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17:おばちゃん

 「いらっしゃい!」

 と服飾店の前で立ち止まると割腹のいいおばちゃんが声を掛けてきた。


 「こんにちは。俺の服とこの子の服を見繕って貰いたいのですが」

 「あらあら! 隣のお嬢ちゃんとてもべっぴんさんねぇ! でもなんでメイド服…?」

 「一言では説明出来ない理由がありまして、申し訳ありませんが…」

 「気にしなくていいのよぉ! あまり詮索しないようにしとくわねぇ。おばちゃんお喋りだからねぇ! はいお兄ちゃんにはこれはどうかしらちょっと自分で合わせておいてくれるかしら! あたしはこの子に合う服を出してくるわねぇ! ついていらっしゃい!」

 随分と濃いおばちゃんだ…。リィル君はあわあわと勢いに圧されて連れて行かれた。

 仕方ない。大人しく自分の分を見とこう。

 

 数十分後、遅いなぁと思いながら下着を選んでいるとおばちゃんとリィル君が奥から帰ってきた。女性用の服を着て。

 「え? いやこいつおと

 「どうでしょ! メイド服も可愛かったけどの服も似合うわねぇ! 素材がいいから何着ても似合うと思うわぁ! オマケにこれとこれとこれもつけてお兄ちゃんが今手に持っているのも合わせて金貨2枚でどうかしら?」

 勢いが凄い! 反論の隙を与えてくれない。


 リィル君を手でこいこいと呼び寄せて耳打ちする。

 「なんで女性ものの服を着てるんだ?」

 「…お姉様がこれが似合うからと仰って」

 お姉様って…調教されてるじゃねえか。

 「そ、それでいいのか? 似合ってはいるが…」

 「ほほんとうですか! これでお願いしますお姉様!」

 似合っていると言うなりくるりと体を反転しておばちゃんに駆け寄って行くリィル君。

 …なんだこれ。


 「ありがとうねーまた来なよー」

 「ありがとうございました!」

 店を出てからもおばちゃんと手を振っておりずっと機嫌のいいリィル君。波長があったのか不思議なもんだ。

 

 「リィル君。あの服屋はどうだった?」

 「大変良かったですよ! ンン、ゴホン。そんなジト目で見ないでください! 本当に良かったんですよ! 通常、普通に売られている服はパターン化されたデザインに安い繊維で大量生産される既製服なのですが、私やカシワダ様が買った服は肌触りが良い上質な布で縫われたあの店オリジナルの商品なのでしょう。それにも関わらず、あの値段とは…色々と私たちの事を気遣ってくれたのでしょう。ありがたい事です」

 「そうだったのか。…それは責めるように言ってすまなかったな。あのおばちゃんにも街を出る前にもう一度くらいお礼を言いに行こうか」

 「それがいいと思います!」

 「で、下着は男物女物どっち買ったんだ?」

 「…秘密です」


 リィル君がおばちゃんにおすすめの宿も教えて貰っていたらしく、そこを目指しながら観光する。

 おばちゃんにお礼する際は何か菓子折みたいなのがあれば持って行かなければ。

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