ゴミ屋敷のような耳の中で②
「いらっしゃいませ。こちらの席にお座り下さい。」
「はい。」
現れたのは20歳くらいの男性だ。
髪は無造作に伸びきっていて量が多い。
おそらく冒険者のお客様だ。
「今回はどうしましょうか。」
席に座ってもらいオーダーを聞く。
「髪を刈って坊主にしてください。」
「はい。かしこまりました。まずは、シャンプーを致しますね。」
「初めにシャンプーですか!? 珍しいですね。」
とお客さんが少し驚く。
「ここの店では、まず最初に軽くシャンプーを行います。そして髪を切り終わったあと、もう一度しっかりシャンプーをするのです。」
「へぇ。そうなんですか。丁寧なんですね。
これまでに立ち寄ったところでは髪を切って終わりでしたから。」
「うーん。そうですか。」
それは、町の人ならいいが髪を洗う機会が少ないand汗をかく頻度が高い冒険者に行うのは不衛生だと思う。
最初にシャンプーするのは頭髪を綺麗にしてから
ハサミ入れた方が衛生的だというのも理由の一つとしてある。使い回す物だしね。
「では、シャンプーしますね。」
気を取りなおしてシャンプーを行う。
しっかり手のひらで泡立てるてて、定番のセリフを
「かゆいところはありませんか?」
「いえ、大丈夫です。」
お客様は少し照れくさそうに笑う。
定番の受け答えのあと頭皮を揉むようにゆっくり
マッサージして皮脂の汚れをとる。
毛穴にぎっしり詰まった皮脂を”にゅるっ”と出していると思うと、なんだか耳掃除に似ている感じがして興奮するなぁ。
目に見えないのが非常に残念だ…
そして髪は頭皮よりも更に優しく行う。
「では、流しますね。」
泡を残さないようにしっかり揉み込むように洗い流す。ここでもガシガシとかくよう流すと髪が傷んでしまうのでNG。
あとで刈るから意味がないと思われがちだが”いつ何時も心を込めて丁寧に”がおじいちゃんのモットーで私のモットーだ。
「では、髪を刈っていきますね。」
さぁ、これから髪を刈っていくのだがこの世界にはバリカンがないのでハサミである程度短くしてからカミソリで剃るしかない。
この世界で髪を刈るようになって何度目かになるがとても緊張する。
髪を切ったあと
「絶対に動かないでくださいね。」
意識を全集中させてカミソリを使いながら坊主にしていく。
頭皮を傷つけないように慎重に慎重に……
よし、終わった。
「終わりました。お疲れ様です。」
あれだけモサモサで爆発していた髪がきれいな坊主頭になった我ながら傑作だ。
それから2度目のシャンプーを行い、髭も剃った。
しかし本番はこれからだ。
「ありがとうございます。」
お客様が立とうとする。
「お待ちください。サービスで耳掃除も行っています。おすすめですよ!」
私は急いで引き止める。
「是非!! お願いします。」
あなたの耳の中を見てみたい!
「わ、わかりました。よろしくお願いします。」
少し引かれてしまった。
が仕方がない。
「ありがとうございます!」
私は素早く道具を準備する。
耳かき、綿棒、ピンセット、オイル、ミニハサミ
を用意する。
「では、耳掃除していきますね。」
!!!!!!!
お客様の耳の中を見て衝撃が走った。
こ、これは耳垢の宝箱だ。
とてつもない金銀財宝が詰まっている!!