日本人は乾燥耳が多い
ベルダさんにお世話になり屋根のある場所で眠ることができた。
耳掃除もできて幸せだったな。
今日は超ド級の耳垢に出会えそうでワクワクドキドキだよ!
早く来ないかな。
などと胸躍らせニヤけているとコンコンと
扉をノックする音がした。
ベルダさんだ。
「はい。」
「おはようございます。入ってよろしいですか?」
「おはようございます。大丈夫で……あ! 少し待って下さい。」
まだ、病院のパジャマのままだった。
急いで服を着替え、髪を整えて、最低限見れる状態にする。
「すみません。お待たせしました。」
ギギギと音を立てて扉が開きベルダさんの姿が見えた。
「朝食を持って来ました。」
「ありがとうございます。本当」
「良いのですよ。困ったときはお互い様です。
本日のことなのですが患者さんは10時に来られるのでそれまでに準備の方お願い致します。」
「分かりました。」
「では、失礼致します。」
ベルダさんは朝食のお盆をテーブルに置いて私の部屋を後にした。
持ってきてくれた料理を食べた。
食べ終わって着替え等用意していたらもう時計は9時30分
を指していた。
そろそろ患者さんを迎える準備をしなければ。
処置室に入り、耳かき、綿棒、ピンセット
潤滑油、ミニはさみと用具を揃える。
よし。これで戦えるぞ。
「患者さんが来られましたね。」
とベルダさんが言った。
「……よろしくお願いしますぅ。」
扉から入ってきたのは
勇壮な雰囲気の大柄な男性だった。
しかし、その声色は非常に心許ないものだった。
「お待ちしていました。ツァーさん」
「アイザワさんこの方が今回の患者、ツァーさんです。」
「おはようございます。」
「あ、おはようございます。」
「ツァーさんこちらの方が今回、耳の治療をするアイザワさんです。」
「え! 治療をするのは先生じゃないんですか!?」
ツァーさんはとても不安気に言う。
「大丈夫です。この方は耳掃除の達人です。
どうぞ大船に乗った気持ちでいてください。」
挨拶の後、早速ツァーさんに横に寝てもらい早速耳の中を観察する。
おおー!
耳垢が外耳道を完全に塞いでいる。
しかも日本人には少ないねっとりとした湿性耳垢。
所謂アメ耳だ。
うーん。
大きな耳垢ではあるが大きさは鼓膜までは届いてないはず。
届いているならほとんど耳が聞こえていないだろう。
恐怖感を払拭できたら比較的簡単に取れるはず。
この私が最高のリラクゼーションを提供するわ!
「大丈夫ですよ。まずは耳つぼマッサージを行いますね。」
怖がっている人にすぐ耳掃除するのは禁物。
恐怖心を心地良さで溶かしていくのが重要だ。
なので、まずは耳たぶや耳介をやさしく揉み上げる。
「どうですか?」
「とても気持ち良いです。」
少し恐怖感が薄らいでいるようだ。
よし。つかみは上々だ。
「では、耳掃除していきますね。」