちから仕掛ける。


 素早く詰めて棍棒の間合いを潰し、体勢が未だに崩れている敵の懐に入るとくるりと体を回転させボロボロ布切れの首元と腕を掴み、相手の怪我をしている方の足を蹴り上げる。抵抗しようのないまま腰に敵の重心が乗るとそのまま投げる。


 ズドンと地面に落ちたら、その頭を複数回蹴り飛ばして脳味噌をシェイクする。


 ふぅ、終わったな。


 刑務所で身体を鍛えてたから身体がついてきたけれども、結構疲れた。歳だなこりゃ。

 取り敢えず家の中に入り、火を隠していた板を退ける。


 なんとかなるもんだな。


 一息ついて、肉を保存している方とは別の水瓶から水を汲み、飲む。

 一仕事終えてからの水は美味い。

 折角、向こうから来てくれたんだし食べようかな。

 こいつらの肉をどう調理してやろうと思い玄関の方を見ると死体はやはり全て人間ではなかった。


 落胆した。あーあ。


 炎で照らされている中でもわかる緑の肌、尖っている耳にちょこんと額に出たツノのようなもの。

 明らかに成人男性の平均身長を下回る背。

 結論からいくとこいつは俗にいうゴブリンというやつかもしれない。

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